「サヨナラ言わないのかよ!?」
アイアンの言葉に、あたしは足を止めた。
きちんと別れの言葉を言う気なんかない。
そもそも何も始まってないじゃん。
だけどアンタ、あたしのこと怒らせたわね。
くるりと踵を返すと、私はツカツカと彼のもとへ戻って行った。
アイアンは安堵したように、両手を広げて私を迎えたが、
ふと私の足元を見て言った。
「なんで君の足、そんな色してるの?」
「靴下よ」
パンプスから覗く足の甲が病的に白い。
透ける素材の靴下を履いていた。
「あーそっか!俺足の色が変わるほど君が寒いのかと…」
彼が言い終える前に、私は左手を差し出した。
「手を握ってくれない?」
Sure!と言ってアイアンは私の手を握った。
そして私は右手で、右足の靴を脱がせた。
青白い足が露わになった。
「あ、靴の中に何か入ったの?」
アイアンがそんなことを言っているのを聞きながら
私は右手に握ったパンプスを振り上げた。
バスッ!と鈍い音がして、
アイアンはぶん殴られた自分の胸ぐらに目をやった。
「Whaaaaaat!?」
もちろん顔を殴ってやりたかったけど、
人を靴で殴るのは人生で初めてなので、両親が咎めた。(良心です。両親も咎めるだろうけど)
それに、なんだかんだ185以上ある男とアジア人の女じゃ、
マジギレされたら敵わない。(なので武器はフェアだと思う真顔)
落とし所ってゆーか、殴りどころだったのが胸ぐらだった。
でも彼の反応を見たら、やっぱ顔いっときゃ良かったとちょっと後悔した。
あたしはもういっちょ叩こうとしたけど、案の定阻止された。
ならば左手でと靴を持ち替えて、今度は顔を狙った。
アイアンは持っていたヘッドフォンでそれを受けたので、
さっきとは違ってカーン!という良い音が広場に響いた。
「メイサ!メイサ!メイサ、待って!」
と防御しながら、アイアンは私の両腕を捕まえた。
どう考えたってこんなにデカイ男に勝てるわけがない。
それでもベストを尽くす素晴らしい姿勢の持ち主は、(私)
今度は下腹部を蹴飛ばしたけど、
靴の脱げた青白い足で蹴っても、アイアンにとって大したダメージにならなかっただろう。
「はぁ、はぁ……」
私が疲れた(弱!)のを察して、アイアンはさっと距離をとった。
そして叫んだ。
「メイサ……なんで殴るんだよ!?」
私はキッと彼を見やった。
彼の後ろを、白人金髪のカップルが歩いているのが見えた。
彼ら以外にも、ベンチにはまばらに客がいた。
スタバで会おうと提案したアイアンに
此の場所を指定したのに、理由が二つある。
一つは、スタバで殴ったら私が店員に止められる可能性があるから。
もう一つは……
白人カップルが近くまで来たのを確認して、私は声を張り上げた。
「Because you touched my boobs!!
アンタが私のおっぱい触ったからよ!」
アイアンは目を見開いた。
白人カップルは一瞬立ち止まると、クルッと進行方向を変えた。
アイアンは周りを見回した。
「B....? Haha... hey Meisa, did you think I was about to touch your boobs?
See, there are people......
おっ…? メ、メイサ……はは。君、俺が君のおっぱい触ろうとしたと思ったの?
ホラやめてよ、人が見てるよ……」
「(知ってるよーだ)
YOU DID IT!!
触ったじゃない!!」
事なかれ主義のアイアン。
嘘つきのアイアン。
そして人の目が気になるアイアン。
そう、あなたって、とってもこの国の人間らしいわ。
あなたが何を嫌いか、私はよく知っているのよ。
私の思惑がわかったらしいアイアンは、顔色が変わった。
さっきまでのヘラヘラ顔は消え失せ、
怒りも露わにOK,OKと繰り返しながら、
私に背を向けて歩き出した。
あーらーらー。
サヨナラも言わないのぉー?
私も
「Fuckin’ cheater!
クソ浮気野郎!」
と鼻息荒く言い捨てて、歩き出した。
殴った靴は
ちょうど今朝かかとのラバーを
直したものだった。
続きます!
アイアンの言葉に、あたしは足を止めた。
きちんと別れの言葉を言う気なんかない。
そもそも何も始まってないじゃん。
だけどアンタ、あたしのこと怒らせたわね。
くるりと踵を返すと、私はツカツカと彼のもとへ戻って行った。
アイアンは安堵したように、両手を広げて私を迎えたが、
ふと私の足元を見て言った。
「なんで君の足、そんな色してるの?」
「靴下よ」
パンプスから覗く足の甲が病的に白い。
透ける素材の靴下を履いていた。
「あーそっか!俺足の色が変わるほど君が寒いのかと…」
彼が言い終える前に、私は左手を差し出した。
「手を握ってくれない?」
Sure!と言ってアイアンは私の手を握った。
そして私は右手で、右足の靴を脱がせた。
青白い足が露わになった。
「あ、靴の中に何か入ったの?」
アイアンがそんなことを言っているのを聞きながら
私は右手に握ったパンプスを振り上げた。
バスッ!と鈍い音がして、
アイアンはぶん殴られた自分の胸ぐらに目をやった。
「Whaaaaaat!?」
もちろん顔を殴ってやりたかったけど、
人を靴で殴るのは人生で初めてなので、両親が咎めた。(良心です。両親も咎めるだろうけど)
それに、なんだかんだ185以上ある男とアジア人の女じゃ、
マジギレされたら敵わない。(なので武器はフェアだと思う真顔)
落とし所ってゆーか、殴りどころだったのが胸ぐらだった。
でも彼の反応を見たら、やっぱ顔いっときゃ良かったとちょっと後悔した。
あたしはもういっちょ叩こうとしたけど、案の定阻止された。
ならば左手でと靴を持ち替えて、今度は顔を狙った。
アイアンは持っていたヘッドフォンでそれを受けたので、
さっきとは違ってカーン!という良い音が広場に響いた。
「メイサ!メイサ!メイサ、待って!」
と防御しながら、アイアンは私の両腕を捕まえた。
どう考えたってこんなにデカイ男に勝てるわけがない。
それでもベストを尽くす素晴らしい姿勢の持ち主は、(私)
今度は下腹部を蹴飛ばしたけど、
靴の脱げた青白い足で蹴っても、アイアンにとって大したダメージにならなかっただろう。
「はぁ、はぁ……」
私が疲れた(弱!)のを察して、アイアンはさっと距離をとった。
そして叫んだ。
「メイサ……なんで殴るんだよ!?」
私はキッと彼を見やった。
彼の後ろを、白人金髪のカップルが歩いているのが見えた。
彼ら以外にも、ベンチにはまばらに客がいた。
スタバで会おうと提案したアイアンに
此の場所を指定したのに、理由が二つある。
一つは、スタバで殴ったら私が店員に止められる可能性があるから。
もう一つは……
白人カップルが近くまで来たのを確認して、私は声を張り上げた。
「Because you touched my boobs!!
アンタが私のおっぱい触ったからよ!」
アイアンは目を見開いた。
白人カップルは一瞬立ち止まると、クルッと進行方向を変えた。
アイアンは周りを見回した。
「B....? Haha... hey Meisa, did you think I was about to touch your boobs?
See, there are people......
おっ…? メ、メイサ……はは。君、俺が君のおっぱい触ろうとしたと思ったの?
ホラやめてよ、人が見てるよ……」
「(知ってるよーだ)
YOU DID IT!!
触ったじゃない!!」
事なかれ主義のアイアン。
嘘つきのアイアン。
そして人の目が気になるアイアン。
そう、あなたって、とってもこの国の人間らしいわ。
あなたが何を嫌いか、私はよく知っているのよ。
私の思惑がわかったらしいアイアンは、顔色が変わった。
さっきまでのヘラヘラ顔は消え失せ、
怒りも露わにOK,OKと繰り返しながら、
私に背を向けて歩き出した。
あーらーらー。
サヨナラも言わないのぉー?
私も
「Fuckin’ cheater!
クソ浮気野郎!」
と鼻息荒く言い捨てて、歩き出した。
殴った靴は
ちょうど今朝かかとのラバーを
直したものだった。
続きます!
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