メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

鼻の大きさとお尻の話

2018-06-29 09:58:48 | ジョー

仁さんが日本へ発ってしまってからというもの、彼一色だった私のハートは色褪せてきた。
不意に、機を同じくしてジョーが連絡をよこした。
ポッカリと空いた穴に、スッポリと彼が入り込むのは造作無かった。
何しろ私は西野カナだったのだから。
ジョーと私は今までよりも頻繁に、いや、毎日やり取りをするようになった。
絵文字だけのメッセージをもらってから2ヶ月ほど経った頃だろうか。
ジョーに『僕ら、いつ電話できる?』と訊かれた。
優しくて賢いそして何よりハンサムな彼との電話なんて、今すぐしたいに決まっている。
だけど、私たちにはとても大きな障害があった。
時差だ。




当時彼と私が住んでいたところは半球さえ逆で、時差は5時間。
5時間も違うと何が困るって、こちらがアフターファイブになる頃にあちらは昼休憩。
あちらがようやくフリータイムの頃には、こちらは真夜中なのだ。
満足に会話する時間を取る為には、週末を使うしかない。
週末は週末でリアルライフに忙しい。
リア充というには程遠いが、週末しか休みがないのだからある程度忙しいのは当たり前だ。
そんなこんなで苦戦したものの、なんとか初めてのドッキドキLOVEコールをマネージする事が出来た。
どちらでも良かったのだけど、どちらともなくテレビ電話をすることになった。
時刻はこちらの22時。あちらの夕方だ。
化粧もそのままに携帯を握りしめ、彼からの着信を待った。







トゥルルルルル







ドキドキを悟られないように気をつけながら電話に出た。








「ハロー?」







すぐに鳥肌が立ちそうなくらい気持ち良い声が飛び込んできた。






「Hi, ボニータ」






かっ





カッコイィィィィィィ!!!






ハンサムな人間って、声もハンサムなんだなぁ。
と、私が相田みつをになっているのも知らず、ジョーは素敵ボイスで話し続けた。
無論、お顔は期待通りの超ハンサム様だ。
ジョーのどこが魅力的かっていうと、そのハンサムフェイス&ボイスは勿論だけれど、
温厚で優しい話し方にも言及したい。
電話口の彼はチャットの時よりも饒舌だった。
それは決して耳障りではなく、落ち着きがあって心地よかった。
きちんとこちらの話を聞いてくれるし、否定的な感想はあまり言わない。
自分の似たようなケースについて話してくれ、気遣いがある人だと感じた。
当たり前のことだけれど、見るならハンサムがいい。
話すなら気持ちの良い人がいい。
どっちもクリア出来る人なら、どんなに話しても楽しいに決まってる。




それは今まで私の世界を染めていた仁さんのそれとは全く違っていて。
仁さんはもっと明るくて、正直だ。
疑問に思う事があったらとことん追及してくるし、デモ、デモ、としつこく感じる時があった。
その分彼の同意が本物かどうかは判断に易く、嬉しく感じる時もあった。
ただこうして改めて比べてみると、仁さんはとても子供っぽい。
年齢で言えば2つか3つしか変わらなかったが、人となりは数字ではわからないのだ。






『今日はすごく楽しかったわ。ありがとう』





電話を切ってすぐ、私はそうしたためた。
すぐにジョーも返事をくれた。






『僕もだよ』

『私、一時間も経ってるなんて気づかなかったわ』

『僕も(笑)』






ふふっと、思わず微笑むと入力中サインが点いた。
ジョーが何か続けて言おうとしているのだ。






ピロリン







『メイサ、すごく綺麗だったよ』

















ありがとう!ありがとうサポーターの皆さん!!!





まだ見ぬサポーターに感謝しつつ、私は『本当に?あなたこそすごくカッコよかったわ』と♡たっぷりに返信した。
すぐにまたジョーは言った。





『勿論本当だよ。それに僕は頭がいい女の子が好きなんだ』

『嬉しい。私もあなたの知的なところがとても素敵だと思っていたの…』

『君はすごく魅力的だよ。ルックスで言えば、特に……









その小さい鼻が好きだな』








(΄◉◞౪◟◉`)






コラーーーーーーーー!(笑)







と、しっかり突っ込んでおいたが、まぁ事実私はアジア人らしーいお顔をしているし、何も言えまい。
そしてジョーは信じられないくらい高くて綺麗な鼻をしているのだ。






時に、ここまで読めば誰しもわかると思うが、私は元来気の多い人間だ。
一応言い訳をするけど、これでもお尻は重い方だったと思う。
ま、お尻の重さで女の良し悪しは決まらないけど。
おっと、脱線しそうだ。
とにかく、ジョーは物凄く魅力的な男だった。
ジョーも自分とはかけ離れた平安平坦な顔立ちの、しかし欧米人レベルにフランクで感情的な私に好意的だった。
ただ、私達には時差と距離という巨大な障害があり、それは時に凶悪なほどに私達の愛(えっ?)を妨害した。







その話は、また今度♡








ハンサム様登場

2018-06-22 22:36:09 | ジョー
仁さんが初めて連絡をくれたのとほぼ同じ頃、私は他の男の子からもメッセージを受け取っていた。





ピロリン





『ジョーさんがあなたをフォローしました』






あら、新しい人にフォローされたわ。
どんな子かしらん?





ポチポチと携帯を触り彼のプロフィールを見てみると、
日本語を勉強しているわけではないことがわかった。
私と同じ、英語を勉強している子だ。





んー、英語を勉強している子かぁ。
日本語勉強していないのになんで私に連絡して来たんだろう?
ま、いいか。
めっちゃハンサムだし。





そう。
この時フォローして来た男の子こそ、超ハンサムガイ、ジョーだったのだ。
審美眼というのは人によってだいぶ異なるし、
勿論私の好みもある程度偏っているに違いない。
けれど、前職でそーーーとーーー数の男性にお会いして来た私の、主観抜きの目で見ても彼はハンサムだ。
主観だけで言えば、どタイプや〜ん!とウキウキしてしまうルックスの男の子だった。
すぐさまフォローバックすると、早速彼からメッセージが届いた。






『👋🏻』





絵文字かい




『♪( ´θ`)ノ』

『ハハ、それ何?』

『ハローって意味だよん』

『それは絵文字みたいなもの?』





そう、日本人としかメールしない方はご存知ないかもしれないが、
実は、顔文字というのは超日本の文化なのだ。
日本のネットなどなどに詳しい日本ヲタクなら別だけど、
そうでもなければ私たちの慣れ親しんだ顔文字は、彼らにとってはスーパーニューカルチャーだ。
どれくらいニューかと言うと、顔文字を見てもどこが目で口なのかわからないレベルなのだ。





『そうだよん』

『なるほどね。メイサは今何してるの?』

『今はお勉強していまーす。あなたは?』

『僕は今仕事してたよ』

『お疲れ様。あなたのお仕事って何なの?』




フゥーと一応気をつけてから、淹れたてのコーヒーに口をつけた。
コーヒーのお供は勿論チョコレート。
酒好きで炭水化物は控えている私だが、勉強中のチョコレートとコーヒーは止められない。
尤も、サイフォンを使って本格的に淹れるなんて芸当はできない。
赴任先の小さなアパートでは、スーパーで一番美味しそうに見えたインスタントを嗜むのがせいぜいだ。
インスタントとは言えなかなか旨い。
コーヒーのアロマに浸っていると、すぐにまた携帯が光った。





『僕は微生物学者だよ』




やばい




来た理系。





先日もお伝えしました通り、わたくし、理系男子に弱いんです!!!(鼻息)







『メイサ、オツカレサマって何?』

『んー、ま、英語だとこんな感じかな』

『ハハ、なるほどね。それって日本語?』

『当然!(笑)』

『なるほどね。ま、ところでメイサは何を勉強しているの?』

『(え、何言ってんの) 勿論英語よ』





いいね!とジョーは元気よく返して来た。
加えて、じゃぁ僕たちこれからもっと頻繁に英語の練習ができるね、とも。
私は人差し指を顎に当てて、いつもの考えるポーズをとった。





『ええ、よろしく(笑)でも、あなたの母国語は英語じゃないんでしょ?』





そう。
英語を勉強するなら英語が母国語の人と話すほうがいいに決まっている。
そもそも、日本語勉強中でもないのに連絡してくるなんてナンパ目的にしか感じられない。
事実で言えば、彼は私の住んでいた国から遥か離れたところに住んでいたので、
ナンパと言うても、会いようがないのだけど。
ジョーはすぐに返事をくれた。






『うん、違うよ。問題ないかな?:(』





は?
日本語話せないしって言うか勉強してもないし、
英語もネイティヴじゃない人と話すのが問題ないかどうかって?







『ノープロブレムだよん』






ただしイケメンに限る




ハハハハハ(笑って誤魔化す)





すぐにジョーから、I'm so happy!!と可愛い返信が届いた。
いざ話してみると、ジョーはとても親切だったし、私を口説くような事は一切言わなかった。
加えて、お互いの国をよく知らない分話題も豊富だったので、
彼と話す事は本当にいい練習になった。






『ジョーは、周りに英語を話す人はいるの?』





何日か経ってから、私はポチポチとそんな質問をしてみた。
彼の住んでいるところは私の想像が全く及ばない地域で(いや正直どこでも想像できないんだけど)
でも何となく、英語を話す人がうじゃうじゃいそうな気がしたのだ。
ジョーはNOと即答した。






『いないよ。英語を話す友達は、君と、あと数えるくらい』






そっかぁー。
それじゃあ練習相手、オンラインだけだとしても欲しいよね。


会話の中でわかったのだが、ジョーは微生物学者として働いているものの、
将来的にはアメリカで博士課程を取りたいと考えている人だった。
その為に今は英語のクラスを受講していて、練習用にこのアプリを使い始めたのだ。
英語を話す人がそれこそうじゃうじゃいる所に住んでいる私でも、練習相手を求めてアプリを使っているのだから、
それよりもっとチャンスに恵まれないジョーが英語で話せる相手を求めるのは当たり前に感じた。





ただ、何が悪いということもなく連絡が途絶えてしまうのは良くある事で。。。
例えば仁さんなら、ちょいちょい彼が好意を示す言葉を送って来たり、
それに見合うだけの情熱で頻繁に連絡をくれたのだけど、
ただの友人としての会話が毎日続くには、よほどの相性や話題などの条件が必要だ。
ジョーは親切かつ知識豊富ないい男だったけれど、決してお喋りな方ではない、もしくは
メールで長文を書くようなタイプではなかったので、
他にも(仁さんやその他の)話し相手がいた私は、返信を怠ることが出てきた。
正確に言えば、返答しようのないメッセージを放置していた、だけなのだけど。





そんな2人の会話を頻繁にする出来事が突然起こった。





仁さんの日本旅行だ。






続きます。