負けるトレーダーは彼自身を変えたいと思ってはいない。それは勝てるトレーダーがやることなんだ。ーエド・スィコータ
先日、株をやっている若い友人(STF氏の講演会に行った御仁である)に用事があって会った際、最近、STF氏について書いたブログの文章のアクセスが異様に増えているという話題を振ったところ、「ああ、それはたぶんこの動画のせいですよ」と、その場でタブレットを出して、松井証券の宣伝番組にSTF氏が出演した動画を見せてくれた。
観終わって、「STF氏も罪作りだなあ」とそのあと少し批判的なことを喋ったのだが、例によって、話がかみ合わない。
「STFさんが昔書いていたブログでは、自分はファンダメンタル派だと言っていますよ」
「だから罪作りなんだよ」
ということで、株の才能とプレゼンの才能は別だという話を、ラリー・ウィリアムズのエピソードやら→宇多田ヒカルの例まで持ち出して、色々と小一時間ほど説明したのだが、結局、怪訝な顔をされて終ったという顛末。やれやれ。
そしてその夜、この友人から、URLだけが記載されている短いメールが送られてきた。クリックして、今頃になってアクセスが急増した本当の理由を知った訳だが、なるほどねえ。コピーライター顔負けの名キャッチ・コピーで、ここまで理解してくれれば、文章を書いた甲斐があったというものだが、一方で果たしてどれだけの人が二行目のの意味を理解したであろうかとも思う。まあ、甘く見積もって、数パーセントといったところだろうか。やれやれ。
で、結局のところ、私がSTF氏のプレゼンが<罪作り>だというのは、地動説というコンテンツを天動説のマナーでプレゼンするからである。言い換えると、テクニカル的な考え方を、ファンダ的な考え方の文法に則った語法でもって説明するからに他ならない。この意味合いで、いささか辛口の言い方をすればボケのプレゼンだからで、従って、私としてはどうしてもツッコミを入れざるを得ないということになる訳である。
この事は先に挙げた、ラリー・ウィリアムズの書いているエピソードの例が判り易いと思うので、最後に紹介しておこう。最初にこのエピソードを読んだ時は、飲んでいたコーヒーを吹き出してしまい、結局パソコンのキーボードを買い替える羽目に陥ったという、私にとっては、いわくつきのエピソードでもある。
<先週末、フロリダでセミナーを講演していたジェイク・バーンスタインは、こんな興味深い話を披露してくれた。
何年か前、ジェイクがある証券会社の顧客の集まりで講演した時のことである。顧客達は主に牧場主や農場経営者、数人のトレーダーも混じっていた。講演が終わると、一人だけトレーディングで成果を上げている顧客がいて、その人に会ってみないかと誘われたのである。その顧客は、特に頭脳明晰というわけではないが、トレーディングでは必ず儲けているという話だった。
この農夫とジェイクはとても話のウマが合ったようで、老農夫はジェイクに自分がどんな取引システムを使っているのか知りたいか、と言った。「もちろん」とジェイクは述べ、「どんな手法なのか、ぜひ拝見したいですね」と答えた。そこで老農夫は、ポーク・ベリーのチャートを開き、糸のついた振り子を取り出した。チャートの上に振り子をかざすと、彼はジェイクに言った。
「このページの上で、振り子が上下に振れたら買い、横に振れたら売りなんだよ。ジェイク、見てしまったね、俺のシステムを」
この話を引き気味に聞いていたジェイクは、しばしの間考えて、尋ねた。
「それだけですか? 他に何もありませんか?」
「えーと・・・」とこの老農夫は口ごもり、答えた。
「もう一つあるけど、あんまり意味はないと思うね。その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切ることにしているんだ」>
先日、株をやっている若い友人(STF氏の講演会に行った御仁である)に用事があって会った際、最近、STF氏について書いたブログの文章のアクセスが異様に増えているという話題を振ったところ、「ああ、それはたぶんこの動画のせいですよ」と、その場でタブレットを出して、松井証券の宣伝番組にSTF氏が出演した動画を見せてくれた。
観終わって、「STF氏も罪作りだなあ」とそのあと少し批判的なことを喋ったのだが、例によって、話がかみ合わない。
「STFさんが昔書いていたブログでは、自分はファンダメンタル派だと言っていますよ」
「だから罪作りなんだよ」
ということで、株の才能とプレゼンの才能は別だという話を、ラリー・ウィリアムズのエピソードやら→宇多田ヒカルの例まで持ち出して、色々と小一時間ほど説明したのだが、結局、怪訝な顔をされて終ったという顛末。やれやれ。
そしてその夜、この友人から、URLだけが記載されている短いメールが送られてきた。クリックして、今頃になってアクセスが急増した本当の理由を知った訳だが、なるほどねえ。コピーライター顔負けの名キャッチ・コピーで、ここまで理解してくれれば、文章を書いた甲斐があったというものだが、一方で果たしてどれだけの人が二行目のの意味を理解したであろうかとも思う。まあ、甘く見積もって、数パーセントといったところだろうか。やれやれ。
で、結局のところ、私がSTF氏のプレゼンが<罪作り>だというのは、地動説というコンテンツを天動説のマナーでプレゼンするからである。言い換えると、テクニカル的な考え方を、ファンダ的な考え方の文法に則った語法でもって説明するからに他ならない。この意味合いで、いささか辛口の言い方をすればボケのプレゼンだからで、従って、私としてはどうしてもツッコミを入れざるを得ないということになる訳である。
この事は先に挙げた、ラリー・ウィリアムズの書いているエピソードの例が判り易いと思うので、最後に紹介しておこう。最初にこのエピソードを読んだ時は、飲んでいたコーヒーを吹き出してしまい、結局パソコンのキーボードを買い替える羽目に陥ったという、私にとっては、いわくつきのエピソードでもある。
<先週末、フロリダでセミナーを講演していたジェイク・バーンスタインは、こんな興味深い話を披露してくれた。
何年か前、ジェイクがある証券会社の顧客の集まりで講演した時のことである。顧客達は主に牧場主や農場経営者、数人のトレーダーも混じっていた。講演が終わると、一人だけトレーディングで成果を上げている顧客がいて、その人に会ってみないかと誘われたのである。その顧客は、特に頭脳明晰というわけではないが、トレーディングでは必ず儲けているという話だった。
この農夫とジェイクはとても話のウマが合ったようで、老農夫はジェイクに自分がどんな取引システムを使っているのか知りたいか、と言った。「もちろん」とジェイクは述べ、「どんな手法なのか、ぜひ拝見したいですね」と答えた。そこで老農夫は、ポーク・ベリーのチャートを開き、糸のついた振り子を取り出した。チャートの上に振り子をかざすと、彼はジェイクに言った。
「このページの上で、振り子が上下に振れたら買い、横に振れたら売りなんだよ。ジェイク、見てしまったね、俺のシステムを」
この話を引き気味に聞いていたジェイクは、しばしの間考えて、尋ねた。
「それだけですか? 他に何もありませんか?」
「えーと・・・」とこの老農夫は口ごもり、答えた。
「もう一つあるけど、あんまり意味はないと思うね。その日の終わりで損をしていたら、そのトレードは仕切ることにしているんだ」>