青木玉著。
入院のお供に持ってきた一冊。
今年1月に行った明治村にある蝸牛庵が、まだ小石川にあって、家主の幸田露伴が生活をしていた時代の思い出話だ。
私がこの本を初めて読んだのは10年以上前だが、まだ20代の私には人生経験が少なかったせいもあり、蝸牛庵はかなり広い建物だと思っていた。だが何回か読み直すうちにその規模は次第に小さくなった。
そして実物を見て、実際に上がり込むともっともっと小さく、質素でありながら、堅実な建物で驚いた。
今回、読み直したら、たった10分くらいしか見学しなかった蝸牛庵でも覚えているものだなぁと関心してしまった。
そしてここで生活した人達の話しをなぞっているこの本が、本当に愛おしく感じる。
私は人生でまだ四件の建物にしか住んだことがない。
いつかこうやって、私もどこかの住まいについて語れる日があるのだろうか?