メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

プレイボーイとデート②Kissはどこにするものか

2018-08-02 14:13:38 | 雅留
雅留を探しに改札へ向かうと、すぐにそれらしい男の子を見つけた。
写真で予想した通り、背が高くて頭が小さくて、四肢が長い。
日本なら確実に褒められそうなスタイル。





「Hi」




意を決して声をかけた私を振り返り、彼は微笑んだ。
やばい。






めっちゃカッコイイじゃん





タイプですよーーーーー!!!!




「Hi Meisa, nice to meet you.」




と言って雅留は私を抱きしめた。
まぁ、この国ではハグはただの挨拶なわけなんだけど。
すぐに雅留はこの後の予定やら何やらについて話し出したけど、あまり聞き取れず、
もう少しゆっくり話してくれない?とお願いした。
しまった、という反応をして、ゴメンわかったよ、とスピードダウンしてくれた。





「綺麗な建物ね」





彼が連れて行ってくれたのは博物館の中のカフェだった。
9つも下の彼は、「君は払わなくていいよ」と不敵に笑ってシャンパンをおごってくれた。
シャンパングラス片手にお互いのことなど話していたが、彼は終始、こんな感じ。












「君の方が綺麗だよ」







あ、いやいや車じゃないけど。
背もたれに腕かけてんですわ。



雅留は十分にグッドルッキングだったのだが、なにせ9つも下の大学生。
こちとら笑い皺とほうれい線がきい気になりだしたアラサーアジア人。
ドキドキしていいものか、いなすべきなのか、正直微妙!
いやーだって私が高校生のとき小学生っしょ?
いやいやいやいやいや




「あ、ありあがとう。あなたっていつもこんなふうに女の子を口説くの?」

「まぁそうかな。嫌い?こっちのほうがいい?」




と笑い、今度は私の手をとった。
正直もうどっちでも委員だけど(いいのか)
当たり障りのないメールをして数ヶ月。
出会ってものの30分。
彼が私を好きなわけがないのにガンガン押してくるので正直戸惑いが隠せない。
仕事中ならそんなもんヨユーでスルーもしくはじゃんじゃんその気にさせちゃうんだけど、
いかんせんプライベートでは処女みたいな私なのだ。





「あなたは普段どんなものを食べるの?何か宗教はある?」

「うーん、アジア料理が結構好きかな。君は?」

「私も!辛いもの(HOT)好き?」

「好きだよ」






雅留は微笑んだ。





「君みたいなHOT(セクシー)なものがね」





9つ下だよね?





「私はそんなにセクシーじゃないわ(貧乳のアジア人体型だし)」

「セクシーだよ。たくさんの男が君に言い寄ってるでしょ?背が高い男だけ受け入れてるの?」

「まぁ確かに背が高い子が好きだけど…でも男の子の方が容姿でパートナーを選ぶでしょ」

「女の子だってそうだろ」




そうかしら?と、ふと彼の横顔を見つめると、感嘆のため息が漏れそうになった。
なんてキレイな横顔なんだろう。
めっっっちゃキレイ!!!!!
私のボタンみたいな鼻とは全然違うわ。(泣)
確かにこの顔じゃなかったら手を繋ぐのも腕を回されるのも違う印象なんだろうな。←正直
ていうかこんなキレイな子が私に何の用なんだ?!





カフェでの振る舞いはいちいち生意気だったけど、
色々な所を案内している時も変わらずマセていて。
とてもじゃないけど日本の9つ下の男の子と同じには思えなかった。



マセているっていうのはネガティヴな表現だけど、
もう少し的確に表現すると、彼は本当にスマートだった。
落ち着いているし、知識も豊富だし、女の子のことをちゃんとケアできるし(気が利くのよ)。
あと、多分育ちがいいんだろうけど品がある。
加えて、腕こそ回したものの、変に触ってくることもなければ、
道で手を繋ごうともしなかった。
兎に角、スマートだった。




ふーん。
なんか楽チンだなー。
可愛いし。(ていうかタイプ)←




もうちょっと仲良くなりたいかも……







「じゃぁね」





彼は伝えてあった時間通りに駅まで送ってくれた。
お家に連れ込まれちゃうかもぉーという私のアホな心配は全くの無駄だった。
うぅ、恥ずかしい。



改札口の近くで向き直り、彼はサヨナラのハグを求めて来た。
私はまだハグに抵抗があったけど(日本人だしハンサムな年下の男の子相手だし)、
ぎこちなく彼のリクエストに応えた。
私を抱きしめたまま、雅留は頬にキスをした。




わっ



ラッキー!←こら





私が笑ってごまかしていると、彼は私を見つめ言った。







「君も俺にサヨナラのキス、してくれる?」





えっっとぉー…





「ホッペに口紅がつくわよ?」

「構わないよ」





私はあまり口紅がつかないように気をつけながら、彼の頬にキスをした。
すると彼は言った。





「何なら俺は、唇にしてくれてもいいんだけど?」






…………。



ふーーーーーーーーーーーーーん。






私は彼の背に手を回したまま背伸びをして、
とても軽く彼の唇に触れた。
瞬間、雅留は私を強く抱き寄せた。
彼がキスする番だった。
キスの合間に、彼は私に訊ねた。





「Older sister って、日本語でなんて言うの?」

「お姉さん、って言うのよ」

「オネエサン、ね」





私を離すと、行って、と雅留は笑いもせずに言った。
背を向け、チラッとこちらを見て呟いた。





「Bye bye, sexy oneesan.」





颯爽と去って行く彼を、私はポカーンと見送った。
い、行くなよとか、好きだよとか、そういう甘い感じじゃないのね…
なんつーか……その……





ニューキャラクター(笑)




その後も雅留は頻繁にメールをくれた。
何度かデートを重ねた。
終始ちょっとキザでカナリ発情していたけど(爆笑)とにかくずっとスマートだった。←いや発情でスマートってなに




正直に言うと、私は彼といる間ずっと
「どうして私に構うんだろう」と思っていた。



彼くらいハンサムでスマートなら、そこら中に彼女候補がいる。
実際絶対彼はプレイボーイだ。




私は英語もろくに話せないし、肌もよれてるし(泣いてなんか…嘘です泣いてます)
何も好き好んでこんな謎のアジア人と付き合わなくてもいいんじゃねーの?と思っていたのだ。




だけど雅留はずっと、キレイだ、セクシーだ、君は僕のものだと夢中に見えたし、
たくさん親切なことをしてくれた。





だから、彼が私のことを見た目だけで好きになっているんだろうと予想しても
それでも尚一緒にいる価値があると思った。
だってそうでしょう?




優しくて、ハンサムで、スマートで、
ニューカマーの私に対してその街出身で知識豊富で



私が勉強しなきゃいけない言語のネイティヴスピーカーで



私には彼氏がいなくて







仁さんと同時進行だったけど。







続きます。











プレイボーイとデート①

2018-07-13 23:24:53 | 雅留
彼、雅留に出会ったのはやはりアプリだった。
あまり頻繁ではなかったものの、チャットした時はいつも彼は私を助けてくれた。
言語習得の点で、と言うよりはこの街についてのアドバイスだったけれど。
彼は当時私が住んでいた街出身だったので、来たばかりの私はいろいろなことを彼に教えてもらった。
美味しいレストランやバー。
観光地の中のおすすめスポット。
色々なことを教えてくれた。
スマートで知識豊富な男の子だったので、すっかり心を許しそうになったが、
かくいう彼も男だった。
ちなみに9つ下の。






『ねぇ、どうしてあなたのアカウント写真、あなたの後ろ姿なの?』





私が訊ねると、彼はすぐに、俺の写真別に面白くないし、と返事した。




『でもこれじゃ、あなたの顔がわからないわ』

『見たいの?』

『そうね!あなたは私のプロフィール写真見てるわけだし』

『いいよ。ただし君が俺に君の写真を送ってくれたら、ね』




と生意気な顔文字付きで送って来た。
ほー言うじゃん。
別に写真の1枚くらい見せますけど?





ピロリン





『ど、う、ぞ』





ピロリン





『可愛い!!!!!』





あら、ありがとう。
雅留は、君をナンパした10個下の男の気持ちがわかるよ!と続けた。
ありがとう。
自尊心上がる。

すぐに彼が写真を送ってくれたけど、それは彼の顔がやっぱりわかりにくいものだった。
1つよくわかったのは、頭が小さくて四肢が長いということ。
あと、多分私のタイプっぽいということだった。






『あなた、背が高そうね』

『そうでもないよ。この国じゃ平均くらい』

『(それは日本人にとっては高いです)そう?ま、相変わらずあなたの顔はよくわからないけど』

『俺の顔なんか見ても面白くないよ。実際滅多に自分の写真なんか撮らないし。
君みたいな美人とは違うんだよ』

『あら、どーも。そんなに美人じゃないけどね』

『美人だよ。俺の賛辞を受け入れないつもり?』

『そんな言い方されたら困るけど(笑)光栄ですわ』





私が知的ねと褒めれば、雅留は、君ほど美形じゃないけど知的ではあるよと余裕たっぷりに答えた。
確かに彼は9つの年の差を感じさせるような子供っぽいところが全くなく、
賢くて、いや、とにかくスマートな印象だった。
聞けばよく年上の連中とつるんでいるという。
当然元カノも年上が多く、それが彼には合っている、というのが彼の意見だった。




とかなんとか色々話していたのだけど、どうやら彼は軽そうで。
例えばクラブによく出入りしていることや、それを私にも勧めてくること。
私は正直、日本ですらクラブに行ったことがない。





『君がクラブに行ったら、たくさんの男が寄ってくると思うよ』

『それは別に求めてないけど』

『なんで?君は男は1人いればいいってこと?』

『ま、そうね』





ピロリン





『じゃ、俺が君を口説くよ。どう?』





( ´_ゝ`)





いやいやいや坊ちゃん。
あんた9つ下ですやん。





『ははは、会ってみてもいいけど、私はあなたにとっておばあさんだからデートにはならないわよ』

『君はそんな年寄りじゃないよ』

『わかんないじゃない』





とかなんとか言ってるうちに、いつしか会ってみることに話は決まっていた。
まぁとにかくなんども言っている通り、彼はスマートだったし、
彼に知識でたくさん助けてもらった。
ちょうど時間もあった。
それに正直に言うと、その頃の私は英語習得にすごく強欲で、
とにかく直接会って会話の練習をさせてくれる子を探していた。
新しい国での新しい生活。
それこそ同僚には弱ってる姿を見せないようにしていたけれど、言葉がとにかくストレスで。
一刻も早く上手くなりたい、楽になりたい、なってみせるという気持ちで動いていた。
彼がどんだけ軽かろうが年下だろうが関係ない。
私に会ってもたいと思ってくれて英語が流暢(ていうか彼の場合はネイティブだし!)なら十分。
おまけに知的で背が高いのだ。←私のタイプ
会わないほうがバカだ。←そうか?






後日。

私は緊張した面持ちで某駅の周りをウロウロしていた。
会わなきゃバカだなんて言ったものの、実際会うとなると流石に緊張する。
だってだって、9つ下だよ!?
初対面の子と仲良く話すのは超得意だけど、まさかそんなにピチピチの子とデートしたことはない。
おまけに雅留は私に夢を抱いているわけで、それもかなりのプレッシャー。
とにかく万全を期して来たけれど、それでもガッカリされる可能性は大いにある。
加えてここは彼のウチから近いらしい。
あわよくばなんて思われてたら困るなぁ、とため息をついた。
あぁ、自分のこういう処女みたいなところがホント面倒くさい。
お水だったくせに!





ピロリン






不意に携帯が鳴り、恐る恐る画面を見た。






『改札の前にいるよ。◯◯人の男を見つけて(笑)』





き、





来たぁぁぁーーーーーー!!!





続きます。