メイサと7人の外国人たち

アラサー元お水とキャラの濃い外国人達の冒険記

プライドが高すぎる男

2019-03-13 07:57:18 | 咲人
咲人に返信しなくても、彼と出会ったアプリは使い続けていた。
お互いにいつオンラインだったかがわかるのだけど、
私が返信しなくて24時間ほど経った頃、
咲人が一度オンラインになったのがわかった。
ここ数週間忙殺されていた彼は、すっかりなりを潜めていたというのに。


きっと私のことを探している、と思った。



私はため息をついた。
涙ならもう相当出した。
悲しいことっていうのは人生で何回もあるから、
枯れ果てたとは言えない。
でもとりあえず、声に出して泣いてみたりもした後だ。



泣くほど辛いけど、だからって咲人に返信する気にはなれないんだよね。
だって、あんなに不必要に冷たかった人だよ?
自分が温厚で菩薩みたいな女だなんて言わないけど、
そう言わない分、相手には温厚さを求めると言わせてもらう。
少なくとも、自分の怒りを優先するんじゃなくて、他人を傷つけることを躊躇う人がいい。
いーいっ?もう一回言うけど、あたしは菩薩じゃないわよ、全然っ!!
だからこそ、でしょ。



2回目のため息は葡萄色だった。
ワインが進んでしまう。
理想は「メイサごめん。君が恋しい」って彼が連絡してくることなんだけど、
今まで何度も書いてきた通り彼は偏屈でキザな、プライドの高い男なの。
くーわーえーて!
彼らの国民性でいうと、男はそんなことできないんだよね。
そう。
Too proud xxx peopleなのだ。(xxxは彼の国を挿入して読む)



理解できないのに謝るなんてできない。(これは咲人の意見)
女にすがるなんてできない。(これは国民性)



そんな咲人がメイちゃんにまた連絡してこないのは目に見えた。
ほんでもって、そんな彼のためにこっちが折れてなんかあげられない。


そもそも、本当にまだ彼が好きなら、連絡くらいこっちからするわ。
でもどーしても、他の男と致してイイって思ってるところと
私が動くことでしか関係を近くできないと思ってるところが
ほんとにほんとにどーしても
メイちゃんを本気にできなかった。
こいつじゃダメだろって、理性がノーサインを出しているのだ。



人にもよると思うけど、理性と感情がうまいこと同じ方向に動くわけじゃない。
それからあたしはずーっと返信しなかったけど、
その間じゅう胸がジクジクと痛んではいた。
そらそうだ。
あんだけ好きだったんだもん。



ちょうど1週間経った頃だった。





ピロリロリーン




咲人から




連絡が来た。







続きます。



最後の言葉

2019-03-11 02:01:04 | 咲人
咲人は食い下がってメイちゃんが付き合う気があるのか聞いた。
メイちゃんは前述の通り、咲人の気持ちがさっぱりだったのに加え、
付き合ったらこの国に引っ越すっていう意味不明な価値観と
他の男とシていいっていう理解できない貞操観念まで直面してしまったので
もう、本当に、何が何やら、マジで、鬼疲れていた。
ウン付き合いたい、なんて言えないでしょこんな状況でー!!!


てゆーかマジで、アンタが引っ越してこいよ!!!
それくらいの男気見せろっつーの!(ふがー!)


ってゆーか付き合いたいなら、好きだ付き合ってくれってちゃんと言えよ!



はい。案外古い人間なんです。。。




「咲人は?私と付き合いたいの?」

「俺はもう聞いただろ」

「押してよ」



メイちゃんと同じで咲人も相当イライラしているらしく、
首を横に振った。



「俺はもう十分押したよ」




私は今でも思うんだけど
この時咲人がこんな風に意地を張らずに、きちんと私の目を見て
「俺はメイサが好きだよ。俺の彼女になってほしい」って言ってくれてたら
私はきっと



「私も」


って、彼を抱きしめていたんじゃないのかな。





でも現実は全く違って、
咲人は空港まで私の荷物を持って行ってくれたし
ちゃんと離陸したかとか気にしてくれたけど
道中の二人はとても雰囲気が悪くて
っていうか
本当に正直に言うと
咲人の態度が悪すぎて。
殴るとかひどい暴言とかそういうクズだったわけじゃぁ、全然ないんだけど
まぁとにかく、優しくなかったんだよね、全然。




私はそんな彼相手なのに、とても大人だったと思う。




だから




彼にもう





返信しなかった。






ポチポチポチポチ、ピロリン。





『無事私の国に着いたわ』




ピロリーン




『お疲れ様。フライトはどうだった?』




既読マークをつけて、そのまま携帯をカバンの中にしまった。




あなたとなんか




話したくありません。







続きます!






後数時間で……

2019-03-09 01:27:31 | 咲人
ひ、引越しって……急に何言い出しちゃうにこの人は?!
しかもさぁ



「……咲人は私の国に来ないの?」

「俺は無理だよ。今すぐにはね」



いやいやいやいやいや
どう考えたって私にとっても無理でしょうが。
なんで自分にできないから私にしてもらうとか思っちゃってんの?
ていうか何ならアンタの方が動きやすいじゃん!
言葉の問題とかビザの問題とかさ。



「で、メイサ、俺と付き合うの?あと、なんで泣いてるの?」



私の戸惑いも感知せず、咲人はそんな風に聞いてきた。
私は貞操観念についてこの偏屈な変人に熱弁したところで、
多分一生理解しないだろうと思い、説明する気になれなかった。
そもそも、私にとっては私の考えがあるべき姿かつ一般的だけど、
結局は人それぞれじゃないですか。
それこそカップルそれぞれの在り方があるわけで。
だから「アンタ彼女が他の男とシてもいいなんて阿保だろ。
っつーかアンタも他の女とするつもり?マジないんですけどぉー!!」
と責め立てるのもおかしいと思った。
なぁ私偉くないか?ねぇねぇ(笑)



ところが咲人さんは私にそういう無駄骨を折って欲しかったらしく。
私がどうも煮え切らない態度を取ることにイライラしたらしい。
私は私でそんな徒労をしたくないし、
感情的な角度から言えば、すっかり哀しくゲンナリしていた。
ついに私は日本語で話し始めた。
当然スーパー初心者の咲人がそれを理解できるわけもなく、彼はウッと言葉に詰まった。




「メイサ、頼むから日本語で話すのはやめてくれ。会話できない。
君は俺とコミュニケーションを取るために英語で話すべきだ」

「べきだなんて言わないでよ、あくまで私の権利でしょ。
話したほうがいい、ならいいけど、べきだなんて強制される筋合いないわ」



偏屈なだけあってクソ細かい咲人は、わかったよ…と非を認めた。
加えて、メイちゃんの目からボロボロこぼれ続ける水にはため息をついた。



「メイサ……頼むから泣かないでくれ。
俺は……君が悲しんでるところなんか……見たくないんだ」



その言葉は本当だっただろうけど
その言葉に見合うくらい彼が優しかったかと言えば違った。


私がその国を発つまでの数時間。



私たちはその全てを
口論に費やした。





続きます。


貞操観念と引越しのバランスが悪い

2019-03-08 05:41:21 | 咲人
「なんで昨日それ履いてなかったの?」



と咲人が指したのは、私の履いている着圧ソックスだ。
土踏まずから太ももまである、ニーハイレギンス型のやつだ。
私はチラと自分の脚を見た。
ジーンズは履かず、下着とそれだけ履いている。



「別に…特に意味ないけど。普通お風呂上がりに履いてるし……」

「昨日の夜履いてれば良かったのに。それすごくセクシーだよ」

「そ?」



うん、と頷いたので、私はくるりと背を向けて後ろ姿も見せてあげた。
すぐに咲人はDamn…と声を上げた。
振り向くと目がお尻の形をしていた。
私はスーパーフラットな胸(笑)をしているが、お尻と太ももに全てのカロリーが集約されている。
咲人は背中から抱きついてきた。



「メイサ、今すぐまたしたいよ……」

「(えっまた!?) 寝不足だよ」

「構わないよ」



と言って私をベッドにうつ伏せに倒した。
咲人はしばらく私の背後を愛でた後、でももうアレがないだけど…と呟いた。
咲人はそういうところがちゃんとしていた。
私は言ってみた。



「いいよ」



振り向くと、咲人は、ダメって言えよ、と苦笑したので
「じゃぁダメ」と言って逃げてみた。
咲人は笑ってからかうなよ、と私を捕まえた。

ベッドの上で抱きしめられながら、私は思い出していた。

昨晩、咲人が私にした質問と
と、その前に彼が言ったこと。
その前に言ったことの方が気がかりだった。




「メイサ、君は俺と付き合う気がある?」



ちょいちょい、その前のやつよ!
実は彼、こんなことも言っていたのです。



「Meisa,I’m not silly. I know you have a boy...」



これは多分、雅留のことだと思う。(カテゴリからどうぞ)
なぜなら私が咲人に話した、私の国に住んでいる男の子っていうのは彼だけだし、
彼からセクシーなプレゼントをもらったのも話してあったから。



私が気になっていたのは、
咲人は私に彼氏だかそういうことするオトモダチだかがいると思っていて、
それでも私と情熱的な一夜を過ごしたんだよなぁ、ってことだ。
おまけに、「俺と楽しみたいだけ?」とも聞かれたし。



そう、付き合う気ある?と聞かれたはものの、
私はそれを告白だとまったく思っていなくて。
咲人に言わせれば、今まで幾度となくスキダと言ってきたし、
そんな質問までしたんだから、俺の気持ちはわかってるだろって事だったんだけど、
当の私ははっきりガッツリ言われないとわからないタイプで(本当に元お水か…?)……



咲人は雅留がいても気にしないってこと?
咲人は私と楽しみたかっただけなのかな?
付き合おうって言われてないしなぁ。
私は咲人のこと好きなんだけどなぁ。



と思っていたのであーーーーーる…………。




キスの合間に、私は聞いてみた。
ただちょっと甘えた遊びのつもりだった。
だって、いろいろ考えを巡らせてはいるものの、
もうラブラブな雰囲気だったんだもの。




「ね、咲人。私が他の男の子と寝たらヤキモチ妬く?」



咲人はウーン?と唸り、それ俺に言うの?と聞いた。
まぁそうだとしたら?と答えると…………




「俺は気にしないよ」




('◉⌓◉’)



「……。」

「それが君のしたいことなら、いいよ」

「……。」

「同じ街に住んでたら話は違うよ。でも俺は君の望みを止める気はないし……」




私は





ポロっ




と涙をこぼし始めた。




「!?メイサ…?」

「……咲人……どうして……する前にあんな質問したの?」

「え?」




確証はなかったけど
私のこと好きだから、付き合うかどうかって聞いたんじゃなかったの。
私が他の男に抱かれても平気なの?
私のこと、独占したいとか、大切にしたいとか、
特別に思ってないの?



胸の中に暗い波が押し寄せては引いて
海原が荒れに荒れていた。



あんなに大好きだと口付けた横顔が、すごく遠くに感じる。
意味がわからない、そして、涙に少しうろたえたような、咲人の表情は
私の気持ちと全然寄り添っていなかった。



「それは、君の気持ちが知りたかったからだよ。
俺は君と付き合うなら毎日君に会いたいんだ。
今までみたいにテレビ電話するだけじゃない、声だけじゃない、
会って毎日抱きしめたいんだよ。
だから君に、俺の国に引っ越す準備はできてるのかって聞いたんだ」




(΄◉◞౪◟◉`)




……は?



えっ



えぇーーーーーーーーっっ!?!?!?





続きます!



初めての夜のその後

2019-03-02 15:12:09 | 咲人
「私、シャワー浴びてくるわ」



私の声を聞いて、咲人は寝返りを打ってこちらを向いた。
カーテンからうっすらと外が明るいのがわかる。
多分6時くらいだと思った。



「本当に?」

「うん。なんで?」

「……行かせない」



と笑って彼は私を抱きしめた。
咲人との嬉し恥ずかしファーストナイト(笑)は何だかものすごく大変だった。
彼オススメの日本製のいいやつは勿論のこと、
彼は他にも色々準備万端でこの部屋に来ていたので、
私はもう何が何やらでクタクタだった。
私はちょっとぉと言ったものの、大人しく彼の腕の中に収まっていた。
昨日は汗もかいたし、咲人がちゃんと起きる前にちゃんと整えておきたい。
にしてもまだ早かったので、後回しにして、
彼の腕の中でまたまどろむことにした。



私を包む彼の腕はやっぱり華奢で、デカイ男が好きな私にとってはちょっと頼りなかった。
でも、一晩中彼は優しかったし、眠りに着く前にちゃんと腕枕してくれたこと、
たくさんたくさん好きだと言ってくれたことで幸せだった。



「咲人、大好き、大好き……」



そう私が繰り返すと、彼も拙い日本語でオレモと答えてくれた。
ちょっと考えてから、ゆっくりこんなことも日本語で言った。



「俺は、メイサが、好きじゃない。 大好き。」



いつものキザでセクシーな声でそう呟く彼をとても可愛いと思った。




「おかえり!」



シャワーから帰ると、彼はベッドの上からニコニコと手を振った。
待ち構えていたようだ。



「リフレッシュした?俺も一緒に入ろうかと思ったんだけど、嫌がりそうだなと思ってやめたんだ」



私は未完成の自分をあまり見せたくなくて、「そ、そう」と苦笑した。
コソコソと下着をつけ、着圧ソックスを履いた。
化粧水をはたいていると、咲人が話しかけて来た。



「もうこんな時間か。君を連れて行こうと思っていたところ、行けないな」

「そうよ、私楽しみにしてたのに。」

「でも替わりに、すごくいい時間を過ごしたね」



振り向くと、咲人がニコニコと見つめていた。
私はまた背を向け、どんな?と聞いてみた。
咲人は一瞬言葉に詰まったけど、すぐにこちらまで来て後ろから私を抱きしめた。
そしておでこにキスしながら言った。



「こういうこと」



咲人はすごく甘くて可愛かった。
私が基礎化粧をしている間、咲人は私があっちへ行けばあっちへ、
こっちへ行けばこっちへ、トコトコと着いてきた。
多分この時が彼と過ごした中で、一番幸せな時間だったと思う。



「I like you a lot」



俺は君のことが大好きなんだよ、と



たくさんキスしてくれた。




突然彼があんなことを言うまで




私達は上手くいっていたんだ。





続きます