石兎の風流日誌

日常に考えた事を俳句・短歌で綴る。

旧街道

2009-10-12 20:04:06 | 日記
 私が、運動公園の野球場を見下ろす事が出来る高台で、煙草を吹かしながら暮れ行く海を見ていたら、六十代位に見える男が、何やらそわそわとした感じでやって来た。私は( 此方に来るな )と直感した。
 案の定、彼は私が座っているベンチの側までやって来て、言った。
「 あの、そこ座っていいですか 」
 私は、独りで居たかったので( これは、迷惑な )と思ったが。
「 ああ、どうぞ 」と裏腹な事を言った。
 私が、吹かしていた煙草を携帯灰皿に突っ込んだ瞬間に、男が聞いた。
「 君、そこの道の事知っていますか 」私は、男が視線を向けた方を見た。その道は、琉球王朝時代の旧街道であった。
「 ああ、知っていますよ。昔のクゥ~ジ道でしょう 」と私は言った。
「 あぁあ、そうだよ。私は、さっきクゥ~ジ道で、昔の旅人を見たんだよ 」と男は、目を見張って言った。
 
 私は、返事に窮して、男の顔を見詰めた・・・


  『 秋茄子を 天麩羅にして 食う夕餉  陳腐で有るが 諺思う 』

  『 目配せに 冷やりと思う 秋の夜 』           石   兎