翌日の月曜日.午後には帰る予定ですが,夕方までに変えればいいので,昼を東京で食べてから帰ることに.長女はこの日は在宅勤務で,少し朝のうちに立ち寄って,時間を過ごし,10時過ぎにマンションを後にします.朝の電車のラッシュを避けて,川崎からまず東京へ出て,神田の書店街へ行くことに.
お茶の水で降りて,昔と変わらない駅のホームが懐かしく,神田川の対岸に見える東京医科歯科大学,今は東京科学大学の建物や順天堂大学の医学部の病院の建物が新しくなった印象があります.それだけ,久しぶりということかなと,月日の経つのを実感します.
昔,初めてお茶の水の駅で降りたとき,西口の改札口を出たところでは,ハンドマイクでアジテーションを繰り返している学生たちが印象的で,更に,靴磨きの人もいて,サラリーマン風の人が,足を片方ずつ出して,靴を磨いてもらってる光景もありましたが,今は昔.昭和の光景です.
交差点の角にはパチンコ屋もあった記憶がありますが,今は変わっています.古本屋のある神保町に向かって,坂を下りていきますが,昔と同じように楽器店が何軒か連なっています.昔は,明治大学の他に,中央大学もこの一帯にあり,明治の建物は大きく高層ビルになり,すでに中央大学は郊外に移転してしまいました.理工学部はまだ,神田川の北側の方にあるらしい.
坂を下っていくと,工事中の三省堂の建物が目に入りますが,多くの書店は11時が開店なので,まだシャッターが閉まっています.ここに来ると立ち寄るのが,東京堂書店,書泉グランデ,明倫館です.最近の東京堂書店は,昔に比べ,数学書もある程度置いてありますが,それ以外の本の選び方が,独特の感触があり,思わず買いたくなる本が並べられている感じです.
書泉グランデは,昔と変わらない建物で,ということはもう40年以上変わってない感じかな.ここでは,数学書のコーナーだけが立ち寄る感じですが,以前,日本数学協会の会誌「数学文化」37号で,この書泉グランデの数学コーナーの担当者の布川路子さんが,エッセイを書かれていて,今も印象に残っていますが,このコーナーは数学書の量としては少なめですが,他では目にしない,オンデマンドの岩波の数学書などが置かれていて,他では手に入らない新刊書に巡り合えるかもしれません.おそらく,お客さんの声が届いてその結果が表れているかもしれません.次に,科学書の古書店の明倫館へ.行くのはいつも数学書のコーナーですが,決して広くはないところに,所狭しと並べられた数学書の数は洋書も含め全部眺めるだけで1時間はかかりそうです.すれ違うスペースもないくらいで,移動するのが大変です.それと,値段が高いという印象があります.例えば,
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は,私の興味ある分野の本ですが,元の定価と同じ各4200円でした.もっとも,絶版というか,昔の本などは定価以上の値段になっていますが.さらに,昔はなかった数学の受験参考書なども私の受験生時代の50年ほど昔の本が,例えば旺文社の傾向と対策などが数千円で販売されています.
昔から思っていたのですが,参考書というたぐいの本は,受験が終われば,捨ててしまった気がします.教師になって感じたことに,教師も自分が使った教科書を年度末には捨てていた気がします.そうして同じように,一生懸命生徒に教えた数学の教科書も同じように私の本棚にはほとんど残っていない感じです.いつの頃からか,このことに気が付いてから,使った教科書は残しておくようになりましたが,大切に使ったはずのものを使い終わったら捨ててしまったことに今になって反省している次第です.
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等は,自分が高校生の頃から続いていた参考書で,駿台のテキストや河合塾のテキストにもこれまでも多く問題が選ばれていた本であり,いまは,この研文書院もなくなり,このシリーズもなくなり,問題集の解説本ばかりで,残念な気がします.高校の数学教師になって,もう一度読み返してみると,筆者の意図が鮮明になってくることも有り,そんな本が無くなっていくことと並行して,日本の大学受験の勉強方法などもHow toものが多くなっているように感じます.折しも,今日は国公立大学の前期試験ですが,明日以降,また京大や東大の数学の問題も少し気になりますが,また解いてみようかと思っています.
そんな明倫館を後にして,またお茶の水から東京駅へ.そして新幹線で帰路につきました.何とか夕方までには家につき,とにかく45年ぶりの卓球の試合は全勝で,また次回にはリベンジに燃えて彼も練習して来ると思うので,こちらも体力の続く限り(こんなフレーズを使う自分になったのかと悲しいが)故障しないように卓球も続けたいという想いを新たにしたのでした.完