ものぐさ屁理屈研究室

誰も私に問わなければ、
私はそれを知っている。
誰か問う者に説明しようとすれば、
私はそれを知ってはいない。

暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 4

2023-08-27 15:00:00 | トレンド・フォロー


さて、二度目は上の図のように、年が明けて2023年2月14日に再度エントリーした訳だが、同じような説明をだらだらと続けても面白味がないので、今回は省いて、この天井でのドテン売りについて、私が考えている意味合いについて少し述べてみたい。

これまで暴落・暴騰時のトレードについて述べて来た。その中で、トレンド・フォローといった言い方をしてきた訳だが、私が言うトレンド・フォローとは、通常言われているトレンド・フォローとは少しく異なるということは、ここで強調しておきたいと思うのである。

通常言われているトレンド・フォローとは、アップ・トレンドにせよダウントレンドにせよ、言わば片張り的思考に基づいた一方向のトレンドにだけ追随する単眼思考的トレンド・フォローであるのに対して、私の言うトレンド・フォローとは、両張り的思考に基づいた双方向のトレンドに追随する複眼思考的トレンド・フォローである。と、こうやって言語化して言葉にしてみると何やらややこしい複雑な技法のようだが、要はドテン売り、ドテン買いのことである。これは、その狙い撃ちするターゲットが、現在のトレンドだけではなく、方向転換後のトレンドまでをも射程に含むトレンド・フォローであると言い換えたら解り易いだろうか。


議論の前提として、同じような分類を述べている投資家も多いが、対比の意味で都合が良いので、ここではミネルヴィニの4つのステージ・サイクル分類を見てみたい。







第1ステージ 底固め局面ー無関心

特徴
・横ばいに動く
・株価は200日移動平均線の近くで上下する
・第4ステージで株価が数カ月以上も下げた後に、この横ばいのステージに入ることがよくある
・出来高は減って、前の第4ステージを比べても少ない

*複利効果を最大限に発揮するため、株を買った後に素早く上昇する銘柄に集中することが重要。第1ステージでは、どれほど魅力ある銘柄でも買うのは避けるべき。たとえ会社のファンダメンタルズが興味をそそるものでも、待って、第2ステージで買うこと。

第2ステージ 上昇局面ー機関投資家の買い集め

特徴
・株価は200日移動平均線を上回る
・200日移動平均線自体も上昇トレンド
・150日移動平均線が200日移動平均線を上回る
・株価は高値と安値を段階的に切り上げている
・株価が大きく上昇する日や週には出来高が急増し、押し目の期間では出来高が減る
・下落する日や週よりも上昇する日や週の時に平均以上の出来高になる

*株を買うなら明らかな上昇トレンドにあるこの時期に行う。機関投資家の買い集めを味方につけて上昇の波に乗る。底値からはだいぶ高くなっているかもしれないが問題はない。底値は過去情報、株価は将来の情報を見て動く。

第3ステージ 天井圏ー機関投資家の売り抜け

特徴
・株価は不安定になり、ボラティリティが高まる
・上昇トレンドに見えるが株価の動きは第2ステージと比較してはるかに不規則下
・出来高を伴って大きく下にブレイクする
・株価は200日移動平均線を下抜くかもしれない
・200日移動平均線は上方への勢いを失って横向き

*機関投資家による極端な買い集めはもうなく、売り抜け局面にある。個人投資家など弱い買い手が株価を支えている状況であるため、ボラティリティも高くなる。

第4ステージ 下落局面ー投げ売り

特徴
・株価は200日移動平均線を下回る
・200日移動平均線は、明らかな下降トレンド
・株価は52週安値を付けているか、そこに近い
・株価は安値と高値を段階的に切り下げている
・150日移動平均線が200日移動平均線を下回る
・株価が大きく下落する日や週は出来高が急増し、戻りでは出来高が減る
・上昇する日や週よりも下落する日や週は平均以上の出来高になる

*第4ステージの株価と出来高の特徴は、基本的に第2ステージの逆で、下げる日に出来高が増え、上げる日には出来高が減る。株価が第4ステージにある間は、買いは絶対に控える。












ミネルヴィニは、時にはカラ売りもやるようだが、基本的には上昇を取る、買いによる片張り手法なので、最も効率の良い第2ステージに特化すべきだと言っている。彼の目覚ましい成績は、この第2ステージに特化したところによるところが大きいと言えよう。彼の成功要因は、この第2ステージを見極める厳格な相場認識技術とシビアなリスク・マネージメント、それに加えて、永年の鍛錬による鋭敏な変動感覚がものを言っているように、私には思われる。

この意味で、前に紹介した彼が優勝を飾った2021年チャンピオンシップでのトレードについて、利確を早めるように<手法の範囲内での戦略の調整>をしたと言っているのは、見逃してはならない。

<私が投資のチャンピオンシップで優勝した2021年はとても難しい年だった。同年2月に銘柄の動きにシフトを感じた。つまり「ブレークアウトしてもそこから長続きしないこと」。だから私は短期での上昇の強みで売ることにした。手法の範囲内での戦略の調整はこれのみだったかな。>

この<調整>の理由として、<同年2月に銘柄の動きにシフトを感じた>からだと述べているが、こういった鋭敏な変動感覚による<調整>というものは、恐らく傑出した投資家であれば、誰もがやっている事であろうと想像する。また、逆に言えば、こういった相場の微妙な変化・差異に対する柔軟な<調整>能力の有無こそが、そうでない投資家と傑出した投資家とを分ける分水嶺になるのではないか、そう私は考えるのであるが、どう思われるであろうか。

ここで思い出すのは、長嶋茂雄(プロ野球選手)が、他人のバットでホームランを打ったというエピソードである。これには「弘法筆を選ばず」などいろいろな解釈が出来ようが、その日の自分の体調・調子と相手投手の投球内容・調子という二つの相対する条件の組み合わせに対する最適解として、その日の条件に最も適合したバット=自分のバットではない他人のバットを、あえて使ったのではないかと私は想像するのだが、どう思われるであろうか。普通では思いつかない他人のバットを使うというのは、まさに天才的な、微妙な変化や差異に対する柔軟な<調整>であった訳である。


ミネルヴィニ先生の米国株より)


それは兎も角、このミネルヴィニの4つのステージ・サイクルに共感を持って同意する人は多いと思うが、私が言いたいのは、これまで説明してきた天井でのドテン売りというのは、この第2ステージから第3ステージを経て第4ステージまでを取る、非常に効率の良い、エグイやり方であるということである。

言うまでもないことだが、ミネルヴィニが第2ステージに特化すべきだと言うのは、買いによる片張りを前提とした話であって、それに加えて第3ステージ、第4ステージも取ることも出来るので、その優位性は成果共々凄まじいものがあると言いたい訳である。まあ、理屈から考えても、ミネルヴィニの成績を上回ることは十二分に可能であることは、言うまでもないだろう。

これに比べると、天井でのドテン売りの逆パターン、大底でのドテン買いというのは、「底練り」という言葉があるように第1ステージを含んでいるので甚だ効率が悪く、私も決して手は出さないようにしている。その例外は暴落時で、これはリバウンドが付きものなので甚だ効率が良い。従って、こういったステージ・サイクル理解に基づけば、一般に広く行われているボトム・フィッシングというのは、最も非効率なやり方だということになる。

ところが、これまで多くの投資本を読み、主要な投資本は大体網羅してきた私の経験から言うと、こういったステージ・サイクル理解は広く共有されているのにも関わらず、ほとんどの投資本で説かれているのは、買い一辺倒の片張り手法に偏っているのが実情である、と残念ながら言わざるを得ない。つまり、そのターゲットはステージ・サイクルの内の第1ステージから第2ステージだけを対象にしている訳で、前に信用口座の開設率は30%ほどという数字を引いたが、この数字と株式投資における勝者の割合の数字(10%くらいから、実はもっと少なくほんの数%しかいないなどと色々言われているが、実際のところは判らない。証券会社は明確に数字を把握していると思うが、営業政策上マイナスの宣伝効果しかないので、今後も公表されることはないであろう)は、勿論、相関関係があろう。個人的には、因果関係があると断言しても、全く差し支えないとさえ考えているけれども。

といったようなことで、結局のところ、述べてきたような4つのステージ・サイクルを前提に考えれば、第2ステージから第3ステージを経て第4ステージまでを取るのが、最も経済的合理性に叶ったやり方ではないだろうか、というのが私のポジション・トークである(笑)。


それにしても、林輝太郎氏によれば、この「つなぎ売買」(なお、「うねり取り」「リズム取り」という呼称もあるが、私は「うねり」や「リズム」の定義が明確ではないので、あまり好きではない。これらは悪い呼び方である。)という相場技法は、西洋人の発想には見られないもので、先物同様、すでに江戸時代の米相場において生み出されていたということであるが、こうした日本人の先人の叡智には、計り知れないものがると思わざるを得ない。同じ血を引く日本人として、ぜひ、この「つなぎ売買」による、天井でのドテン売りという両建てによる相場技法を身に着けて頂きたいと思う次第である。成功を祈る。






終戦記念日に考える 1 ー「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を観る 

2023-08-21 17:00:00 | やまとごころ、からごころ


今年も終戦記念日がやって来た。特に意識していた訳ではないが、たまたまWOWOWでやっていた「聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-」を観た。「70年目の真実」とあるので、どんなふうに新しい見方が盛り込まれているのかなといった興味から観た訳だが、私には、この映画のどこに「70年目の真実」があるのか、全く判らなかった。観終わって、やれやれと言った感想を持ったわけだが、この「やれやれ」について、少し書いてみたい。

映画に限らず否定的な評は普段は書かないのだが、ここで描かれた、山本五十六像は、相も変わらず戦争には反対であった悲劇の司令長官という一種の理想的な人物として描かれている。副題に「70年目の真実」とあるが、言うまでもなくフィクションである。従って、この副題はミスリードであるなどと野暮なことは言うつもりはないけれども、半藤一利監修とのことだが、あまりにもフィクションが過ぎる内容である。そうは言っても、人物像として、女好き博打好きであった面は綺麗にスルーされているとか、新聞社の名前が架空の「東京日報」であるとか、そういったささいなことを問題にしたい訳ではない。映画の影響力には侮れないものがあるので、こうした山本五十六像は、現在通念となっている陸軍悪玉海軍善玉論に則ったものであることを問題にしたいのである。

この陸軍悪玉海軍善玉論というのは、小説家の阿川弘之氏がその典型であるが、主に海軍出身者が広めた見方であることは指摘しておかなければならない。この映画の監修者の半藤一利氏も海軍出身ではないが、陸軍悪玉海軍善玉論を広めるのに預かって力のあった一人である。

山本五十六が真珠湾攻撃を決断した理由と戦後の復興にかけた日本海軍の秘策 


どのような組織でも一枚岩ではなく、さまざまな解釈や意見がその濃淡とともに混在しているので、海軍の中にもこういった考え方があったということまでは否定しないが、問題は山本五十六の評価である。様々な資料から、山本は司令長官辞任を盾にとって日米開戦を強硬に主張し、日本を東進させ敗戦に導いた主犯格の人物であるということは言っておかなければならない。

私も、この事実は一応は知っていたが、近年近現代史研究家 林千勝氏が第一次資料に基づいて詳らかにされたのだが、これほどまでに一貫して策略的な姿勢だったとまでは知らなかった。林千勝氏の労を多としたい。知らない人も多いと思うので、両論併記という意味でも、正反対の見解をここで紹介しておきたい。




なぜ真珠湾奇襲案がオモテの会議記録に存在しないのか? 近現代史研究家 林千勝


従って、大勢としては天皇は言うに及ばず軍令部・海軍省、即ち陸軍海軍共に日米開戦には反対であり、朝日新聞を筆頭とするジャーナリズムとそれに乗せられた世論、それに一部の議員が対米開戦強硬派であったという構図の中にあって、それを許した組織的な問題もあったにせよ、謀略的とも言いうる立ち回りによって、山本五十六司令長官と永野陸軍総長が、日本を日米開戦へと向かわせたというのが真実であろう。

それにしても、この山本にしても永野陸軍総長にしても、なぜこういった挙に出たのかは、どうもよくわからない。極東軍事裁判における永野の尋問調書における発言も、基本的に山本に責任を押し付けるといった保身の意志がありありと伺われる内容で、ではなぜ、その山本を重用したのかという点については全く触れられていない。

そもそも真珠湾攻撃の理由付けとしての、攻撃によるアメリカ戦意喪失論と山本の有名な発言ー「それは是非やれと言われれば初め半年や1年の間は随分暴れてご覧に入れる。然しながら、2年3年となれば全く確信は持てぬ。」というアメリカ猛反撃予想論は矛盾していて、整合性が取れていない。にもかかわらず、海軍善玉論は、後者の認識の正当性だけを強調し、それは海軍の伝統として世界情勢を良く知っていたからだといったロジックであるが、正反対の前者のアメリカ認識の方は無視、或いは黙殺といった論理の建付けになっていることは指摘しておかなければならないだろう。まあ、海軍出身者が海軍善玉論を論うのは判らないでもないが、そうではない半藤一利氏が陸軍悪玉海軍善玉論を唱えたのは、訝しいところである。この意味では、現在広く影響を及ぼしている半藤史観も再検討が必要であろう。

私も色々な書物を読んで来たが、この真珠湾攻撃によるアメリカ戦意喪失論というのがどこから出てきたのか、どうもよくわからない。或いは真珠湾攻撃まずありきのこじつけ的理由付けかも知れない。林千勝氏が述べているように、とにかく正式な会議にかければ、当時の軍令部・海軍省の情勢分析と真っ向から対立するので、それが山本が正式な会議にはかけることをせずに、裏工作に走った理由であろう。

結局のところ、山本・永野の二人がどういったことを考えていたのかは良くわからないと言わざるを得ない。これは想像するしかないのだが、或いは左翼の「敗戦革命論」に近いものを胸の奥深く秘めていたのかもしれない。このあたりの事は歴史の暗部という他はない。


それはともかく、この日米開戦に至る過程は、私には現在の状況と重ね合わせて考えざるを得ない。後になって考えてみれば、なぜあんな無謀なことをしたのであろうかということになるのではないか、そう思われて仕方がないのである。

ロシアに対する経済制裁というのは、どういう経緯で決定されたのかはどうもよくわからないのであるが、岸田首相のリーダーシップによる独断とは考えにくい。おそらく自民党主流派の意向であろうが、「力による現状変更は認めない」という国連軍司令官にでもなったような岸田首相の発言が大義に値するのかどうかはさて置き、そこにはロシアウクライナ戦争の趨勢に対する大局的な戦略的戦術的認識・分析があったとはとても思えないのであるが、この点どう思われるであろうか。

専門家にもいろいろな意見があるが、ウクライナとロシアの戦力比は大体1対5ぐらい、中には制空権や人的機械的ソフトウェアも含めて考えると1対10という専門家もいる始末で、このことから常識的に考えれば、日米開戦時の日本と同じく、当初からウクライナの敗戦は、決まったも同然だと見るのが妥当だろう。日本のマスコミは、ロシアの劣勢、ウクライナの反攻・反撃ばかりを騒ぎ立てているが、太平洋戦争時の大本営発表とそっくりである。苦し紛れのクラスター爆弾の使用決定がいい例で、ウクライナの劣勢は明らかなのであるが、恐らく、ここ1年くらいのうちにウクライナの敗戦は決定的になるものと思われる。その後は「ポツダム宣言受諾」に至るか、NATO・ロシアの全面戦争に発展するかのどちかであろう。ゼレンスキー大統領のこれまでの発言を見ていると、これまた日米開戦後の大本営発表とそっくりで、講和など全くの眼中にはないといった有様で、やっていることは「国民総動員」徴兵で、国民総玉砕を目指しているかのようで、まるで太平洋戦争末期の日本を見ているようだ。実際には、裏で色々と講和への丁々発止のやり取りが行われているようだが、NATO内の強硬派・アメリカの介入・妨害があって、上手くはいっていないようである。日本のマスコミでまことしやかに言われているプーチン失脚だとかプーチン暗殺だとかは、むしろゼレンスキー大統領にこそ言えることであって、その可能性は十二分にあると私なぞは考えるのだが、ある日突然「ゼレンスキー大統領国外逃亡」といったニュースが流れることになるのかもしれない。

とこういったことを書くと、直ぐに親ロシア親プーチンかとレッテルを張る人がいるけれども、私が言いたいのは、今回もまた日本が敗戦国側になるのは、火を見るより明らかであるということである。このロシアに対する経済制裁という決断が、今後の日本の外交上どれだけ国益を損ねることになるのかを考えると、空恐ろしい気がするが、急速に親ロシア・親中国・反米へと傾いているアラブ諸国との関係を考えれば、またもや日本には、日米開戦時と同じように、石油が入ってこない事にもなりかねない。

【日本崩壊政権】岸田外交は日本を石油危機に導く?! 中東産油国にとって日本の重要性は中国,韓国以下に転落!



また、麻生氏の台湾での発言にも見られるように、「台湾有事は日本有事」というのは自民党主流派の基本的な立場と言って良いだろうが、現在の極東情勢の中でロシアを反日にするということは、如何なる意味を持つのか考えているのだろうかという問いかけもむなしい気がするのは、私だけであろうか。

私自身は、「台湾有事」の可能性は限りなく低いと考えているが、何が起こるかわからないのが、歴史の恐ろしいところである。もしそういった事態を想定した場合、中国の身になって考えてみれば、中国一国だけで事を起こすとは考えにくい。むしろ、利害が一致する中国・北朝鮮・ロシアの三国同盟というのは当然に考えられるシナリオである。この三方に対応するだけの軍事力を、現在は兎も角、自衛隊に近い将来であっても持つことが出来るかどうか。増してや、石油が入ってこなくなったら・・・。

自民党主流派は、アメリカを当てにしているようにも見えるが、この点どう考えているのか、どうもよくわからない。これは私の推測であるので、誤解されないように釘をさして置きたいが、どうも日本政府は内々にアメリカから、期限付きで在日米軍撤退の通告を受けているように思われてならない。それが、軍事費増強ありき財源論後回しで遮二無二に軍事費増強に向かう理由であろうと私は邪推するのであるが、どう思われるであろうか。

勿論、その時期は在韓米軍撤退と機を同じくするはずで、その時日本は存亡の危機に立たされることになる。しかし、ピンチはチャンスでもある。それはまた、日本は属国から真の独立国として立つ絶好の機会でもあるということでもあって、その時日本は、果たしてそれにふさわしいリーダーを持つことが出来るのであろうか。




暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 3

2023-08-18 13:00:00 | トレンド・フォロー


さて、例によって、思考を再現してみよう。述べたように、青い線で引いてある2013年1月31日に付けた2560円を、2022年5月17日に上に抜けてきたので、エントリー。移動平均線の並びが、パーフェクト・オーダーになっているので、強いアップトレンドである。上値のとりあえずの目処は、これも前に述べたように青い線で引いてある4120円である。 0-200

5月24日 上髭陰線で5日移動平均線を割ったので、全ヘッジを入れる。200-200

6月8日 陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、その分買いを足す。0-400

6月13日 陰線で5日移動平均線を割る。上値を切り下げたので、レンジ入りしそうである。 100-400

6月15日 25日移動平均線を陰線で割り、5日移動平均線と25日移動平均線がデッドクロスするのはほぼ確実、つまりパーフェクト・オーダーが崩れ、レンジ入りが確実となったと判断。このあと、75日移動平均線も割れると大変であるが、75日移動平均線を割らなければ、基本アップトレンド目線である。ということで、何らかの変化があるまでは、しばらくは、ポジションは動かさないで、しばらくはレンジの上値、下値の見極めに注力することにする。

6月29日 再び5日移動平均線が25日移動平均線の上に出て、パーフェクト・オーダー復活。ヘッジを切って、買い増す。0-500

6月30日 すぐさま翌日に陰線で、5日移動平均線を割る。上値更新失敗。100-500

7月19日 再び25日移動平均線の下にもぐっていってから、5日移動平均線が再度25日移動平均線の上に出て、またまたパーフェクト・オーダー復活。日足も陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを切って、買い増し。下値を切り上げているので、この後上値を更新するのかに注目。0ー600

7月25日 直近の上値は更新して上げて来たが、5月24日の高値を明確に超えられずに長い陰線で、5日移動平均線を割る。この時点で、点線で示したような上値・下値のレンジになっているのではないかと判断。ただし、5日移動平均線の傾きも上向きであるし、5日移動平均線と25日移動平均線の間隔が広がりだしているので、勢いは強いと判断できる。従って、多分、この下げ圧力は弱く、あまり下げないのではないかと思われた。さらに、5月24日以降の動きをみると、逆ヘッド・アンド・ショルダーになっていることも、こうした判断根拠を補強しよう。100-600

なお、基本アップトレンド目線なら、ちまちまヘッジを入れるようなことをせず、ロングも同様にちまちま増やすといったまどろっこしいやり方をせずに、下げ切ったところで、いっぺんにロングをまとめて入れれば良いのにと思われる人がいるかもしれないが、それは後講釈と言うものである。実際にはどこで下げ止まるのかは判らないし、大きく下げてダウン・トレンドへ転換していく可能性もあるので、このように上げ下げの動きの微妙な綾を読んで、ヘッジを入れたり外したりと、その時々の株価の動きに合わせてリスク管理をしながら、ポジションを動かしていくのが分割売買による両建てのやり方である。

利益面からみると、こういったレンジというのは、細かいマイナスをコツコツと積み重ねていくことになるが、レンジをブレイクしてトレンドが出たときにドカンと大きな利益が出るようなポジションを作っておくための準備期間と捉えることが重要である。言い換えると、目指すのは低勝率高損益比率型のトレード、俗にいうコツコツ(利益)・ドカン(損失)とは正反対の、言わば逆コツコツ(損失)・ドカン(利益)であって、大きく動く直前にどれだけ大きなポジションを作っておけるかどうかが肝である。


8月5日 その後上げて、5日移動平均線の上に出たが、再度レンジの上値に阻まれて下落、再び5日移動平均線の下にもぐっていってから、この日に初めて短いコマ陽線だが、日足の実態部分が下から5日移動平均線を抜けた。これは見逃してはならない兆候である。翌日は上がる可能性が高く、下値を切り上げることになるからである。これまでの5日移動平均線と25日移動平均線の絡み具合を見てみると、一回目の25日移動平均線に対しての5日移動平均線の下へのもぐり方よりも、2回目のもぐり方のほうが浅くなっているのが判るだろう。そして、翌日上がれば、今回は5日移動平均線が25日移動平均線を割らないで上がっていくことになる。多分、株価だけを見ている人にはこうしたことは、判らないであろうが、株価の位置的には、レンジの半分よりは上の位置であっても、ここは確率の高い上昇に賭けるべきクリティカル・ポイントである。0ー700

8月8日 週明けの翌日、大きく窓を開けて上昇、コマ陽線。ザラ場は見ない、翌日寄り付きの売買なので、どうやら一日遅れる形になったようだ。これは仕方がない。上値目安4120円が近づいてきたので、ここからの動きは要注意である。

8月9日 非常に長い上髭コマ陽線、いわゆるピンバー。上髭の中に4120円があるが、これは4120円を大きく抜けて上昇していったが、結局押し戻されて、4120円より下で終わったということを示していて、天井を打ったことを強く示唆している。更に注目すべきは、異常とも言える巨大な出来高である。これは、マーケットメイカーが売っている何よりの証拠で、ここは断固として手仕舞いするところである。0-0

なお、一瞬、売りを入れてドテンしようかとも考えたが、リスクが高いので、止めておいた。結果としては、この後下げて行って、この判断は正解だった訳だが、それは結果論と言うもので、上昇しだして3日しか経っていないので.、この後上がっていく可能性も十二分にあったからである。SNSには、こういった丁半博打的後講釈が溢れているが、言うまでもないことであるが、プロのギャンブラーはその名に反して決してギャンブルをしないものである。また、ここで、全部を利確しないで、ポジションをスクウェアにして、例えば100-100といったポジションにして対応していくという手もあるが、エントリーから丸々3カ月近く経っていることも、手仕舞いした理由である。それは、マインド・マネージメントの観点からで、このように一旦の区切りを入れないでだらだらと続けていくと、緊張感が薄れ、大ポカー大きな判断ミスをやり勝ちだからである。

8月15日 上下に髭のコマ陽線であるが、5日移動平均線の下に出たので、試し玉を入れる。100-0

8月19日 5日移動平均線の上に陽線で抜けたので、買いヘッジを入れる。この後、上値を切り下げるかどうかに注目。100-100

8月31日 その後、5日移動平均線の下にもぐって来たが、日足の実体がなく動きがほとんどない、はっきりしない日が2日続いて、様子見をしていたが、5日移動平均線が下げてきて、日足同様5日移動平均線も上値を切り下げたので、これでダウン・トレンドが明確になった。ヘッジを切って本玉を入れる。400-0

9月6日 5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。5日移動平均線が25日移動平均線の下に潜り込んできた。400-100

9月8日 十字線ではあるが、5日移動平均線の下にもぐって来たので、ヘッジを外す。500-0

9月16日 図に引いて置いた指示線を割り、25日移動平均線もダウン・トレンドに入って来たので、売り増し。600-0



10月14日 その後順調に下げて来て、一旦十字線で5日移動平均線の上に出たが、すぐ翌日に割って下がっていき、この日に陽線で5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。600-100

10月21日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを外す。700-0

10月24日 週明け、5日移動平均線の上に出たので、ヘッジを入れる。700-100

10月27日 5日移動平均線を割ったので、ヘッジを外す。なお、下値の目処は前に述べた以前の高値2560円、それにその下にある300日移動平均線である。多くのチャートを見てもらえれば確認できるが、この300日移動平均線がサポートラインやレジスタンスラインになっているケースが結構多い。それだけマーケットメイカーに強く意識されている重要なラインである。 800-0

10月31日 前日10月28日は大陰線で2560円もあっさりと抜け、この日はピンバーで髭が300日移動平均線に刺さった形になっている。出来高も突出して多い。従って底を打ったと判断したが、ここであることに気づいた。動きは逆だが、天井を打った時と絵に描いたように相似形になっている。これは、この銘柄の背後で蠢いているマーケットメイカーのやり口の癖、というか特徴を物語っているように私は思われるのだが、どう思われるだろうか。従って、下げが急だったこともあり、ここでのリバウンドを取ってみる気になった。ドテンして試し玉を入れる。0-100

11月8日 上がってきて、5日移動平均線の上に出てきたのに伴って、5日移動平均線もV字回復。なので、この日に初めて短いコマだが陽線が出たので買いを足す。0-200

11月18日 5日移動平均線を陰線で割ったので、ここで終了(1回目)。0-0



暴騰はトレンド、トレンドはフレンド 2

2023-08-11 12:00:00 | トレンド・フォロー
次は、個別株の場合である。

これは1518三井松島ホールディングスの月足チャートであるが、青い線で引いてある2013年1月31日に付けた2560円を、2022年5月17日に上に抜けてきた。このような鋭角に上がって鋭角に下げている過去の天井は節目として、要注意である。ここを抜けて来たと言うことは、長期の上昇トレンドに入ったと見ることが出来る。同じように、これも青い線で引いて置いたが、上値の節目として、2008年5月30日に付けた4120円が重要である。



勿論、上昇の力が強いと上に抜けていく場合や途中で失速して下げていく場合も多いが、今回はこのように4120円をレジスタンス値として、ダブルトップを付けた形になっている。こういった月足を見ている人はあまりいないと思うが、このようにテクニカルにおいても、ファンダメンタルと同様長期のマクロの視点が重要であることは、ここで強調しておきたい。従って、多くの銘柄の月足を見てみることをお勧めする。このように10年とか20年以上も前に付けた天井値で下げている銘柄は、かなりの数が見つかるはずである。



そして、2023年8月11日現在、2560円でまたもや反発しているので、下値2560円は、典型的なサポレジ転換線になっているようだ。このことからこの1518三井松島という銘柄は、下値2560円上値4120円のボックス相場になっていると判断できる。日足で見ると下値上値を切り上げているので、私は月曜日寄り付きで試し玉の買い注文を出したところである。

ただ、言わずもがなの事であるが、こうした上値下値の節目とかボックス相場とかはあくまで仮説であって、決して決めつけてはならない。あくまでも目安であって、株価の微妙で繊細な動きを注視することで、その変動に柔軟に対応していかなければならないこともまた、ここで強調しておきたい。

そして、こうした柔軟な対応力の基になるのは、林輝太郎氏が提唱された「変動感覚」で、これはまた非常に重要な概念で、別に論じたいと思っているが、私見では投資における「聖杯」とは、実はこの「変動感覚」がその重要な部分を占めているのではないかと考えている。それは、例えばバリュー投資などの手法を学んでも、一握りの勝ち組のバリュー投資家とその他大勢の負け組のバリュー投資家に分かれてしまうのは、この「変動感覚」の体得の有無が、この差異を作り出しているのではないかと考えているからである。

巷では一般に、ファンダメンタルだとか、テクニカルだとか、バリューだとかグロースだとかの分類が持て囃されているが、優位性あるいは有意性というのは、そういった手法自体に存在している訳ではなく、実のところ、その総てではないにしても、多くの部分がこの「変動感覚」の有無の濃淡にこそ存在しているのではないか、とあえて言いたいのである。ここで問題なのは、勝ち組の投資家や著名なカリスマ投資家でも、この点をはっきりと自覚している人は稀で、投資における名著は多く存在しているが、この点をはっきりと明言し、言語化し得た著作がほとんど見当たらないというのが実情であるということである。林輝太郎氏の著作を除いては。この意味では、この「変動感覚」という言葉の言語化という点で、林輝太郎氏の功績は空前のものではないだろうかと私は考えている。或いは絶後ということになるのかも知れない。

それはともかく、このことは突き詰めて考えると、なかなかと難しい問題である。どうやら投資の実践に置いて秀でる能力と、自分が実際に行っている投資という実践行為を、明確に言語化して、プレゼンすることが出来る能力とは、全くの別の次元の才能が必要とされると言って良いだろう。投資に限らず、我々人間の実存の形式とは、そういう風に出来ているらしい。

つまり、投資における優位性あるいは統計的有意性、言い換えると「聖杯」とは、そのかなりの部分が「変動感覚」という実践知・一種の暗黙知に依存しているのであって、この「変動感覚」を身に着けるのには、「頭脳による学習」では全く不十分、と言うより「頭脳による学習」とは別の次元の「学習」が必要で、それには林輝太郎氏の言うように、ある種の修練あるいは鍛錬が必要不可欠の要件として要求されることになる。練習・実践の繰り返しによる「体得」というものが、どうしても必要だということである。この意味では、投資というのは、スポーツと何ら変わるところはないのであって、投資にも「心技体」が必要だということにもなる訳である。