リルケの語る愛
「ふたりの人間がいました。男性と女性です。ふたりは、たがいに、愛しあっていました。愛するということ、それは、どこからも、なにも、貰わないことです。かつて持っていたものとか、その他さまざまなもの、一切合財を忘れ去って、むしろ、それを、ただひとりの人間から、受け取りたいと、望むことです。このふたりも、おたがいに、そういうことを、願っていました。ところが、時の流れのなかで、日々を迎えては、過し、あまたの人々に立ち交りながら、すべてが去来するところにいては、——いまだ、たがいのあいだに、愛するための真実な関係が、できてないうちは、なおさらのことですが——このような愛しかたは、とても、実行不可能です。さまざまな出来事が、四方八方から、押しかけてきます・・・・・・
それゆえ、このふたりの人間も、時の流れをよそに、時計の鳴鐘や都市の騒音から遠く離れて、孤独の境へはいってゆこうと、決心しました。」
「神さまの話」118頁
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