メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

年下ご主人様とワンワン

2018-08-17 09:24:25 | 翔一
『ちょっ、チョーカーじゃなくて!?』



驚愕‼︎というスタンプと共に、みずきのコメントが上がった。
可愛いキャラクターが白眼になって、脇には小さい魚のイラストも描かれている。
ギョッてことだ。
私は吹き出し、軽快に続きをしたためた。



『そうなの。首輪よ、く、び、わ。
悪ノリしてワンワンって言ったら、可愛い〜!って大喜びしてました』

『雅留くんの独占欲、もはや国籍の問題じゃないと思います!』

『雅留くん、メイサちゃんに首輪を下さるとは…それで良いのか22歳』




そう、なぜか知らんが雅留は私に首輪をプレゼントしてくれた。
ていうかもっと言うと他にも色々くれた。
私はプレゼントに関してはスーパー女脳の持ち主なので、花とか光物が欲しかったのだが、
そういった類ではなく完全にSさんとMさんに傾倒した物ばかりくれた。
手錠に首輪、それからちょっとセクシーな下着。
そんなもん使うチャンスが一度もないうちからだ。
恐らくこれから一緒に使う気なのだろうけど。



『おまけに私のことワンワンって呼ぶ』



私の追記にヒロちゃんは、ご臨終ですとスタンプで返した。(爆笑)


まぁーね。
私だって9個も下のご主人様(笑)ができるとは思ってなかったわ。
でも貰っちゃったんだよなぁ。
正直そーゆーのも嫌いじゃないと思うけど、実際やってみたことはないからな。




んー、と考えを巡らせる。
首輪を買った時は、雅留が着けてみてくれた。
2人きりの試着室で顎を上げさせられ、彼の手と真っ赤な首輪が私の首を這う。
鏡に映ったそれを見た時、物凄く緊張したのを覚えている。
うん、多分好きだわ。





『………ってな事があって、首輪貰ったのよ!めっちゃ年下の子に(笑)』




と、書いて送信ボタンを押すと、すぐに翔一の発言リストに入力中マークがついた。
昼間は女子トークで、夜は英語の勉強を言い訳にアプリ上で。
私は雅留の話を酒の肴にしていた。
私がワインに口をつけたところで、翔一から返信が届いた。
今夜は英語だ。




『へー。面白い経験したね笑』

『あら、あんまりびっくりしてないわね』

『いや、だって僕も色々持ってるからね』



はい?



『えっなに?首輪持ってるの?』

『んー、首輪は持ってないけど、手錠はあるよ』




(´⊙ω⊙`)




『マジで?他になに持ってるの??』

『んー、、、目隠しとかロープとか(笑)鎖とか』




柔らかいのもあるよ、といらん余談もくれた(笑)



ちょ、ちょちょちょ
欧米人ってそうなの?
いや日本にもいると思うけど皆もっと隠してるって言うか、そこまでメジャーじゃないっていうか…
私が気持ちショジョなだけ?




『お店で買ったの?それともインターネット?』←聞くんかい

『んー、半々。前に彼女と一緒に。』

『…楽しそうだね』

『(笑)楽しいよ。』




話が弾むにつれ、翔一はそういうツールが大好きな事がわかった。
というか、彼いわく性に対して貪欲なんだそうだ。
そういう話題について話すのは好きだけど、話したい相手と話したくない相手はいる。
それは彼にとっても同じだったようだけど。





『翔一はこういう話は誰とでもするの?』





英語に疲れた私の提案により、今度は日本語でチャットを始めた。
こういうスイッチが楽にできる相手は、本当に貴重。




『いや、元々あんまりしない。好きだけど。(私と同じだわ←お前してるだろ)
聞かれたら正直に返事するけど 』

『そうなのね』

『何かね、性格的にも信頼できそうな人とか気になる人だったらする。
誰でもは楽しくない。関係は大事かな。』




メイサは?と聞かれたので考えてみた。
考えている間に、よかったら違うアプリで話さないかと提案された。





『ずっとここで話すの、なんか変。
特にあんなトピック(笑)』



ま、そうか?



『いいよ、違うのでも、ラインとか』

『嫌だったらハッキリ言って良いよ』

『イヤじゃないよー。
私は、オンラインなら結構誰とでもああいう話できるかな。リアルだったら多分なかなかしない』

『んーそうだね。そういうパターン多いと思う』

『翔一とは沢山話してるけど、8割はああいうどーでもいい話してるよね』

『(笑)』

『私は楽しいけど、翔一はどうなんだろうと思って聞いてみたんだ』




相手が辛抱強い人の場合、一見会話が弾んでいても楽しんでいない事がある。
自分自身そういう表面的なことをする人間だし、人間にはありがちな事だと思う。



そういうところを、汲めていたならもっと違う未来があったのかなって
思う時が何度かあった。




突然連絡が途絶えた仁さん。




私はずっと、その理由を探してもがいていた。




私には理解しがたい彼の行動。




でも、もしかしたら私が何かしてしまったのかなって
思いついてしまった。




思えば最近、心を開きすぎていたかもしれない。
親しき仲にも礼儀ありっていう日本語を、忘れていたかもしれない。




彼が私の国に来れなかったのも、もしかしたら来たくなかったのかもしれない。
そう思わせたのは最近の私の言動がいけなかったのかもしれない。




それなら辻褄が合ってくる。
と、思いついてしまったのだ。





そんな心の内を知らない翔一は、メイサが話しやすいからだよと優しい返信をくれた。




『あんなくだらない茶番(笑)なかなか付き合ってくれる人いないよ』

『ま、そうかもね』

『メイサ、頭の回転速いし』

『しかも勉強中の言語で話すのしんどいわ笑』

『ユーモアのセンスもいいし、好き(笑)』





私は吹き出した。





『ははは、告白されたわ。下ネタ話してたら(笑)』

『(笑)』

『そういえば昨日、彼氏いないか聞いたよね』




返事を避けたわけじゃなのだけど、相当流暢な翔一と
英語でオブラートに包んだ下ネタを話すのは結構大変で、質問の全ては拾えなかった。




『いないよ。誰かいい人いたら紹介して。』

『ははは(笑)今いるよって言ったらなんか最悪(笑)』

『ちなみに好みのタイプは頭が良くて優しい人かな。国籍は不問』




じゃぁ僕はただの外人だから無理かな😹、と翔一は可愛い絵文字と一緒に送ってきた。
翔一はいつも温厚で可愛い。
イエスとノーはハッキリしているけど、怒るところが想像できない。
イエスとノーがハッキリしてないのにパッションが過ぎる私とは、白人アジア人以外でも違う人種だ。


そして、突然連絡が途絶えた不誠実な仁さん
偏屈で七面倒臭い変人の咲人



同じ国籍である彼らとも、違っていた。






パジャマに着替えさせて

2018-08-15 18:30:41 | 翔一
ある晩、私が1人家にいると新しい男からメッセージが届いた。




『やぁ、君もこの町に住んでるの?今夜は何してるの?』




プロフィールをチェックしてみると、同じ町に住むハンサムな男性だった。




『初めまして。今夜は家で飲んでるわ』

『返事ありがとう!1人なの?誰か一緒に飲む相手はいらない?(^_-)』

『はは、欲しいけどね』

『オッケー、どこが最寄駅?』

『(いや来るなよ)あらあなた来る気なの?ずいぶん急ね』

『もちろん!』




あーこれダメなケースだわ。
お友達になれたらよかったけど、残念。
ポチポチポチ




『私今パジャマなのよ。あなたに会うならドレス着てる時の方がいいわ、また今度ね』

『大丈夫!僕もパジャマなんだ!』


そういう問題じゃない






『パジャマで出たら寒いんじゃない?
着替えたほうがいいわよ。じゃなきゃ風邪ひくし、パジャマパーティーになっちゃうし』

『そのつもりだけど?(^^)v』




あーもー何だこりゃ。



私は返信するのをやめた。
と共に、同時進行でチャットしていたある男にこの話を報告した。
ポチポチポチ





『翔一、助けて。今超変な奴とメッセージしてた(笑)』




すぐにピロリンと明るい音と共に返事が来た。
翔一は日本語が話せるので、オールジャパニーズで。




『なに?どしたの』

『かくかくじかじかで、パジャマ着てウチくるって。
初めて連絡したのに変な奴(笑)』




この翔一という男は、咲人、仁と同じ国籍の男で、母国語でないにもかかわらず英語がとっても流暢な人種だ。(マジ嫉妬)
やけウンチの時に連絡を取った、一番ハンサムな男である。
しかも、一番日本語が上手い。
もはやスーパーナチュラル。



日本語が流暢な人と話すのは正直何のメリットもない。
訛りが強くなく、英語がネイティブか堪能で、日本語があまり上手くないけどちょっと話せる、程度の人が完璧だ。
それでも翔一と話していたのは、翔一がとても親切だったからだ。


初めは英語だけで長々チャットをしたので、彼は日本語が話せないのだと思った。
しかしふとプロフィールを見直したら、日本語レベルはマックスにチェックしてあった。
日本語で話してみたいんだけど、と提案したら、『今更?(笑)』と日本語で返ってきて度肝が抜かれた(笑)
私の勉強になるし後で日本語にスイッチすればいいだけの事じゃん、と英語だけでチャットしていた理由を説明され、コイツ良い奴!認定してしまった。



そんなわけで、その晩も仲良く日本語でチャットしていたのだが、彼の返事は予想外のものだった。



『なんで?本当にパジャマパーティーしたくないなら、メイサはなんでそんな返信したの』



は?



『なに、私が悪いっていうの?』

『悪いって言ってないよ。飲む仲間欲しいって言ったから彼もその気になったんじゃない』



むーーーー!!!



『普通の女の子はそんなこと考えないと思うけど?
少なくとも私は初めてチャットしただけの人と夜遅くに飲みになんか行かないわよ。パジャマパーティーなんかするわけないじゃん』

『なのにそんな風に私を責めたくなるのは、翔一が私に興味あるから嫉妬してるんじゃないのー?』


どんだけ自信過剰



テヘヘ…そういうキャラなだけです…(いや本当に)




『とりあえずこの男はそういう礼儀とかマナーとかわかってない男だと思うけど?それなのになんで翔一にそんな風に言われなきゃいけないの?
ま、私の考えとか気持ちとかわからないならもうこれ以上話す必要ないけどね。おやすみ!』




私はポイ!と携帯をソファに投げた。
すぐに翔一から何通かメールが来たが、未読スルーを決め込み、翌朝ようやく開いた。



さてさて、翔一のメールの内容はさておき、私はその晩も咲人と電話することになった。



「どう?相変わらず数多の男からメッセージ貰ってるの?(笑)」



咲人の冗談クエッションに、まあね、と鼻で笑ったが、ふと例の出来事を思い出した。



「ちょーど変な男に絡まれたところよ」

「へぇどんな?」

「かくかくじかじかで、あたしんちにパジャマパーティーしに来ようとしたわ」

「オーマイゴッド。そいつはダサいな」

「で、もー、この話をあなたと同じ国の人に話したらそれはメイサのせいなんじゃないって言われたわ」

「は?」

「その気にさせた方が悪いって。穏やかに返してただけだけどね。ま、男はそう思うのかもしれませんけど」

「それはそいつら2人がおかしいぜ」




お?



「あなた、そう思う?」

「勿論!お前らプライドは無いのかよって思うね」




咲人は勢いよく続けた。




「オンラインで女口説く男が多いのは知ってる。
でもそういうやり口のヤツらは大抵、普段はそんな風に口説けないんだぜ?
俺はそんな男はスーパーダサいと思うね」



と、まぁ血気盛んに言ってくれたのだが、
んなこと言ってお前は大丈夫なのか?と思った。
とりあえず私の愚痴はいい感じに昇華させてくれたので、そうね、と相槌を打っておいた。




一方の翔一さんだが、彼はとても冷静だった。



『確かに僕はメイサの気持ちとかシチュエーションとかわかってなかったかもしれないね。
日本語の問題もあるし、全部は読み取れないかも』

『嫉妬なんてしていいポジションにいないのもわかってるし、してないよ』




暖簾に腕押し…じゃないけど、私の感情的な言葉には全く動じず、非常におだやか〜に返ってきました。。。
まぁでもおかげで私も穏やかに返信することができたし、
何より突然噴火しても連絡を続けてくれた彼には感謝した。
私はそういうところがある女なので。トホホ



駄菓子菓子。
翔一は頭の回転が良く、ユーモラスで面白かったのだけど、どうもセンスが合わない印象があった。
一度だけ、それこそ彼が日本語ペラペラだと知らない時に電話で話したけど、その時もまぁなんか咲人や仁、ジョーの時ほど楽しくなかった。
話題のせい?声のせい?(顔の割に声がカッコよくない笑)
無神経でもないし、明るい。
何が悪いのかよくわからないけど楽しくないのは、多分相性の問題だと思った。
(彼のせいじゃない。仕方ないこと)



なので彼が頻繁にメールをくれても、適当な返事しかできない時が多かった。
彼はよく彼の写真も送ってくれたのだが、それも私がリクエストしてないのにたくさん送って来てくれてってそれはナルシスさんでは?!




そう。
翔一さんは自分大好きなのだ。

いやいやいやセルフィーなんて言葉が大流行のこのご時世、
自分好きなのは悪いことじゃあございませんが、個人的には自分の写真をドサドサ送ってくれる男の人はちょっとなんかアレでして……。
まぁ前述の通りハンサムなんですけどね。本当に。
写真もいつも可愛かったし。(ご馳走様です)



ハンサムで冷静な彼との会話は、ナルシスてセンスが合わないもののなんとか続いていた(笑)
しかし、ハンサム、ナルシス、冷静、の他にも、彼には隠れたアビリティがあった。




まだまだ続きます。

研究対象にされて…

2018-08-15 01:48:18 | 咲人
「ま、残念ながら?今のところ俺の日本語レベルは最低だからな。
君と会話の練習ができるレベルじゃないんだよ。
でも数週間もすれば質問したい事や、やりたい事でいっぱいになるはずだから、その時お返ししてくれれば良いよ 」



私は、まぁあなたがいいならいいけど…と呟いた。
Why not?と言う声がまたエラそうだ。



「それに俺は君と話すのが好きだしね」

「(でしょうね…)なんで?」

「面白いからだよ。俺は人間は好きじゃない」




は?




「大抵の人間はものすごく退屈だ。
出会って一言二言話したらもうそれだけでうんざりする。
あいつらみんな兄弟か何かみたいに同じ考えで同じ事を言う」

「わからんでもないけど」

「10人会ったら、俺は8人とはもう話したくない。20%の人間にしか興味が持てないんだ」

「へえ。さいですか…」




でも君は他の人間と全然違う。
と、咲人は饒舌に続けた。




「君と2度目に話した時、君は日本人は心の周りにドアがたくさんあるって言っただろ。
あれはすごく面白かった。
あんな表現をする人間に会ったことがない。」



マジで?



心の扉って表現、結構日本人にとっては馴染みがある気がするんですが…




「俺は君をもっと分析したい。どうしたらそのドアが全部開くのか知りたい。
君はすごく興味深い研究対象なんだよ」



と、人のことをラットか何かのように言った。
ぶ、ぶんせき……。
私はフンと鼻息をついた。




「研究した後はどうするの?レポートか何か提出してくれるわけ?」

「君が欲しいならするけど?」

「オッケー死ぬほど楽しみにしてる。ま、あなたができればの話だけどね」



自分に負けず劣らずエラそうな物言いなのに、咲人は楽しそうに聞いていた。
彼と話し続ける私も私だが、彼も彼でよくこんな女と話し続けてるなと思った。
やっぱり変だな。←お前もな
まぁ研究したいから話してるならそれはそれでいいか。




「あなたがいいならそれでいいわ。私はただあなたのことケアしただけだから」

「何で俺のこと気にしたの?」

「当たり前じゃない?私はあなたに楽しく勉強させてもらってるわ。
楽しいと思える相手のことは、同じように楽しいか気にかけるべきだと思うけど?」




咲人はなるほどと唸った後、一言つぶやいた。




「可愛いね」









いや、そんなんならへんかったわ。





「は?!可愛い?!あんたバカにしてんの?」

「いやいやいやそういう意味じゃないよ」

「じゃー何なのよ」

「ただそう思ったからそう言っただけだよ」




あっそ、と鼻息をついた。
咲人は相変わらず楽しそうだった。
よくわかんない人だわ…。




変人咲人との物語、まだまだ続きます。





え、何?運命?

2018-08-10 22:15:02 | 咲人
楽しくなりそう!と思った矢先。
咲人からの連絡が途絶えた。
ビデオコールの翌日、早速今話せる?と連絡したら、今から買い物してくるから1時間後なら、と言われた。
大人しく待っていたが待てど暮らせど連絡はなく、そのまま1週間が経った。
残念だとは思ったが、2日しか話していなかったので傷は浅かった。
忙しくなったり、何かしら理由があるんだろうと諦めた。

しかし




ピロリン




『Hi Meisa! I’m so sorry about that...
実はあのあとすぐ、iPad落として割っちゃったんだ。
アプリはiPadにしかダウンロードしてないから、修理が終わるまで連絡できなかった。
もしあの日俺のこと待っててくれたなら本当にごめん。』




アプリ上の男の子達は、よく嘘をつく。
携帯無くしてたんだ、とか病気だったんだ、とか。
私は彼らの嘘を責める気にも信じる気にもならない。
でも何となくだけど、咲人のこれは本当のような気がした。
本当に本当に、なんとなくなだけだけど。





『久しぶり!大丈夫よ。
私はただ、何か忙しかったのかなくらいに思ってたわ。時間がある時にまた話せたら嬉しいわ』

『勿論!ありがとう。
こういう時のために、メールアドレスを交換できないかな?
勿論君が嫌ならする必要はないよ!』

『いいわよ。アドレスこれだから、メールして』






オッケー!と返した彼は数時間後、私に1通のメールを送ってきた。
しかし中身は何も書いていなくて、ただ一つ添付ファイルがついていた。




ん?何かしら…




開くとそれは
手書きの手紙を撮った写真だった。






『Dear Meisa,
これは初めての手紙だ。
事実、これはなんの変哲も無い手紙だけど、実はそうじゃない。
最初で最後の手紙になるだろう。』





どゆこと?








いや「しょゆこと♪」じゃなくて





『俺はときどき原っぱに寝そべって空を見上げ、考える時がある。
これは運命なのか?それともただの気まぐれか…
俺はときどき考える時がある。これは現実なのか、夢なのか…
君はどう思う?
PS. 素敵な金曜日を!』














こ、この人……



変じゃない?(笑)




とりあえずメール届いたよありがとう!とだけ返事をした。(なんかゴメン!)
ちょっと個性的な人だなぁとは思ってはいたけど、出会って数日の異性にこういう物を送るとは思わなんだ。




咲人はポエム(笑)の感想を聞くでもなく、ただただ私とのお喋りを楽しんでいるようで、
毎日、もしくは2日に一回は電話したがった。
彼は私が知らない単語があるとすぐにスペルを送ってくれた。
ゆっくり分かりやすい文法で話してくれた。
たくさん質問してくれたので、必然的にたくさんスピーキングの練習ができた。

おかげで本当に助かったし、すごく好印象だった。
だから毎日話しても全然嫌じゃなかったし、すごくいいパートナーを見つけたと思った。
ちょっと変な奴だなー、とは思っていたけど。


特に何が変って、やっぱり、毎日話したがるところだ。
彼は日本語が一切喋れない。
(かろうじて、ドウイタシマシテとアリガトウくらいは言えたけど)
おまけに、日本語についてほとんど質問してこない。
たまーに聞いてきたけど、限りなくHp0の彼にとってはハード過ぎて
理解できていない時も多かった。


私は勉強できるし美声だし話してて楽しいけど、
この人なんでこんなに私と話したがるんだろ?
全然日本語の勉強になってないじゃん。




「ねぇ咲人」




私は幾度となく同じ質問をした。




「私にとっては有難いんだけど…」

「あ?あぁまたか…」

「あなたずっと私の英語の練習に付き合ってくれてるだけでしょう。
フェアじゃないわ。いいの?それで。」




咲人はいつも、面白そうにこの質問を聞いていた。
そしていつも、同じことを答えた。






続きます。

裸の付き合い…?

2018-08-06 03:01:52 | 咲人
やけウンチだった私に相当な数の男の子がメッセージをくれたが、正直話しやすい子とそうでない子がいた。
真剣に勉強してようがデート目的だろうが、生もの同士なのだからしょうがない。
私の趣向で言えば、頭が良くてユーモラスで優しい人がいい。
そして英語が上手で聞き取りやすいのが大切だ。


ろくにメッセージもやり取りしないまま話したにも関わらず、咲人は物凄く話しやすかった。
自己申告通り日本語が全く喋れなかったのも私にとっては好都合だった。




咲人、すごく話しやすかったな。
見た目も割と好みだし(正直重要)、ビデオコールで話したらもっと楽しいかも。




ポチポチポチ




『Hi Sakito! Thank you for yesterday. 今日はよかったらビデオコールで話してみない?』




ピロリン




『Hey Meisa, It was great to talk with you yesterday. ビデオコール?俺の見た目が気になるの?(笑)別に構わないよ!』




よっしゃ!と意気込んだのはいいが、いざ電話がかかってきてみると普通のボイスコールだった。
彼曰く、途中でスイッチすればいいんじゃない?とのことだった。
ま、いいけど?

第1通目のメールでも予想できたことだけど、彼は細かい性格の人で。
なんだか典型的な日本人みたいな人だった。
彼のしてくる日本語についての質問もやや細かくて、ときどき謎だった(笑)
普通だったのはこれだ。



「日本語は敬語とタメ語があるんだろ。どう違うの?」

「んー、それよく聞かれるんだけど、正確には敬語と丁寧語とタメ語があるのよね」

「詳しく頼む」

「丁寧語が一番ベーシックなコミュニケーションツール。初対面の人やオフィシャルなところではこれで会話するの。ま、教養があればね」

「デス、マスってやつ?」

「その通り。で、尊敬語は自分より目上の人に使うのよ。年上や上司、お客様とかね」

「オッケー完璧。で?」

「で、タメ語は友達や家族ね。勿論仲の良い同僚とかにも使っていいわ」

「完全に理解した」



ホントかよ




前回も書いたが、咲人はちょっとエラそうなのだ。
質問する時だろうができないことを言う時だろうが、自信満々だ。
殿様男子はさらに質問してきた。




「でも、なんで日本人はそんなにパターンを持ってるんだ?」



うーん。



「あのね、想像して欲しいんだけど、私達は心の周りにドアが沢山あるのよ」




咲人が興味深げにOKと言った。




「本音は心の中に隠してあって、それを見せ合うには全部のドアを開く必要があるの。そのために時間がかかるし、鍵として丁寧語が必要なのよ。他の鍵じゃ鍵穴に合わないの」




面白い!と咲人は叫んだ。
まぁ、私はそう思って話だけど。と付け加えておいた。
1時間も話した頃だろうか、私はふとたずねた。





「ところで、ビデオコールしようって言ってたけど、してないわね」

「あぁそうだな」

「どう思う?」

「いいよ」

「あっ、でも…」





私は鏡に写った自分の姿を見た。





「私、パジャマ着てるわ」





すると咲人は言った。





「俺は何も着てないよ」




?!




「待って、あなた裸なの?」

「おう」

「はぁー?!な、なんであたしと話してる時裸なのよ?!」

「だって俺寝るところだから。今ベッド」

「あなた寝る時いつも裸なの?!」




そうだけど?と咲人はこともなげに答えた。
お、お前はマリリンモンローか!




「とにかく、ビデオコールする前にTシャツ着てよ」

「オッケー」




ほっと一安心し、彼からの着信を待った。
すぐにコール音がしたので、私は軽く髪を直して電話に出た。




「Hey」




画面にはプロフィール写真とさして変わらない白人男性が映った。
が!







首から上だけです





ちょっとぉーーー!!!




「ハ、ハーイ咲人。あの、質問なんだけど、あなたTシャツ着たの?」




彼は笑顔で答えた。




「NO」




こらーーー!!!





「なんで着てないのよ!着てって言ったじゃん!」

「ブランケットで隠してるから大丈夫だよ」

「そういう問題じゃないです。てか大丈夫だったら私気づかなかったはずじゃん」

「それもそうだな」





全く動じずフムフム言ってる咲人を見て、私は思わず笑ってしまった。
まさか裸の男とビデオチャットするとは思わなんだ。
爆笑している私に対し咲人は、メイサよく考えてみろよ、Tシャツもブランケットも布だぜ、とよく分からない持論を展開した。
ベッドから降りてTシャツ探すの面倒臭かったんだよ、とも。



と、急に接続が切れた。
私達が使っているアプリではよくある事だ。
私はこれ幸いとすぐにメッセージを送った。




『服を着たら、かけ直してください』





数分後、もう一度見た彼は黒いTシャツを着ていた(笑)
それでも私は引き続き笑っていたので、君はいつもそんなに笑うの?と笑われた。
彼は私ほど笑ってはいなかったけど、すごく楽しそうで、
明日でもいい、また話そうぜ、と言ってくれた。
ネイル、いいね、とも。



楽しくなりそうな予感がしていた。





続きます。