メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

絶望

2019-10-19 16:10:08 | アイアン
Hi とアイアンは呟いて私に歩み寄った。
2人の間にはベンチがあって、彼はそれを指しながら座るよう言った。
私は首を横に振った。



「Hi Meisa, how are you? Is everything going okay for you?」

「……」

「Please have a seat. Are you not feeling cold with that jacket? Do you need a coffee?」

「Iron, I didn’t come here to enjoy chatting with you」



OK とアイアンは答えた。
彼だけかけたベンチの前に立ち、あたしは言った。



「もう連絡してこないで」

「……オッケー、でもなんで?俺今回は何をしたの?」

「アイアン、あんたはあたしの彼氏じゃないわ」

「……オッケー」

「だからあんたに会う必要もないし、あたしに執着する必要もないのよ」





会う前に予測していたことがある。
あたしが真剣に問い詰めたところで、アイアンはきっとああだこうだとイチャモンつけたり、
さらに嘘を重ねるだけだと思った。
あたしはこれ以上の嘘は聞きたくなかった。
しかもこれを全部英語でやるわけなので、彼をより饒舌にする材料を与えたくなかった。
なので、シンプルにもう会わないということ、
そして、もう一つだけ言おうと思っていた。





「でも俺は会いたいんだよ。もう本当に俺に会いたくないの?」




アイアンの厄介なところは、こういうところだ。
法律関係で働いたからか、それともそういう役回りとして兄弟の中で育ったからなのか、
相手がイエスと言いづらい質問をしてくる。
でもその時のあたしはどっちかっていうと、
んなこと言うてもなぁと思っていたし
金輪際会わないのかそれともお互いのカードを公開した上で友達として会うのか
自分でもわかっていなかったので、
ただただあたしはしかめっ面をしていた。



あたしが欲しかったのは一つだけだ。



正直に話してほしい。



で、謝ってほしい。





あたしは言った。





「アイアン、あんたあたしが何が嫌いか知ってるでしょ」

「ウソでしょ」



アイアンは勿論と言わんばかりに頷きながら答えた。
ウソつきな男を前にそれを言うのもなんだか滑稽というか
非常に無意味な気もするが、
私も頷いた。





「アイアン、あんたまだあたしに嘘ついてるよ。
本当のこと言って。
あたしは約束するよ、あんたの家族に何か言ったり邪魔したりもしない。
ただ本当のこと言って、ちゃんとあたしに正直に接してほしいだけなのよ。」





アイアンは





顔色一つ変えずに言った。





「何のこと?俺君に、もう嘘なんかついてないよ」





どうして嘘ついてるって思うの?何について?と聞かれ
あたしは静かに絶望していた。




浮気男って、基本的になかなかそれを認めないらしいんだけど
幸か不幸か、あたしは今まで付き合った人には浮気されたことがなかったし
お水だったので、どっちかって言うとこっちが浮気相手だったことなら……。
なので、あたしの世間知らずな戦法は当然に効かなかったのだ。
そしてアイアンは生まれながらのウソつきのようで
本当に顔色一つ変えず、一瞬の間も要さずに
スッキリとしらを切り通したのだ。




続きます!
















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