メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

バイバイ、アイアンマン

2019-06-30 17:04:07 | アイアン
「それもいいね」



と、アイアンは私の下着姿を見てニヤニヤした。
別に特別なものではなく、ただのどシンブルな真っ黒の下着だ。



「はいはいどーも」

「写真撮っていい?」

「ダメです。」

「どーしてーーー?」

「カオナシならいいわよ」

「なんで?俺君の顔も好きなんだよ?(笑)」



私が、知らないわよ、とあっかんべーすると、アイアンは笑ってさっさと着替え終えた。



外に出ると、ホテルの前の道は街路樹が茂っていて、木漏れ日がキラキラと落ちていた。
風が冷たいのだけが残念だけど、本当に今日はいいな。
そうだよ、あたしこの服寒いんだよ(涙)
アイアンもお天気に感動したらしく、例の高い鼻にサングラスを乗っけると叫んだ。



「あぁー、本当にいい天気じゃない?」

「そうね」



不意に1人の男性が通りかかった。
ちょっと考えてから、私は大声で言った。



「Yeah, the perfect weather for sex!」



アイアンはビックリして振り向いた。



「メイサ!人がいるよ!!!」

「知ってるわよー!」



と私は爆笑したけど、アイアンは信じられない!という顔で私と周囲を交互にキョロキョロしていた。
変態のアイアンが路上では必死でマトモでいようとするのかチャンチャラ可笑しかった。



駅まで向かう道すがら、アイアンはこっちに何があるから行ったらとか何とか、親身にでもなく説明した。
そして自分は、前の職場が近いから顔を出してくると言った。



「じゃあねメイサ!今日はありがとう。
また連絡するよ。
残りの1日を楽しんでね!ハハ!」



と早口にまくし立て、サクッとチューして去っていった。
ポツーンと残された私は、どことなく寂しい気持ちになった。
だって、アイアンに会うのはこれが最後かもしれないし。


あまりに寒いのでジャケットでも買おうかと悩みながら、私は駅前を歩いた。
ピカピカのお天気の中、ちょっぴりショボくれて歩くのはなんだか余計に可哀想だ。



アイアンは私と寝たかっただけだ。
そして今日、それが満たされた。
ってことは、もう私への興味を失うっていうのも、オスらしい展開なんじゃないかと思っていた。
二度寝はしないかな、って。笑

そこまで予想して今日ここへ来ているから、別に傷ついたりはしないと思う。
でも、毎日あんなに連絡が来ていたのに、それがパタと無くなったら、ちょっと寂しいと思うかもなーと思った。
あーやっぱりかー、と、次の日には忘れるレベルで残念に思うかもしれない。
アイアンとメールするのも、話すのも、まあまあ楽しかったから。



やっぱり寒い。


私は散策を諦めて駅に戻った。
駅前のバス停に、ちょうどよく繁華街行きのバスが停まっていたので、そっちに乗り込んだ。
せっかくのオフだし、買い物でもしよう。
ていうかジャケット!!


半日歩き回りながら、時々青空を見上げて、アイアンとホテルから出た時を思い出した。


面白かったけど、まぁ、あいつアタシのこと好きじゃないしな。


やっとメールをチェックしたのは、夕方だった。
そして、そんだけほったらかしたのに、
メルマガさえ来ていなくて、勿論友達からもメールは来てなくて(笑)
たった一通だけ未読メールがあった。



アイアンからだった。




続きます!

俺とドライブデートしようよ

2019-06-29 06:45:32 | アイアン

「どうしたら俺は君を満足させられるの?」


私はまた無表情に戻った。



「あなたじゃ無理よ」

「なんで?」

「感情的な盛り上がりが必要ですので。」

「どういうこと?」

「例えばあなたが私の彼氏なら超簡単だと思うわ。
あなたが私のこと本当に好きで、私もあなたのことが本当に好きならね」

「なるほどね。よくわかった。」



私はゴロンと背中を向けた。
アイアンは続けた。



「じゃ、君が俺の彼女になれば満足させられるわけね?」

「ま、そうなるわね。」

「それはそんなに難しくないよ。」

「はー?そう思うの?」

「うん。俺君のこと本当に好きだよ」




はー?!よう言うたな!と振り向いた。
でもすぐに鼻で笑った。



「あぁ〜オッケーそうね。あなたは本当に好きよね、私の体が。」

「いやいや?フツーに好きよ?
ま、身体もすごく好きだけどね。」




何言ってんだこいつ、とムスッと彼を横目に見た。
アイアンは余裕綽々な笑顔だ。



ベッドのすぐ隣の窓からは、きれいな青空がのぞいていた。
すごく気持ちの良い天気だ。
心地よい風が白いカーテンをふわふわと揺らした。




「本当に今日はいい天気だよね。」

「そうね。」

「メイサは車は好き?」

「は?はい好きですが。」

「じゃぁ今度車で迎えに行くからドライブしようよ。クイックドライブ。
この街をサクッと見よ。」




(°_°)




わざわざドライブ?
何のために?(笑)
あー、車でホニャララしたいの?←ひどい思考回路




「どう?」

「…ありがとう。車、好きだから嬉しいわ。」

「じゃ、決まりね。きっと楽しいよ!ハハ!」




なんかまともなデートみたいに聞こえるけど…
しかも彼氏とか何とかな話しした後にそれ提案する?
ま、どー考えても、あれだな。
満足させたいからだな。
あたしの心開かせようってことでしょ。
あんたはあんたで、ついでにホニャララ出来るもんね。



と、私は冷めた顔をしていた。
でもこの国でドライブはしたことがなかったので、
たしかにちょっと楽しみだった。




続きます!

初夜(っていうか朝っぱら)の感想

2019-06-28 06:41:45 | アイアン
テレビでは何か食べ物のCMがやっていた。
私は早口のそれを聞き取れなかったけど、アイアンはあれ好き?と聞いてきた。
食べたことないと答えると、携帯でスパイスソースを見せてきた。



「これかけて食うと美味いよ。ちょっと辛いけど辛すぎない。
おっ、マジで?今ネットスーパーで半額じゃん」

「(ネットスーパーのページなのね……)
ふーん。あなた辛いもの好き?」

「食うけど、辛すぎるのは好きじゃないね。
君は?」

「私は好きよ。
アジア人は基本的には西洋人より辛いの強いし」

「だね。日本食って体にいいんでしょ?」

「まぁ、ね」

「俺知ってるんだぜ。日本食はヘルシーだから日本人は寿命が長いって。」

「それはそうだけど、塩辛いのよ。
だから高血圧の死亡率が他の国より高いの」



これは事実だ。
かつ、一応日本人らしく謙遜も含んでいる。
でもアイアンは日本人のそれと似たところがあって……



「にしてもだよ!有数の長寿国じゃん。
俺らの国の食べ物は、いろんなとこから持ってきて
全部に油加えただけだからね!
全然マシだよ」



この人は本当、軽くて、ウソつきで、温厚だ。
女たらしというか、人たらしだ。
私はそういう男と本気で恋愛したことはなかったけど、
やっぱり楽だなぁと思った。
私は彼の言っていた、普段はアジア人の女の子にかは行かないというのを思い出して、聞いた。



「で?アジア人の女とのベッドはどうだった?
何か違いはあった?」


アイアンはまじまじと私を見つめ、力強く、細い!と言った。
😂
まぁ確かに、一般的な西洋人に比べればガリガリだな(笑)
もちろん、ほっそーーーい、背がたかーーーい女の人もたくさんいるのだけど。
一般人は一般的に太っている。
私はアイアンのお腹に目をやった。




「あなたはその脂っこいもの食べてるからこういう……」

「ちょっ、見ないで見ないで!俺のお腹ホント太っちゃったんだから!」

「前は違ったの?違ったなら、何で変わったのよ」

「俺、4年前はこんなもんなかったんだよ」




ふーーーーーん。


結婚して四年目なの?



とは聞かなかった。
彼はなんでも細かく覚えている人間だ。
今日買ってきてくれたコーヒーも低脂肪ラテだ。
初めて一緒にコーヒー飲んだ時にしか言ってないのに。
(詳しくはトイレに連れ込まれた話の1つ前、チャラ男の回をご参照ください)
でも、太るってだんだんと太るから、キッカリ何年前にって言える時は何か理由だと思えるきっかけがあると思う。
例えば、転職とか、出産とか、不幸とか、あとその頃の私のように海外に引っ越したりとか。
で、男の人が太るきっかけで多いのは
まぁ、それだよね。



全部、予想だ、け、ど!



慌ててシーツでお腹を隠す仕草が可愛かったので、私は少し微笑んだ。
さっきまでずっと表情が固かった。
そりゃ体も固くなるよなぁ。



アイアンも私の反応が気に入らなかったのか、それともただの疑問なのか
彼はこんなことを聞いてきた。




続きます!

冷静な私とすけべな彼②

2019-06-22 16:13:53 | アイアン
招かれるまま隣にすべりこむと、アイアンは言った。



「メイサ、お腹すいてない?クロワッサン食べる?」

「今ちょっとつまんだから、大丈夫」

「そう?本当に?
じゃ、うつ伏せになって。マッサージしてあげるよ」



と言ってアイアンは私の背中をさすり始めた。
私は大人しくマッサージを受けていたのだけど、素人の彼がやるそれは別に気持ち良くなかった。
性的な意味じゃなくて、フツーな話で。


次第に彼は手を私のお尻の方に移動し、なんとなくタイトスカートを脱がしていったけど、
私は相変わらず盛り上がらず、まぁ一般的な反応をして見せた。
やっぱりシャワールームなんかでするよりはよっぽどマシで、
私はほどほどにそれを楽しんだ。



「ふぅ……」



まぁまぁ楽しんだもののも、満足もせず、私はため息をつて休息していた。
満足したらしいアイアンは言った。



「さ、布団入ろうメイサ。休もう休もう」



ふぅーん



大人しく並んで布団に入り、なんてことない番組のついたテレビを見つめた。
アイアンはデスクからコーヒーとクロワッサンを持って来てくれた。




「メイサも食べなよ。クロワッサン気に入ってたでしょ?
全部食べていいんだよ」

「あ、ありがと……でも大丈夫」

「本当に本当?」

「うん」

「オッケー」

「あなたのそれは何?」

「これはチョコチップクッキー。チョコレート嫌い?好きだよね」

「チョコはビターしか食べないの」

「あっそ。俺はミルクが好きだしなんでもいいもんねー」



と言ってアイアンはチョコチップクッキーを頬張った。
でも途中、何度か私にカケラを分けてくれた。
私は好きでもないミルクチョコが載ったクッキーを、ポリポリ受け入れた。
甘すぎる。
でもちょいちょい面倒を見られるのは何だか少し嬉しかった。



つくづく思うのだけど、アイアンはベースが優しいんだと思う。
時折信じられないことをするので(笑)変態だと思うけど
怒らないし、何でもしてくれるし、こっちの都合も気にしてるし。
きっと、人に親切にするように育てられたんだろうな。
それから、たくさん愛されて育ったんだ。
あと、外面のいいご両親だったんだ。




誰かと寝るたびに、その人のバックグラウンドが透けて見える。
それがその人の生まれ持ったものでも、その人が自力で培ったものでも、
とにかく閉ざされた空間での行動は、その人の人となりを表す。
雑に扱う人はそれで許されると思っているか、そう扱われてきた人。
丁寧に優しくしてくれる人は、根が優しいかそれがマナーだと考えている人。


私は彼らにとって、どう見えていたんだろう。
古今東西、ベッドでは、女は男に比べてあまり働かなくて良い。
だから彼らが私をどう判断したかはちょっとわかりかねる。



でも私の、自分視点の話をすると




私は結構感情的な女なので



本当に愛せていないと、全然満足できなかった。




うん、一度も。





続きます!




冷静な私とすけべな彼①

2019-06-21 15:10:41 | アイアン
愕然としている私に、アイアンはやぁメイサと挨拶した。
私を部屋に招き入れた後、よくわかんないけど何かを取りに部屋を出て行った。←わかなんないんかい


私たちの愛の巣(爆笑)は、セミダブルのベッドと小さなデスクでいっぱいの、小さな部屋だった。
デスクの上にはアイアンが買って来たらしきコーヒーと紙袋があった。
私は靴を脱いでベッドの上に降り立った。
ベッドのすぐ脇には窓があって、白いレースのカーテンがたなびいている。
それをめくって外を見てみたけど、素敵な景色なんかあるはずがなく、
隣の建物の室外機と、お粗末な中庭が目に入った。



コンコン



ドアをノックする音がして、私は再び靴を履いてドアへ向かった。
開けるとアイアンが言った。



「ルームサービスでぇーす♫」



別に何も持ってない(笑)
でもアイアンはこんな感じで、いつでも何でもおちゃらけるのが好きだった。
彼氏がやったら違うけどコイツならどうでもいい、と私は無反応だった。(ひどい)


「それなぁに?デスクの」

「え?あぁ、クロワッサンと、コーヒー。君のは低脂肪ラテにしたよ」

「あらそう……どこで買って来たの?」

「え?どこだっけな。たぶん、あそこかな」


と、アイアンはチェーンの、別に素敵でもなんでもない店を口にした。



ふぅーん。
こんな安っぽいホテルで、大したことないコーヒーとクロワッサンか。
宿泊代払ってくれてるとは言え、あたしも落ちたもんだなぁー。



私はまぁまぁ稼いでいたお水だったので、
正直、こんなにお粗末なベッドは学生恋愛以来だ。
これが日本人相手だったら絶対に、うん誓って絶対に、こんな事しないなーと思ったけど、
とにかく英語しか話せない相手と過ごす時間は貴重だった。
まぁそれに、アイアンはマジで超タイプだったしね。
あと、操を立てる相手もいないしね。(真顔)



とまぁいつも通り冷静な理由でここに来ているので、
アイアンがつけたテレビを見つめ、ベッドの端に座っていた。
アイアンはグレーのTシャツを着たままベッドに入り、私を呼んだ。



「メイサ、おいでよ。一緒に入ろ」



私は大人しく靴を脱いで、ベッドに入った。




続きます!