メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

週に一回なんて絶対イヤだ

2018-11-10 00:42:11 | 咲人
そのメッセージは本当に長くて、全部読むためにはまぁまぁでかい携帯画面を二回スクロールする必要があった。
全部載せたいけど、無理なのでかいつまむとこんな内容だった。



『メイサ

1000の誤解の代わりに、電話する時間を見つけよう。
俺は写真にガッカリしてないし、君の英語も問題なかった。
俺の期待通りの写真だったよ。 ←いやそんな説明しなくていいよ

俺の提案はこうだ。
もし俺たちがこれからもコミュニケーションを重ねて行きたかったら、
なんとしてでも時間を見つけていこう。

チャットは悪くない。でもビジネスシーンとかでもっと重宝されるべきものだ。
ネイティブスピーカー同士でも誤解を招きやすい。』



ダカラ、と突然日本語を挟んでさらに続けた。



『俺は今まで何度もして来たみたいに、時間を見つけて電話したほうがお互いのためにいいと思う。
どう思う?』



よくわからんが、最後に可愛いくウィンクした絵文字も付いていた。
いやめっちゃ長いし、何回時間見つけよう言うねん。
私は目をまん丸くしてそれを読み、ちょっと面食らってしまった。
が、別にイヤな気はしなかった。
長々と理屈っぽく説明するのはいつものことだし、それが彼なりに真面目に取り組んでいるんだともわかった。
何より、そんなに長々書いてまで週一を回避したい気持ちが嬉しかった。



可愛いじゃん。



ポチポチポチ



『えーっと、その話長くて難しすぎるわ。
誤解を防ぐために電話で15分話さない?(笑)』



とせっかく提案したが、家族に会うからちょっと無理って話になった。(チーン)



『君が良ければ明日かけるよ』

『オッケー。じゃぁまたね』



咲人は優しいし、偉そうな話し方に合った大人っぽい男だったけど、
時々こんな風に可愛くて、ちょっと変わってた(笑)
私は彼のそんな不器用なところもすごく好きだった。
すごく。




続きます。

パンツの話

2018-11-09 00:57:47 | 咲人
仁から連絡がなかったのは想定の範囲内だった。
元より彼のことはもう信頼していない。
そもそも彼も私のことを舐めているのでそんなもんだろう。

傷つく必要もないのでまったく傷つきもせず、ただただ心の中で彼の価値が下がった。
一方で愛しの(笑)咲人とは仲良くおしゃべりしていた。
彼はマメだ。



『咲人、新しいパンツ見たい?』

『ははは。今それ履いてるの?』

『いいえ?』

『じゃ、どうやって見せるつもり』

『見たいの?』



私の質問に答えず、彼は、すでに写真あるの?と訊いてきた。
彼はなかなか折れない。
私はパジャマの長ズボンを撫でて答えた。



『私が訊いてるのよ、答えなきゃ』

『うーん、難しい質問だな』

『正直になりなさいよ。私はヴァンパイアだから人間の女の子相手の時ほど気にしなくて大丈夫よ♡』

『…NO。俺は待ったほうがいいと思う。で、多分会ったときに見る』



ほーお。しぶといわね。



ポチポチポチ



『えっと。すでに写真あるけど?』



咲人の返事は



『🙈』



超可愛い



でも、すぐにこう続けた。



『でもその写真見ても、直接見るのと同じくらい良くはないだろ』



あら。



『確かにそうだけど。
じゃ、本当に見たくないってこと?
私がもう写真持ってて、それ見せるのイヤじゃなくても?』



パンツって言っても
ショーパンのことなんだけどね。
もちろん彼もわかってて話しているのだが、彼はショーパン履いた私の脚の写真が要らないらしい。




『うーん。それって今日限定のオファーなの?(笑)
俺、今度ビデオコールするときに見たいんだけど』

『は!?ライブがいいってこと?』




賢いな!(笑)と咲人が答えた。




『咲人…ここは寒いから夜にショーパン履けないわよ。(笑)』

『俺んとこは気温こんな感じだけど?』

『こっちは違うんだって』

『知ってるよ』

『ま、あー。咲人が見たくない限りは私も今夜は送れないわ』




ピロリン



『今見たいです』



見るんかい



キャハハハと笑っているメッセージを送ると、むすっとした反応をされた(笑)
おニューのショーパンを履いてる写真を送ってやると、
いいね、似合ってるね、と素っ気ない返事が来た(笑)



『咲人は素直じゃないわね(笑)』

『俺は、今でも直接見たほうがいいと思ってるんだ。
写真は所詮写真だ。一点からの画でしかない』



ピロリン



『俺は今、後ろがどうなってるか気になってる』



お尻じゃん




『爆笑!!咲人、私お尻の写真はないわよ!』

『だろうと思った』

『ごめんね。撮らなきゃ(笑)』

『いいんだ。そこ寒いんだろ』



と、急に紳士ぶったのが余計におかしくて、私は声を上げて笑った。
咲人とチャットしているといつもこんな感じだ。
ニヤニヤしながら、咲人はあの写真にガッカリしちゃったみたいねと送った。
結構なショーパンだから喜ぶかと思ったけど。男ですもの。
すぐに咲人から返信が来た。



『なんで俺がガッカリしたと思ったんだ?』



え?いや、そんな深い意味ないけど…



ポチポチポチポチ




『まぁその、あなたが欲しかった写真と違ってガッカリしたでしょって思っただけよ。
私の英語、変だった?ごめんなさいね、いつもながら(笑)』




すぐに咲人のコマンドは入力中になったが、一向にメッセージは送られてこなかった。
バグか?とも思ったが、うつらうつらしながら書いてるのかもしれないし…と待ってみた。
しばらくして、めちゃめちゃ長いメッセージ届いた。






続きます。

情なのかな

2018-11-07 20:38:24 | 
仁と出会って、会ったこともない彼に恋をした。
毎日気になって、幸せな気持ちにしてもらった。
楽しかった。
彼のことを深くなんか知らなかった。
日本語が話せて、背が高くて、会話してて楽しくて。
でもところどころ子供っぽくて。
冷静に判断すれば、それだけ本当に好きだったと言えないかもしれないけれど、
逆にそんな情報だけで冷静な判断なんか出来ない。
2人とも、不思議だけど、恋に落ちていた。

私は訊いた。




「仁ちゃんは決められる立場じゃないって言ってたけど、じゃぁ私が決めていいの?」

「うん」

「私が決めた通りになるの?その権利がある?」

「うん」

「じゃあこうしたいっていうのがあるけど、それ言っていいのかな」



と私が回りくどい事を言っていると、業を煮やしたのか勝手なのか、仁が話し始めた。



「一番良いのは」

「なに?」

「出来るだけ早く一度会って、そしたらいろいろな事が簡単になると思う」



いやだからそれもっと早くやっとけよ。
と思ったが言わなかった(笑)
私はハッキリとした口調で言った。



「仁ちゃん、会おうよ」



仁はうんと答えた。




「いつ?」

「俺が来月試験が始まるから、できるだけすぐがいい。でも俺が行けるのが週末だから」

「じゃぁ週末に休みとるよ」

「わかった」



仁は続けた。



「だから、明日起きたらすぐホテルと飛行機予約する」





(´⊙ω⊙`)





「…実はね。仁ちゃんが来るって言ってた頃、美容院に行ったんだよ。
綺麗にして会いたいなと思ったから」

「ほんとうに?」

「うん」

「うわ、今それを聞いてもっと悪いと思ってる」

「もういいよ許してあげるよ」

「ごめん…」

「怒ってないよ。怒ってないけど………」




本当に来るのかな。




「今度はちゃんと来て」



仁はうんと答えた。
でも前回の件でかなり罪悪感を感じていたのか(いやじゃぁもっとちゃんと埋め合わせろよの一言)
「でも今度は全部予約してから約束する」と言った。
来るんちゃうんかい。


私は言った。




「来て、メイちゃんに触って」

「うん触るよ。俺が悪かったから、今回は何でもしてあげる」

「何でもして」

「うん」

「仁ちゃん、悪い子だったからね。たくさん優しくしてね」

「わかった、ちゃんと埋め合わせするよ」




私が花とか好きだよと言うと、彼は笑った。




「じゃあ俺の鼻の写真送ってあげる」

「そのハナじゃないよ」

「知ってる(笑)わかったよ」

「じゃあ、明日起きたら調べて」

「うん」




ふと見ると、時刻は丑三つ時。





「仁ちゃん、今日はもう寝よう」

「俺が眠いのわかった?」




いや私が眠い(笑)




「メイちゃんももう寝る?」

「うん寝るよ」



そっか、と答える仁はどこか嬉しそうだった。




「おやすみメイちゃん」

「おやすみなさい、明日また連絡して」

「わかった」






じゃぁね、と言って電話を切った。
暗い部屋に、窓から入る街灯の光が筋を作っている。
月明かりなら優しくおぼろかもしれないけど、人工的なそれはそこだけ煌々として見えた。



なんでこんな事になったんだろう。


あたし、仁のこともう好きじゃないのにな。




今ならそう思えるけれど、その時の私は
何度も書いた通り
きちんと終わっていなかった彼とのことがまだ心に溜まっていて


どんなに咲人のことが好きだと実感しても
思い出の綺麗さに縛られていたのだと思う。



仁に、きちんとして欲しかったんだと思う。
どんな方向でもいいから。



私は多分、結構センチメンタルで情深い人間だ。



と同時に



結構疑い深い。






仁が本当に来たら私、どうするんだろう。
本当に来たら。
本当に…?




来る気がしなかった。





そして




約束をした翌日





仁は連絡してこなかった。





続きます。