●どんなに健康に悪くても、タバコの魅力には敵わない?
食後の一服は、何事にも代え難い。しかし、よくよく考えてみると、最初の1本目からそんなに美味しいわけではなかったのではないでしょうか?
美味しい料理を頂いた後、目を細めながら食後の一服……。テレビドラマや映画でも、一時期、頻繁に目にした光景です。私も、同僚や先輩の医師と食事に行ったとき、本当に美味しそうにタバコを吸う人の姿には、何度も遭遇してきました。
ちょっと上品ではない表現ですが、「タバコを吸うバカ、吸わぬバカ」という言葉を禁煙された方から聞いたことがあります。これだけ健康に悪いと言われているのに、タバコを吸うというのはいかがなものか……一方で、あんなに美味しいものを知らないなんて!という意味が含まれているそうです。
しかし、初めてのタバコが本当に美味しかったという人は、極めて珍しいのではないでしょうか。
喫煙者への入り口……最初の1本を吸うきっかけは?
都会的に洗練された女性になるには、白くて細い指の先にタバコがいる… …。そんなイメージに引きずられるように吸い始めたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうなんです。誰でも最初の一本というものは、ただ煙たかったり、咳き込んでしまったり、ただまずかったり……。ゲホゲホ咳こみながら、何でこんなものをみんな美味しそうに吸っているんだろうと思う方が大半のようです。
では、なぜ、人は一本目のマズさを我慢しながらも田喫煙者になってしまうのか? それは、何か大人になれるような背伸びの感覚や、何か洗練された雰囲気をまとえるような一種のあこがれによるところも大きいと考えられます。
実際、タバコの広告の多くは、格好良く、都会的で、大人びた雰囲気の人がモデルとして出てくることが多いですよね。その雰囲気を目指して喫煙を続けていくと、薬物の影響で、だんだん本当に美味しいと感じるようになってしまいます。
これは、おなじみの「ニコチン」という薬物に対する肉体的依存によるものですが、タバコに対する憧れが強い場合は、精神的な依存ももたらします。肉体的かつ精神的依存が併存していることが、喫煙の習慣性、タバコの依存性を高めて、止めづらくなってしまう原因なのです。
まず大事なのは「1本目を吸わせない」こと
他のいわゆる薬物も同じですが、「1本だけ……」が通用しないタバコ。吸うほど肉体的依存性が高くなっていくメカニズムを考えると、子どもには1本目を吸わせないことが大切です。
法律では未成年の喫煙は禁じられていますが、それでも思春期から大人になってく時期に、1本目に手を出してしまった経験がある人は少なくないようです。思春期には、程度の差はあれ、誰しも一人前の大人になりたいと思ったり、何かしら格好をつけたいと思うもの。様々なメディアから流れてくる「タバコを吸うのはカッコイイ」「大人びて見える」という印象に流されてしまうのは避けたいものです。
日本は、諸外国に比べてタバコCMの表現や規制が緩いと言われています。タイミングによっては、かなり強いインパクトを子どもに与えてしまうでしょう。
また、子どもの喫煙は、副流煙の問題もさることながら、大人とはちょっと異なる、重大な問題を引き起こします。それは、生活や人生への大きな影響です。
●子どもの喫煙リスク・悪影響
子どもが喫煙者になるハードルを下げるのは、喫煙者の家族や 身近にいる大人。大切な子どもを守るためにも、タバコのない社会をと願わずにはいられません
未成年の喫煙は、法律でただ禁じられている以上の悪影響があります。
ニコチンへの依存が進むと、ニコチン補充のために喫煙を止められなくなりますが、子どもの場合は大人と異なりタバコを買うのも難しく、喫煙自体を隠れてするようになります。
ひどい場合は夜な夜な喫煙を楽しむあまりに学校生活のリズムとズレが出てきたり、万引きや窃盗などの手段で入手するようになったりと、犯罪行為に繋がってしまうこともあります。まさに、薬物中毒です。
また、未成年の飲酒もそうですが、法律で明確に禁じられている行為をすることで、そのほかの違法行為へのハードルが心理的に下がっていくという大きなリスクもあります。特に薬物乱用という観点からは、法律違反である喫煙から、シンナーなどの乱用、さらに大麻や麻薬などの違法薬物へとより深刻な依存症を引き起こすものへの流れを作りかねません。そういった観点から、タバコは「ゲートウェイドラッグ」と言われることもあります。
子どもがタバコを口にするのは、信頼する親や周囲の大人が喫煙者であるあることも大きな理由となっています。大切な子どもを守るためにも、ぜひ、タバコのない社会作りを目指したい。医師として、そして2人の子どもを持つ父親として大人の禁煙と、親も子どもも喫煙リスクを理解することの大切さを実感しています。
食後の一服は、何事にも代え難い。しかし、よくよく考えてみると、最初の1本目からそんなに美味しいわけではなかったのではないでしょうか?
美味しい料理を頂いた後、目を細めながら食後の一服……。テレビドラマや映画でも、一時期、頻繁に目にした光景です。私も、同僚や先輩の医師と食事に行ったとき、本当に美味しそうにタバコを吸う人の姿には、何度も遭遇してきました。
ちょっと上品ではない表現ですが、「タバコを吸うバカ、吸わぬバカ」という言葉を禁煙された方から聞いたことがあります。これだけ健康に悪いと言われているのに、タバコを吸うというのはいかがなものか……一方で、あんなに美味しいものを知らないなんて!という意味が含まれているそうです。
しかし、初めてのタバコが本当に美味しかったという人は、極めて珍しいのではないでしょうか。
喫煙者への入り口……最初の1本を吸うきっかけは?
都会的に洗練された女性になるには、白くて細い指の先にタバコがいる… …。そんなイメージに引きずられるように吸い始めたという方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そうなんです。誰でも最初の一本というものは、ただ煙たかったり、咳き込んでしまったり、ただまずかったり……。ゲホゲホ咳こみながら、何でこんなものをみんな美味しそうに吸っているんだろうと思う方が大半のようです。
では、なぜ、人は一本目のマズさを我慢しながらも田喫煙者になってしまうのか? それは、何か大人になれるような背伸びの感覚や、何か洗練された雰囲気をまとえるような一種のあこがれによるところも大きいと考えられます。
実際、タバコの広告の多くは、格好良く、都会的で、大人びた雰囲気の人がモデルとして出てくることが多いですよね。その雰囲気を目指して喫煙を続けていくと、薬物の影響で、だんだん本当に美味しいと感じるようになってしまいます。
これは、おなじみの「ニコチン」という薬物に対する肉体的依存によるものですが、タバコに対する憧れが強い場合は、精神的な依存ももたらします。肉体的かつ精神的依存が併存していることが、喫煙の習慣性、タバコの依存性を高めて、止めづらくなってしまう原因なのです。
まず大事なのは「1本目を吸わせない」こと
他のいわゆる薬物も同じですが、「1本だけ……」が通用しないタバコ。吸うほど肉体的依存性が高くなっていくメカニズムを考えると、子どもには1本目を吸わせないことが大切です。
法律では未成年の喫煙は禁じられていますが、それでも思春期から大人になってく時期に、1本目に手を出してしまった経験がある人は少なくないようです。思春期には、程度の差はあれ、誰しも一人前の大人になりたいと思ったり、何かしら格好をつけたいと思うもの。様々なメディアから流れてくる「タバコを吸うのはカッコイイ」「大人びて見える」という印象に流されてしまうのは避けたいものです。
日本は、諸外国に比べてタバコCMの表現や規制が緩いと言われています。タイミングによっては、かなり強いインパクトを子どもに与えてしまうでしょう。
また、子どもの喫煙は、副流煙の問題もさることながら、大人とはちょっと異なる、重大な問題を引き起こします。それは、生活や人生への大きな影響です。
●子どもの喫煙リスク・悪影響
子どもが喫煙者になるハードルを下げるのは、喫煙者の家族や 身近にいる大人。大切な子どもを守るためにも、タバコのない社会をと願わずにはいられません
未成年の喫煙は、法律でただ禁じられている以上の悪影響があります。
ニコチンへの依存が進むと、ニコチン補充のために喫煙を止められなくなりますが、子どもの場合は大人と異なりタバコを買うのも難しく、喫煙自体を隠れてするようになります。
ひどい場合は夜な夜な喫煙を楽しむあまりに学校生活のリズムとズレが出てきたり、万引きや窃盗などの手段で入手するようになったりと、犯罪行為に繋がってしまうこともあります。まさに、薬物中毒です。
また、未成年の飲酒もそうですが、法律で明確に禁じられている行為をすることで、そのほかの違法行為へのハードルが心理的に下がっていくという大きなリスクもあります。特に薬物乱用という観点からは、法律違反である喫煙から、シンナーなどの乱用、さらに大麻や麻薬などの違法薬物へとより深刻な依存症を引き起こすものへの流れを作りかねません。そういった観点から、タバコは「ゲートウェイドラッグ」と言われることもあります。
子どもがタバコを口にするのは、信頼する親や周囲の大人が喫煙者であるあることも大きな理由となっています。大切な子どもを守るためにも、ぜひ、タバコのない社会作りを目指したい。医師として、そして2人の子どもを持つ父親として大人の禁煙と、親も子どもも喫煙リスクを理解することの大切さを実感しています。