雅留を探しに改札へ向かうと、すぐにそれらしい男の子を見つけた。
写真で予想した通り、背が高くて頭が小さくて、四肢が長い。
日本なら確実に褒められそうなスタイル。
「Hi」
意を決して声をかけた私を振り返り、彼は微笑んだ。
やばい。
めっちゃカッコイイじゃん
タイプですよーーーーー!!!!
「Hi Meisa, nice to meet you.」
と言って雅留は私を抱きしめた。
まぁ、この国ではハグはただの挨拶なわけなんだけど。
すぐに雅留はこの後の予定やら何やらについて話し出したけど、あまり聞き取れず、
もう少しゆっくり話してくれない?とお願いした。
しまった、という反応をして、ゴメンわかったよ、とスピードダウンしてくれた。
「綺麗な建物ね」
彼が連れて行ってくれたのは博物館の中のカフェだった。
9つも下の彼は、「君は払わなくていいよ」と不敵に笑ってシャンパンをおごってくれた。
シャンパングラス片手にお互いのことなど話していたが、彼は終始、こんな感じ。
「君の方が綺麗だよ」
あ、いやいや車じゃないけど。
背もたれに腕かけてんですわ。
雅留は十分にグッドルッキングだったのだが、なにせ9つも下の大学生。
こちとら笑い皺とほうれい線がきい気になりだしたアラサーアジア人。
ドキドキしていいものか、いなすべきなのか、正直微妙!
いやーだって私が高校生のとき小学生っしょ?
いやいやいやいやいや
「あ、ありあがとう。あなたっていつもこんなふうに女の子を口説くの?」
「まぁそうかな。嫌い?こっちのほうがいい?」
と笑い、今度は私の手をとった。
正直もうどっちでも委員だけど(いいのか)
当たり障りのないメールをして数ヶ月。
出会ってものの30分。
彼が私を好きなわけがないのにガンガン押してくるので正直戸惑いが隠せない。
仕事中ならそんなもんヨユーでスルーもしくはじゃんじゃんその気にさせちゃうんだけど、
いかんせんプライベートでは処女みたいな私なのだ。
「あなたは普段どんなものを食べるの?何か宗教はある?」
「うーん、アジア料理が結構好きかな。君は?」
「私も!辛いもの(HOT)好き?」
「好きだよ」
雅留は微笑んだ。
「君みたいなHOT(セクシー)なものがね」
9つ下だよね?
「私はそんなにセクシーじゃないわ(貧乳のアジア人体型だし)」
「セクシーだよ。たくさんの男が君に言い寄ってるでしょ?背が高い男だけ受け入れてるの?」
「まぁ確かに背が高い子が好きだけど…でも男の子の方が容姿でパートナーを選ぶでしょ」
「女の子だってそうだろ」
そうかしら?と、ふと彼の横顔を見つめると、感嘆のため息が漏れそうになった。
なんてキレイな横顔なんだろう。
めっっっちゃキレイ!!!!!
私のボタンみたいな鼻とは全然違うわ。(泣)
確かにこの顔じゃなかったら手を繋ぐのも腕を回されるのも違う印象なんだろうな。←正直
ていうかこんなキレイな子が私に何の用なんだ?!
カフェでの振る舞いはいちいち生意気だったけど、
色々な所を案内している時も変わらずマセていて。
とてもじゃないけど日本の9つ下の男の子と同じには思えなかった。
マセているっていうのはネガティヴな表現だけど、
もう少し的確に表現すると、彼は本当にスマートだった。
落ち着いているし、知識も豊富だし、女の子のことをちゃんとケアできるし(気が利くのよ)。
あと、多分育ちがいいんだろうけど品がある。
加えて、腕こそ回したものの、変に触ってくることもなければ、
道で手を繋ごうともしなかった。
兎に角、スマートだった。
ふーん。
なんか楽チンだなー。
可愛いし。(ていうかタイプ)←
もうちょっと仲良くなりたいかも……
「じゃぁね」
彼は伝えてあった時間通りに駅まで送ってくれた。
お家に連れ込まれちゃうかもぉーという私のアホな心配は全くの無駄だった。
うぅ、恥ずかしい。
改札口の近くで向き直り、彼はサヨナラのハグを求めて来た。
私はまだハグに抵抗があったけど(日本人だしハンサムな年下の男の子相手だし)、
ぎこちなく彼のリクエストに応えた。
私を抱きしめたまま、雅留は頬にキスをした。
わっ
ラッキー!←こら
私が笑ってごまかしていると、彼は私を見つめ言った。
「君も俺にサヨナラのキス、してくれる?」
えっっとぉー…
「ホッペに口紅がつくわよ?」
「構わないよ」
私はあまり口紅がつかないように気をつけながら、彼の頬にキスをした。
すると彼は言った。
「何なら俺は、唇にしてくれてもいいんだけど?」
…………。
ふーーーーーーーーーーーーーん。
私は彼の背に手を回したまま背伸びをして、
とても軽く彼の唇に触れた。
瞬間、雅留は私を強く抱き寄せた。
彼がキスする番だった。
キスの合間に、彼は私に訊ねた。
「Older sister って、日本語でなんて言うの?」
「お姉さん、って言うのよ」
「オネエサン、ね」
私を離すと、行って、と雅留は笑いもせずに言った。
背を向け、チラッとこちらを見て呟いた。
「Bye bye, sexy oneesan.」
颯爽と去って行く彼を、私はポカーンと見送った。
い、行くなよとか、好きだよとか、そういう甘い感じじゃないのね…
なんつーか……その……
ニューキャラクター(笑)
その後も雅留は頻繁にメールをくれた。
何度かデートを重ねた。
終始ちょっとキザでカナリ発情していたけど(爆笑)とにかくずっとスマートだった。←いや発情でスマートってなに
正直に言うと、私は彼といる間ずっと
「どうして私に構うんだろう」と思っていた。
彼くらいハンサムでスマートなら、そこら中に彼女候補がいる。
実際絶対彼はプレイボーイだ。
私は英語もろくに話せないし、肌もよれてるし(泣いてなんか…嘘です泣いてます)
何も好き好んでこんな謎のアジア人と付き合わなくてもいいんじゃねーの?と思っていたのだ。
だけど雅留はずっと、キレイだ、セクシーだ、君は僕のものだと夢中に見えたし、
たくさん親切なことをしてくれた。
だから、彼が私のことを見た目だけで好きになっているんだろうと予想しても
それでも尚一緒にいる価値があると思った。
だってそうでしょう?
優しくて、ハンサムで、スマートで、
ニューカマーの私に対してその街出身で知識豊富で
私が勉強しなきゃいけない言語のネイティヴスピーカーで
私には彼氏がいなくて
仁さんと同時進行だったけど。
続きます。
写真で予想した通り、背が高くて頭が小さくて、四肢が長い。
日本なら確実に褒められそうなスタイル。
「Hi」
意を決して声をかけた私を振り返り、彼は微笑んだ。
やばい。
めっちゃカッコイイじゃん
タイプですよーーーーー!!!!
「Hi Meisa, nice to meet you.」
と言って雅留は私を抱きしめた。
まぁ、この国ではハグはただの挨拶なわけなんだけど。
すぐに雅留はこの後の予定やら何やらについて話し出したけど、あまり聞き取れず、
もう少しゆっくり話してくれない?とお願いした。
しまった、という反応をして、ゴメンわかったよ、とスピードダウンしてくれた。
「綺麗な建物ね」
彼が連れて行ってくれたのは博物館の中のカフェだった。
9つも下の彼は、「君は払わなくていいよ」と不敵に笑ってシャンパンをおごってくれた。
シャンパングラス片手にお互いのことなど話していたが、彼は終始、こんな感じ。
「君の方が綺麗だよ」
あ、いやいや車じゃないけど。
背もたれに腕かけてんですわ。
雅留は十分にグッドルッキングだったのだが、なにせ9つも下の大学生。
こちとら笑い皺とほうれい線がきい気になりだしたアラサーアジア人。
ドキドキしていいものか、いなすべきなのか、正直微妙!
いやーだって私が高校生のとき小学生っしょ?
いやいやいやいやいや
「あ、ありあがとう。あなたっていつもこんなふうに女の子を口説くの?」
「まぁそうかな。嫌い?こっちのほうがいい?」
と笑い、今度は私の手をとった。
正直もうどっちでも委員だけど(いいのか)
当たり障りのないメールをして数ヶ月。
出会ってものの30分。
彼が私を好きなわけがないのにガンガン押してくるので正直戸惑いが隠せない。
仕事中ならそんなもんヨユーでスルーもしくはじゃんじゃんその気にさせちゃうんだけど、
いかんせんプライベートでは処女みたいな私なのだ。
「あなたは普段どんなものを食べるの?何か宗教はある?」
「うーん、アジア料理が結構好きかな。君は?」
「私も!辛いもの(HOT)好き?」
「好きだよ」
雅留は微笑んだ。
「君みたいなHOT(セクシー)なものがね」
9つ下だよね?
「私はそんなにセクシーじゃないわ(貧乳のアジア人体型だし)」
「セクシーだよ。たくさんの男が君に言い寄ってるでしょ?背が高い男だけ受け入れてるの?」
「まぁ確かに背が高い子が好きだけど…でも男の子の方が容姿でパートナーを選ぶでしょ」
「女の子だってそうだろ」
そうかしら?と、ふと彼の横顔を見つめると、感嘆のため息が漏れそうになった。
なんてキレイな横顔なんだろう。
めっっっちゃキレイ!!!!!
私のボタンみたいな鼻とは全然違うわ。(泣)
確かにこの顔じゃなかったら手を繋ぐのも腕を回されるのも違う印象なんだろうな。←正直
ていうかこんなキレイな子が私に何の用なんだ?!
カフェでの振る舞いはいちいち生意気だったけど、
色々な所を案内している時も変わらずマセていて。
とてもじゃないけど日本の9つ下の男の子と同じには思えなかった。
マセているっていうのはネガティヴな表現だけど、
もう少し的確に表現すると、彼は本当にスマートだった。
落ち着いているし、知識も豊富だし、女の子のことをちゃんとケアできるし(気が利くのよ)。
あと、多分育ちがいいんだろうけど品がある。
加えて、腕こそ回したものの、変に触ってくることもなければ、
道で手を繋ごうともしなかった。
兎に角、スマートだった。
ふーん。
なんか楽チンだなー。
可愛いし。(ていうかタイプ)←
もうちょっと仲良くなりたいかも……
「じゃぁね」
彼は伝えてあった時間通りに駅まで送ってくれた。
お家に連れ込まれちゃうかもぉーという私のアホな心配は全くの無駄だった。
うぅ、恥ずかしい。
改札口の近くで向き直り、彼はサヨナラのハグを求めて来た。
私はまだハグに抵抗があったけど(日本人だしハンサムな年下の男の子相手だし)、
ぎこちなく彼のリクエストに応えた。
私を抱きしめたまま、雅留は頬にキスをした。
わっ
ラッキー!←こら
私が笑ってごまかしていると、彼は私を見つめ言った。
「君も俺にサヨナラのキス、してくれる?」
えっっとぉー…
「ホッペに口紅がつくわよ?」
「構わないよ」
私はあまり口紅がつかないように気をつけながら、彼の頬にキスをした。
すると彼は言った。
「何なら俺は、唇にしてくれてもいいんだけど?」
…………。
ふーーーーーーーーーーーーーん。
私は彼の背に手を回したまま背伸びをして、
とても軽く彼の唇に触れた。
瞬間、雅留は私を強く抱き寄せた。
彼がキスする番だった。
キスの合間に、彼は私に訊ねた。
「Older sister って、日本語でなんて言うの?」
「お姉さん、って言うのよ」
「オネエサン、ね」
私を離すと、行って、と雅留は笑いもせずに言った。
背を向け、チラッとこちらを見て呟いた。
「Bye bye, sexy oneesan.」
颯爽と去って行く彼を、私はポカーンと見送った。
い、行くなよとか、好きだよとか、そういう甘い感じじゃないのね…
なんつーか……その……
ニューキャラクター(笑)
その後も雅留は頻繁にメールをくれた。
何度かデートを重ねた。
終始ちょっとキザでカナリ発情していたけど(爆笑)とにかくずっとスマートだった。←いや発情でスマートってなに
正直に言うと、私は彼といる間ずっと
「どうして私に構うんだろう」と思っていた。
彼くらいハンサムでスマートなら、そこら中に彼女候補がいる。
実際絶対彼はプレイボーイだ。
私は英語もろくに話せないし、肌もよれてるし(泣いてなんか…嘘です泣いてます)
何も好き好んでこんな謎のアジア人と付き合わなくてもいいんじゃねーの?と思っていたのだ。
だけど雅留はずっと、キレイだ、セクシーだ、君は僕のものだと夢中に見えたし、
たくさん親切なことをしてくれた。
だから、彼が私のことを見た目だけで好きになっているんだろうと予想しても
それでも尚一緒にいる価値があると思った。
だってそうでしょう?
優しくて、ハンサムで、スマートで、
ニューカマーの私に対してその街出身で知識豊富で
私が勉強しなきゃいけない言語のネイティヴスピーカーで
私には彼氏がいなくて
仁さんと同時進行だったけど。
続きます。