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東響第716回定期(11月11日)

2023年11月12日 | コンサート
音楽監督ジョナサン・ノットとドイツの正統派ピアニスト、ゲルハルト・オピッツとの共演によるベートーヴェン・プログラムだ。この二人の共演は一昨年12月のブラームスの2番以来となる。ノットにしてはリゲティがない素直なプログラムで、いささか拍子抜けの感もある。一曲目はピアノ協奏曲第2番変ロ長調作品19。何の衒いもなく弾き進むオピッツのピアノではあるが、その音色は極めて美しくとりわけ二楽章終盤のピアニッシモの美しさには耳をそばだてた。そこから終楽章へ入ってゆく微妙な間合いが私的にはこの演奏のハイライトだった。しかしやはり何となく物足りない印象を残したのは曲のせいか、はたまた演奏のせいか。続く交響曲第6番ヘ長調作品68「田園」は快速調で始まったが決してセッカチな感じがなかったのは、抑揚のタップリとある歌い回しのせいであろう。とりわけ一楽章のレガートを多様した滑らかな仕上がりに続く二楽章との心的連続性が感じられ、「絵画的というよりは、むしろ感情の表出」という作曲者の言葉をあらためてかみしめた。二楽章ではニュアンス豊かな木管群が多くの聞かせどころを作ったし、美しい音色とニュアンスを聞かせたホルンも讃えたい。全体にビブラートを抑えた極めてスッキリとした仕上がりの中に十分な滋味と精神的高揚を感じさせるノットらしい佳演だったといって良いだろう。

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