漫画「乙嫁語り」で中央アジアの布支度を知ってから、ずっと探しているスザニの本。
結局スザニだけを取り上げた本がどうしても見つからず、図書館でアジアの刺繍を取り上げた本を探すことにした。
これはその1冊。
題名からすると少しファンシーな雰囲気があるが、けっこうしっかりした解説本。
刺繍には魔除けの意味合いがあったり、文様にはそれぞれ意味があることなど。
ただし刺繍が文化伝播とどう関わっているのか、また文様の変遷、地理学的な見地はない。
○○地方の○○年代の刺繍布を○○年前に購入した…という紹介や、フェアトレードで手に入れたとか。
フェアトレードもして女性の現金収入になることはとても大切だ。
でも昔の刺繍布を個人が買い付けてしまうと、現地には古い作品がなくなってしまう。
日本も明治時代にたくさんの美術工芸品を海外に輸出してしまったので、同じことをして欲しくない。
本文中でも触れているが、1度失われた文化は取り戻すことは大変難しい。
だこら、買い付けるのではなく、その政府に働きかけて、伝統工芸品の展示ができる運動につなげて欲しいなぁと思っている。
この本では刺繍の刺し方は紹介せず、ひたすらその地域ごとの特徴的な刺繍作品が紹介されている。
以前、キルト展で17世紀のキルトを見たことがあるが、大変素朴だったことを思い出すと、刺繍もカラフルになり始めたのは18世紀くらいからだろう。
今の刺繍糸のような微妙な色の変化を楽しめるようになったのは化学染料が出てくるまでは難しかったろうし、同じ染料で均一品質は難しいことは想像できる。
また所々で刺繍は男の仕事と言う表現もあった。
以前、テレビで日本刺繍の職人さんが男性で驚いたことがあったが、他の国でも男性が刺繍を生業にしているものなのか、とさらに驚いた。
このような美しい工芸作品がこれからも世界中で生み出されますように。
そう思わずにはいられない。
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