巨人1-0オリックス(延長12回)
「こんな勝ち方もあるんだ」
試合が終わった後の私の素直な感想である。巨人はオリックスの先発・金子の前に手も足も出ず9回の表の攻撃を終わってノーヒット。だが巨人先発の菅野もピンチは作るも7回を0点に抑え、8回から継投。9回裏、オリックスは金子に代打(すでに140球投げていたから仕方ないだろう)を送り勝負に出るも無得点。金子のノーヒットノーランは幻と消えた。まるで西武の西口の悲劇を見ているようだった。
巨人に初ヒットが出たのは延長11回。片岡のライト前ヒットだった。時に10時過ぎ。試合開始からすでに4時間が経過していた。記録が残っているかどうかわからないが、試合開始から初ヒットが出るまで4時間もかかったのは過去最長ではないだろうか?プレイボールの初球を打ち、わずか数秒でヒットになることもあれば、4時間もかかることもあるのだから、摩訶不思議である。
延長11回は巨人が1死2・3塁、オリックスが1死満塁とチャンスを作ったが点が入らず、スコアレスのまま12回へ。
巨人は阿部、村田が倒れ2アウト。あと1アウトで勝利が消滅するところまできた。
ここで打席に入ったのは怪我で今季初出場初スタメンだった亀井善行だった。それまで4打席ノーヒットだったが、解説の有田修三氏(かつて巨人でもプレー)が「亀井が巨人の選手で一番、タイミングが合っている」と言っていた。その言葉が的中したのか、馬原の直球を振り抜くと打球は左中間スタンドへと消えた。
値千金とはこの事である。
09年の大活躍以来、怪我などで思うような活躍ができずに、一部ではトレード候補に名前が挙がったが、それをも払拭する一打となった。今年のキャンプ最終日、内野ノックでイレギュラーしたボールが右手首を直撃し、骨折するという不運に見舞われながら、腐らず、懸命に努力した姿を野球の神様が見ていたのだろう。強肩強打、外野だけでなく、1塁も守れる亀井は巨人に絶対に必要な戦力だ。
この虎の子の1点を久保が守り切った。延長11回の1死満塁のピンチも凌いでくれた。ここのところ不甲斐ない投球が続いていたが、持っている力を出してくれて、2勝目を挙げた。山口、マシソンが調子を上げてきただけに、彼が実力を出せば後ろに3本の矢ができる。
とにかく壮絶な試合だった。こんな試合は1年に2・3度あるかどうか。そういう試合を勝てたのは大きい。
巨人3安打に対し、オリックス11安打。負けたオリックスはさぞかし悔しいだろう。
もう一度言う。「こんな勝ち方もあるんだ」