私が子どもの頃、切手収集という趣味が子どもたちの間でも流行ったことがあった。
当時、わが家にはそれなりにたくさんのお手紙が届く環境だった。
だから記念切手(消印済み)を集めて、お年玉で買った切手帳というアルバムのような冊子に貯めて眺めていた。
実家は母親の家で、長男である兄と妹の私では明確な格があり、兄は自分の欲しい絵柄は先に選ぶ権利があり、私は残り物。
兄は通販で海外の切手を買ってもらえるけれど、私は買ってもらえなかったという事情があった。母は長男は特別、私は仕方がない子ども(オンナは嫁に出すからお金を掛けたくない)という人だった。
この件では両親のケンカの元になったことがたびたびあったので、ケンカをしている原因が自分にあるかと思うと、いつもいたたまれない気持ちになったので忘れたいことでありながら、忘れられない悲しい記憶になっている。
さて、子ども頃に手に入れられなかった反動で、社会人になってすぐの頃は、記念切手をシートで買うことがたびたびあった。
時代はすでにWindows95が発売されていたし、ケータイが普及し始めていた。
今思えば、それまで2か月に1度くらいしか記念切手は発売されなかったのに、やたらと頻繁し始めた頃だ。末期の郵政省なんてそんなモノだったし、総務省になってからさらに加速する。
すると飽きてくるんだ。それで2000年くらいを最後に記念切手を買うこと自体止めてしまった。
そして残った記念切手。シートで買った分はいつか値上がりするかな?と思ったモノだが、調べて見ると、乱売が始まった頃のモノなので何の希少価値もない。
次世代に引き継げるならまだしも、子どもがいないので引き継げもしない。
いろいろ考えて、これから先の人生で荷物を送るのは全部ゆうパックや郵便物を選択することにした。
これまで1年以上、何かと記念切手を使って来たが全然減らない。
まだまだたくさん残っている。このままいくと一生かかって使い切れるか?と思うくらいだ。
だって手紙なんて書かないモノ。
こんなに減らないモノかなぁ…と思うこともしばしば。
使い切ってサッパリしたい…それはスゴく難しいことに思えてきた。
とくに「20世紀シリーズ」は、使いにくい絵柄が多い。困ったりモノだ。
MIFさんは「コレクターズアイテムだからそもそも使われることを想定していない」といっていたっけ。
おかげで最近の私は収集癖が完治した。
収集よりは思い出づくり、知らない景色を見て美味しいモノが食べられたらそれでいい。