誰でも、自分の青春時代を懐かしく思う権利がある。
14歳の中学生にだって、昔は懐かしかったというように、・・・
イヤ、待てよ。14歳といえば これから青春時代へ向かうのではないか?
60歳を過ぎたぼくには、何らかの折に それは当時すきでもなかった音楽にしろ、だが YOU TUBEで聴いたときに ううんいいなあと特別な感慨を持って 聴いて そして決まって 幸せな気持ちになる。
ゆうべは、それが 森進一だった、美川憲一だったというだけに過ぎない。
ブルースである。
ブルースといっても、心して聴き入る大好きなブルースマンの歌ではない。
マディ・ウォーターズのブルース、どのアルバムも名盤だと思う。
なにィ?「ベスト オブ マディ・ウォーターズ」が、今は1000円位で買えるのか。いい時代だなあ。ぼくは3000円くらいで買ったぞ。
いい音楽は、何年間も聴くからそれでも決して高いとは思わないが。
ぼくの高校時代の友人に Aさんという人がいて
ブルースハープではちょっと知られた人だった。
ある日突然、夜中に東京の 荻窪の住宅地でばったり出会い
おお、Aさん、おお、Iとお互いの近況を話し合ったっけ。そばにきれいな女性がいて、奥さんだった。
ニューヨークに住んだこともあって、日本に帰られてからは演劇のほうでも活躍されていたのだが・・・残念ながら亡くなられたのだった。そんな彼が
これは名盤だよ、と教えてくれたのが 先に書いたアルバムだった。
ジャケットは、平凡なもので 寝惚けたようなピントの甘い写真がどーんとあるだけ。ところが、聴いてみると内容はみなすばらしいんだね。
という、本格の音楽じゃなくって、というと歌謡曲を見下しているわけじゃないが、これには思い出ということがついて廻るからこれはこれで和めるものなんだ。
ブルース、といっても 踊る方ね、ダンスのフォックストロット。
実はぼくは ダンス 大好きなんだね。
そんな場面で 森進一 「港町ブルース」
美川憲一 「新潟ブルース」 「柳ヶ瀬ブルース」などを聴いてきたから
どうしても感傷的に聴き入ってしまうんだね。
音楽というものは、それぞれの青春の思い出を思い出させるものらしい。
今の若い人は、ダンスホールで女の人と、あるいは男の人とでもいいが
踊るということをなさらないんだろうか?
クラブがある?ううむ、青春の70年代、80年代は遠ざかって行くばかりのようですね。
文・写真 石郷岡まさを