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辻堂ゆめ「僕と彼女の左手」

2024年03月31日 | た行の作家


中公文庫
2021年3月 初版発行
解説・逸木裕 -柔らかく心地よい光-
272頁

幼い頃遭遇した事故のトラウマで、医師になる夢が絶たれた時田習
そんな時に出会ったのは、左手だけでピアノを奏でる清家さやこでした
天真爛漫な彼女にいつしか恋心を抱くようになる習でしたが、同じ時間を過ごせば過ごすほど彼女の表情は暗くなり不可思議な行動をとるようになります
様々な状況を突き合わせていくと、ひとつの結論に…
さやこはいったいどんな事情を抱え習の前に現れたのでしょうか

医学の道を挫折した習
右手の機能を失ったさやこ
二人とも大切なものを失っていますが、交流をすることで影響を与え合い、次第に生き方を定めていきます

中盤までは、ばりばりの恋愛小説で、まるで森沢明夫さんのよう
辻堂さんはこういう小説も書く人なのかしら、読み始めたからには最後まで読もう、程度で読んでいったらば
最後に大きな感動が待っていました

過去は変えられない
失ったものは戻ってこない
でも新しい生き方を選ぶことはできる

心温まる作品でした


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