ここ最近、ネットで話題になったアマビエは、アマビコとも言われている、疫病退散の言い伝えがある妖怪です。
んー、なんて言えばいいのかな?
疫病ゆるキャラ?
そもそも妖怪自体、とても日本的ゆるキャラですから。
詳しくはネットで「アマビエ」と検索してみてください。
元々は京都大学附属図書館収蔵史料の瓦版に掲載がある肥後国の妖怪ちゃんです。
さていくらなんでも私は、新型コロナウイルスがアマビエちゃんで退散できるとは思っていません。
でもこのちょっと不安な気持ちをユニークに変えたいのであれば、やっぱりおまじないを調べたくなります。
このブログでは何度も取りあげている「川崎の民間信仰」。
川崎市市民ミュージアム著。
2004年発行。
川崎市市民ミュージアムは、昨秋台風被害で水没し、90億円超の損害額だったかな?
でも来年度予算は8億円なので、たぶん廃館にするつもりかな?という予算組みです。
ミニコミ紙や新聞の地方版で読む限りでは、やっと今年になって冷凍保存施設が完成して搬出しているらしいです。
ミュージアムに行けば、もっと詳しい史料はあるのだろうけれど、水没した古文書の中には溶けたものもあるらしいので今では川崎市の大負債資産になってしまった…。
閑話休題。
図書館も今月は休館なので、やはり今はこの「川崎の民間信仰」こと、川崎のおまじない百科を読むことにします。
民間信仰とは簡単に言えば、おまじない。
不安な気持ちを取り払いたいという、人間の欲が生み出すモノです。
効くか効かないかよりも、安心欲を満たすモノが先立ちます。
不安を銭に載せて払拭するのが、お賽銭やお布施と思えば分かりやすいと思います。
この本を読んでいると、海が近い地区ですと、貧しい人は銭ではなく塩をお供えしていたりします。
海から少し遠い地区になると、お赤飯とか団子をお供えするみたいです。
米があまり穫れない地区だと炒った大豆とかが登場します。
さて新型コロナウイルスは、日本の古来からの言い方では疫病にあたるのでしょうけれど、この本には疫病平癒のおまじないは多くありません。
あっても安政年間(幕末、開港の頃)のお地蔵様など。
安政年間といえば、日本ではコレラのパンデミックがあったので、地理的にも横浜市に近い川崎市では、この平癒を願ったものだろうな、と予想しました。
また、そもそも疫病退散や疫病平癒の案件が少ないのです。
それよりは眼病やイボに対する願いやおまじないが多いです。
そういえばイギリス人冒険家のイザベラ・バードも、明治初めに日本の東北地方や蝦夷地を巡ったルポ「日本奥地紀行」でも、眼病、皮膚病を患っている人々の多さを記述していたっけ。
川崎市は江戸時代にはあまり人口密度か高くなかった地域性もあって、疫病自体が少なかったのか、子育て地蔵はそれなりにあるので子ども達が犠牲になって、大人は案外と大丈夫だったのか、という感覚になりました。
さて都市化が進んでいる川崎市。
本に掲載されているどの項目も、今は廃れてしまったとか、祭祀は行われなくなったとか、そんな結びの文章ばかりです。
私はおまじないを信仰こそしていないけれど、人々が何を不安に思い、その不安をいかに払拭したか、を知るにはとても面白く読みました。
そしてアマビエちゃんが案外カワイイゆるキャラなのも好みだったりします。