「この子は長女、今月11日がお誕生日。あの子は長男、2月3日が誕生日。もう1人末っ子がいるけど今日はいなくて1人は死んだ」
お母さんは施設のスタッフさんを相手によく喋る。
「どうもお世話になりました。死ぬまで生きています。転んだら自分で起きてね。さよーならー!」
ケアマネさんをはじめスタッフの方々に見送られて7ヶ月お世話になった老健(介護老人保健施設)を後にして特養(特別養護老人ホーム)へ移る。
段ボール2つがお母さんの荷物、全財産。着替え5組下着にパジャマ、外履きと室内履きの靴2足、洗面用具。それだけ。
老健はたまに薬の飲ませ忘れはあったけれど、他に何かあったかというとそれくらいで、わたしも弟も気に入っていた。
リハビリのお陰で自主的に寝てばかりいたお母さんを同室のおばさま方と長時間テーブルを囲みお喋りに興じるまでにしてもらえた。
リハビリの先生にお礼を言えば、リハビリの時間はほんの少しの間だけで多くは介護スタッフが連携してくれているからだと言う。介護スタッフの方にお礼を言えば、お母さんがリハビリを頑張っているからだと言う。お母さんにリハビリ頑張ってるの?と聞けば、別に、やれと言われるからやっているだけだと言う。元に戻っちゃった(^^;)
ずっと置いてもらえるならここに居させてもらいたかったけれど、そうはいかない。老健は自宅復帰を目指す施設。
老健に来る前にお世話になった通所介護施設もお母さんに良くしてくれたけれど、ここの老健施設も良くしてくれた。今度のところはどうかな?
コロナウィルス感染予防策ということでお母さんとは玄関ホールでお別れ。体温、血圧を測ったらそのままスタッフさんに連れられてエレベーターまですたすたと歩く。
「くるり、ご苦労。Y、ご苦労。じゃあ!」
ショートロングステイ先や老健に入るときもそうだったけれど、こちらが拍子抜けするくらいあっさりとしたものだった。お母さんなりに気を遣っているのか本当になんとも思わないのかはわからない。
入所契約は途中わたしが口を挟んだこともあり、まるまる2時間かかった。かなり疲れた。冷房が効いて冷え冷えのところだったので寒さに耐えての契約。うちのお母さんをどうぞよろしく。


契約をした地域交流の為のた目的ホール。この春オープンした施設はやっぱりおしゃれだ。