縁

　人間には、不思議な縁がある。
　
　ただ、同じ中学校の出身という事だけなのだが、この四十数年、二，三年越しに一度は、街で出会っている人が居る。
　無論、私は彼女の家も名前も知らないのだが、この不思議な邂逅は繰り替えさえている。全くの作為無しの出会いで、それも遠くに居る彼女をちらりと見掛けたと言うのではなくて、その都度道で接近遭遇して擦違っているのだ。
　
　この一期一会ならぬ、永い永い縁は、一体何処まで続くのだろうか。
　しかし、それにしても、私も彼女も随分老けた。


　　　『　年月に　花のかんばせ　色褪せて　　思い出だけの　美少女に　』

　　　『　子規愛す　鶏頭が咲く　花壇哉　』　　　　　　　　　　　石　　　兎