私は、死んだ愛犬・留々(ルル)の三回目の命日を、忘れていた・・・いや、全く情け無い。去るものは日々に疎し、か。
私が、留々の命日(七月一日)を思い出したのは、偶然に過ぎない。その朝(七月一日)、私は、珈琲を飲みながら、煙草を吹かしていたのだが。突然、庭の木々で鳴き出したセミの声に、私ははっとし、「今日は死んだ愛犬・留々の三回目の命日なのだ」と思い至ったのだ。
いやはや、人情は紙より薄い、か。
= 留 々 =
この六月の末の青空の夕暮れは、美しい。
梅雨は、明けて、セミも鳴き出した。
いよいよ夏が始まるのだ。
留々、お前は、イノシシに立ち向かう琉球犬の血筋なのだ。
病気になんかに負けたらいけない。
留々、私は、この世の夏の美しい光を、お前と一緒にまだ見ていたいのだ。
留々、勝手に独りで逝ってはいけない。
まだ、まだ、逝ってはいけない。
石 兎
昨日、我が家の勝手口ドアノブ横の壁にへばりついてセミが脱皮をしていた。何時間もかけてゆっくりゆっくりと。脱皮したてのセミは、薄緑色で大変美しく儚げだ。
成長したセミは、数日しか生きられないと言うが。あのセミも今日の朝日と供に声を張り上げ、次の世代に繋ぐべく飛び立って行くのであろう。抜け殻一つ残して・・・
私が、留々の命日(七月一日)を思い出したのは、偶然に過ぎない。その朝(七月一日)、私は、珈琲を飲みながら、煙草を吹かしていたのだが。突然、庭の木々で鳴き出したセミの声に、私ははっとし、「今日は死んだ愛犬・留々の三回目の命日なのだ」と思い至ったのだ。
いやはや、人情は紙より薄い、か。
= 留 々 =
この六月の末の青空の夕暮れは、美しい。
梅雨は、明けて、セミも鳴き出した。
いよいよ夏が始まるのだ。
留々、お前は、イノシシに立ち向かう琉球犬の血筋なのだ。
病気になんかに負けたらいけない。
留々、私は、この世の夏の美しい光を、お前と一緒にまだ見ていたいのだ。
留々、勝手に独りで逝ってはいけない。
まだ、まだ、逝ってはいけない。
石 兎
昨日、我が家の勝手口ドアノブ横の壁にへばりついてセミが脱皮をしていた。何時間もかけてゆっくりゆっくりと。脱皮したてのセミは、薄緑色で大変美しく儚げだ。
成長したセミは、数日しか生きられないと言うが。あのセミも今日の朝日と供に声を張り上げ、次の世代に繋ぐべく飛び立って行くのであろう。抜け殻一つ残して・・・