徒然なるままに ~ Mikako Husselのブログ

ドイツ情報、ヨーロッパ旅行記、書評、その他「心にうつりゆくよしなし事」

書評:雪村花菜著、『紅霞後宮物語 第零幕 五、未来への階梯 』(富士見L文庫)

2021年07月16日 | 書評ー小説:作者ヤ・ラ・ワ行


『紅霞後宮物語 第零幕』の最新刊が発売され、シリーズ続刊自動購入の設定になっていたため、自動的に電子ライブラリーに追加され、それを自動的に消費してしまう私は何だろうと疑問に思わなくもないですが。。。
それはさておき、過去編・零幕シリーズの第5巻は、小玉の部下でなぜか女装している黄復卿(こう・ふくけい)の死から始まり、人事異動など諸々の経緯を経て、戦死した上官の王将軍の後継者としてヒロイン関小玉が将軍になるところで終わります。だいぶ本編の時間軸に近づいてきた感じですね。
このまま関小玉の将軍としての活躍やドラマが描かれて、『紅霞後宮物語』本編の始まりである小玉が皇后になる時点まで続くことになるのかどうか分かりませんが、とりあえず過去編・零幕シリーズは終わりそうな気配はありません。
著者あとがきによると、本当はこの過去編・零幕シリーズの方が「本編」で小玉が皇后になってからの話は「後日談」的な感じだったそうです。
でも、そうするとタイトルに「後宮」が入るのは変なのではないかと思わなくもありません。
今回は正直あまり面白くなかったです。特に最初の方の黄復卿の死にまつわる背景・背後関係や残されたものの気持ちの描写が結構くどくど続き、ストーリー展開のリズム感がないのがよくないですね。もうちょっとあっさり出来事を時系列に描写してもいいのではないかと思わなくもないです。未来への伏線になるようでもないので「くどい」という印象を余計強く受けますね。


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書評:大野萌子著、『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)

2021年07月07日 | 書評ーその他


『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』は中田敦彦の動画で紹介されていたのですが、「ぎゅ~っとまとめ」られすぎて物足りない感じがしたので、本の方を買って読んでみることにしました。
実際に通しで読んでみると、確かにかぶって繰り返しになっている部分が目に付きます。
コンセプトとしては、通して読むのではなく、興味のある章だけを読んで重要な改善点を見つけて直す努力をすることに主眼を置いているのだと思います。

商品説明
だれかの「ひと言」にイラっとしたこと、ありませんか?
もしくは、「悪気はなかったのに、ちょっとしたひと言で相手を不機嫌にさせてしまった」
「相手のためによかれと思って言ったのに、傷つけてしまった」というような、苦い経験はありませんか?
カウンセラーとして、2万人以上の社会人にコミュニケーションの指導をしてきた著者が、人間関係がぐんとスムーズになる「言葉のかけ方」を本書で紹介します。
「よけいなひと言」を「好かれるセリフ」に言いかえるパターンを141例、15章のシーン別にわけて解説しています。
言葉というのは怖いもの。使い方を一歩間違えると人間関係にヒビが入ったり、取り返しがつかなくなったりすることもあります。
パワハラにつながりやすいのも、無意識のうちに「よけいなひと言」を口にしているタイプです。
同じことを伝える場合でも、「言い方」次第で相手の気持ちは変わります。よりよい人間関係をつくる大きな助けとなる一冊です。 

これを読んで、ありがちなセリフに「イラっとするのは私だけではない」ということが確認できたのが個人的に特によかったと思います。
他人の言い回しやちょっとした言葉にムッとしたりイラっとしたり、モヤモヤしたりするのは自分が心が狭い、人間ができていない、不寛容などなど自分の至らなさの方にあるのか、相手が本当に常識的に見て失礼・無神経なことを言っているのか判断に自信が持てないことがあったので、自分だけの感覚ではないことが確認できたことでかなりの安心感が得られました。
やはり30年以上日本人社会から離れて生活していると、最近の常識やコミュニケーション感覚が分からないことが多くなりますので、たまに日本の方とやり取りする際に失礼にならないようにするにはどうすればいいのかかなり迷いが生じます。そういう意味では、海外生活者にもありがたい1冊だと思います。

そうでない方も、人に悪い印象を与える自分の口癖や感情的に出してしまう余計な一言を言ってないかどうか内省・反省するきっかけになるのではないかと思います。
この本のいいところは、何がいけないかを指摘するだけにとどまらず、「じゃあ、どう言ったらいいの?」「それじゃ、もう何にも言えないじゃん」といった疑問やフラストレーションに対応すべく、ちゃんと代案が示されていることです。
さらに、対人関係における基本的な心構え、マインドセット「I'm OK, you're OK」が貫かれているところがいいですね。やはり、根本的な認識が変えずに言葉だけいじっても誠意や思いやりなどは伝わりませんから。
マウンティングばかりする人、他人を自分の思い通りに支配しようとする人などはパワハラ・モラハラ認定されないために小手先の工夫をしてもマインドを変えないと結局傲慢さや攻撃性がいつまでも言葉ににじみ出てしまうものでしょう。
カウンセラーである著者は、そのような言葉の根底にある認識・考え方・マインドを明確にし、それを改めるように促しています。そうしたアドバイスは、自分が他の人に対して反省を促したり、改善をお願いしたりする際にも参考になります。


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