松岡圭祐著。
もう2か月以上手元でほったらかしていた小説です。
理由は冒頭から少女売春の様子が書かれていまして、なんだか読む気がしなかったのです。
前作「高校事変」でも、慰安所として女子高生にテロリストの相手をさせる描写がありました。
それもスゴくイヤだったのですが、今回は冒頭から。
でも、いつまでも読まずにいるのもなぁ、と思い読み始めました。
ちなみに毎回のとおりあらすじはほぼ書きませんので、あらすじをご期待されている方は他のレビューをご覧ください。
この舞台は2019年12月の東京。
ヒロインは前作と同じ人物で、児童養護施設で暮らしています。
前作では神奈川県川崎市が生活圏&舞台ですが、今回は東京都葛飾区が住まい。
でも今回は東京都東部から神奈川県東部までが行動範囲となります。
私も何度か行ったことがある場所や聞き慣れた地名が出てきますから、本当におこりそうな舞台です。
とくに終盤は、私が以前横浜市内で働いていた時によく見上げていた建物が出てきます。
今回はまた物理の知識が必要な武器が出てきます。
私も聞いたことはありますが、その構造はよく分からない武器です。
結局武器は、物理の知識や素養が無ければ、作ることはできません。
物理の知識の応用が、兵器として登場するので読んでいて気分のいいものではありません。
ちょうどノーベル賞受賞者発表が行われるこのシーズン。
ノーベル賞設立の経緯を知ると、科学の知識とは平和利用だけではないことを心に刻まなければならない、と感じます。
高校生くらいまでで学ぶ知識でも、応用することができれば大量殺人兵器も作れるのだと思い知りました。
この知識の応用力はそう簡単に身につかないけれど、物事を考える上でホントに重要だと感じられる小説です。
なおこの小説では、性犯罪の他にも、暴力、殺人、誘拐、兵器作成、公安、警察、反社会的組織、サイコパス等が出てきます。
今回は高齢者の運転ミス、そして逮捕されないという今年どこかで聞いたような話も出てきます。
世の中の汚い部分を凝縮したような内容で、万人向けとはとても思えない小説です。
読んだところでスッキリするような内容でもありません。
暗い気持ちになる部分も多いので、読んでみたい方だけが読む本だと思いました。