千里眼シリーズの最新刊『千里眼の復活』を読んだのをきっかけに同シリーズにはいわゆる「クラシックシリーズ」の後の「新シリーズ」があることを知り、思わずシリーズ全巻を大人買いしてしまいました。
新シリーズ第1巻である『千里眼 The Start』は、岬美由紀の生い立ちと空自を除隊して臨床心理士になる経緯を振り返って描かれます。その際に重要な役割を果たした笹島が、千里眼としてすでに有名になっていた美由紀とある事件をきっかけに再会し、ともに飛行機墜落事故予告について調べることに。
事故予告に関する調査が始まってからはいつもの松岡圭祐テンポでスリリングなストーリー展開となりますが、過去の説明からそこに至るまでは少々回りくどく、繫がりもやや無理があるような印象を受けます。
けれども、クラシックシリーズから年月が経過し、その間の心理学的知見の変化・発展が作品に反映されるとともに、スーパーヒロイン岬美由紀のスーパーぶりがやや抑えられて人間味が増したような設定になっているところは興味深いです。
現状のリアルを踏まえつつ絶妙にフィクションを交えて独自の近未来図を描き出すことを意図した作品だそうです。2007年の作品に描かれた近未来のうち14年後の現在、現実のものとなったのはどのくらいあるのでしょうか。
『千里眼 The Start』をAmazonで購入する。
歴史小説
書評:松岡圭祐著、『黄砂の籠城 上・下』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『シャーロック・ホームズ対伊藤博文』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『八月十五日に吹く風』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『生きている理由』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『ヒトラーの試写室』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『黄砂の進撃』(講談社文庫)
推理小説
水鏡推理シリーズ
書評:松岡圭祐著、『水鏡推理』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『水鏡推理2 インパクトファクター』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『水鏡推理3 パレイドリア・フェイス』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『水鏡推理4 アノマリー』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『水鏡推理5 ニュークリアフュージョン』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『水鏡推理 6 クロノスタシス』(講談社文庫)
探偵の鑑定シリーズ
書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定I』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『探偵の鑑定II』(講談社文庫)
書評:松岡圭祐著、『探偵の探偵IV』(講談社文庫)
高校事変シリーズ
書評:松岡圭祐著、『高校事変』1&2(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『高校事変Ⅲ』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『高校事変』IV+V(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『高校事変 VI』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『高校事変 VII』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『高校事変 VIII』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『高校事変 IX』(角川文庫)
千里眼シリーズ
書評:松岡圭祐著、『千里眼完全版クラシックシリーズ』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼の復活』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 The Start』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 ファントム・クォーター』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼の水晶体』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『ミッドタウンタワーの迷宮』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼の教室』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 堕天使のメモリー』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 美由紀の正体 上・下』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 シンガポール・フライヤー 上・下』(角川文庫)
書評:松岡圭祐著、『千里眼 優しい悪魔 上・下』(角川文庫)
その他