gooブログはじめました!散歩写真の達人 石ちゃんのフォトエッセイ ーーー30年の私写真散歩 少しずつお見せしましょう。

「東京原色図鑑」散歩とスナップ写真1万点。
80年代の東京も。大好きな写真家に、濱谷浩、石元泰博、森山大道氏等。

カメ漫だらだら石ちゃん散歩 本を読んでいていつの間にか夕闇に・・・

2020年03月30日 | 散歩 余暇 趣味 健康 デジカメ
昔、殿様と出会ったという事は書きましたっけねぇ。( もちろん、お爺ちゃんの代までお殿様であったという家系の方で、ぼくとほとんど同じ世代のお人でしたが・・・)
その方が言う事には、本ってそんなに売れるものではないと・・・。もちろん本が大好きだった、というより書き手でもあった方でしたので、より説得力があったのですね。

そういえば、最近というか数か月前に読み終えた、「茂吉の体臭」斎藤茂太著 岩波現代文庫
という本の中で、たしかこんな一文があったと記憶、本を今見ているのですが探せないので記憶で書きますが、斎藤茂吉という我が国の短歌の第一人者が、長男の斎藤茂太氏に、本ってそんなに売れるものではないから500部も印刷してあとは寄贈するようにという意味のことばがこの本のどこかに出てくるのでしたよねえ、で、ぼくは不思議と、そうであったのかと思った記憶があるのですね。( ぼくの記憶違いであったならごめんなさい。)
我が国の短歌の第一人者の本にして、そんなに何十万部とか何百万部も売れないのかと。そりゃあ通算にして相当の部数、売れてきたと思いますよ。

でも、昔から本を読むのはほんの一部の人、と決まっていたのではないでしょうか。

それが、わが青春を生きた時代に、1980年代にという事ですが、何の間違いであったか本がごくごく普通に、この本はよく売れてねえ、と言われて奥付けをみれば、25刷とか31刷とかそんな本がぼくの読んできた本には何も珍しくもないほど頻繁に、実はあったのです。
以前に書きましたが、ぼくの知り合いの編集者がその才能を見つけ出し、世にどんと売った本の椎名誠氏の本は、当時の本の奥付けを見れば、なんとどの本も25刷とか35刷という本がずらり・・・なんと特異なつまり多くの若者が本を読む時代にぼくは生まれ合わせたものだろうと思うのです。特攻隊の戦没学生の多くがあれほど本を読みたい、読みたいと思いながら戦争で若い命を失う時代もあったというのに、今は本がお金さえあれば買えるし、自由な時間があれば読めるという時代になって、多くの若い人々は不思議なことに本を読まなくなったように見えます。
過剰に恵まれすぎると、かえって人はその愉しみとか喜びを享受しないものなのでしょうか。
ぼくも街に出て、携帯できるパソコンやその他の端末をもって電子情報を見ることは間々あります。でもこの手の電子情報はつい長時間見ることになってまた見た後もぼくの場合むなしくなることが多いのですね。

本はちょいとそこら辺が違うと思います。まして選びに選んだ本ならば・・・

さて、今日、本を数冊買いました。さっそくカフェに入って読み出しましたら、さあ帰ろうかと時計を見たらなんとすっかり夕暮れて、ええっ、こんな時間かとちょっと焦ってしまいました。
本当にあっという間に、2時間半くらいぼくは本を読んでいたようでした。

本はやっぱり図書館で借りるものではぼくの場合なくて、買うものなんですね。なぜってぼくは書き込む癖があるから、でした。
本って、いっぱい出ていて、1980年代と大いに違うことが一つあるとすれば、嗚呼この本はぜひ買いたいなあ読みたいな、という本が探すのが困難なほどですが、逆に言うと絶対にこの著者の本は買わないぞとか、この出版社の本は買いたくないという本が多いように思います。それでも自分の目で選んだ本は面白いし、最高に豊かな時間の過ごし方を与えてくれるように思うのですね。そう、本は高いけれども、実は安い買い物、なんですね。

フォト・文 石郷岡まさを