時代小説文庫(ハルキ文庫)
2017年8月 第1刷発行
289頁
「あきない世傳 金と銀」シリーズ第4巻
大坂天満の呉服商「五鈴屋」の五代目徳兵衛、惣次と女房の幸は順調に商いを広げていました
しかし、次第に幸の商才を疎むようになった惣次はある事件をきっかけに著しく誇りを傷つけられ姿を消します
二度と戻らない、という惣次の決意を知った、お家さんの富久は意外な決断を下します
家を出て九年になる五鈴屋の三男・智蔵が夢に見切りをつけ6代目徳兵衛として店主に収まり、幸を娶ることに
おそらく、そうなるだろうと思っていた展開です
さて、今度こそ五鈴屋は落ち着くのでしょうか
人形浄瑠璃を見に行った智蔵と幸
帰り道、自分は操り人形で、優秀な人形遣いの幸が自分を上手く動かしてくれればよい、と告げる智蔵に商い戦国時代の武将になるという幸の決意は揺るぎないものになります
兄弟に嫁すのは2人目まではあっても3人目なんて、と口さがないことを言う人もいます
幸は、惣次に嫁す時も、智蔵に嫁す時も天満天神社で、4代目、5代目徳兵衛に「旦那さん、ありがとうございました」と感謝の言葉を表しているので読者としてはOKです
やがて周囲の雑音も収まり幸の本領発揮、五鈴屋は売り上げを伸ばしていきます
気になったのは、幸の智蔵への気持ち
あくまで五鈴屋を盛り立てるための手段としての『旦那さん』なのか、愛しい思いは無いのか、幸自身にもまだわからないようです
その辺りも含め、また怒涛の展開を予想させて次巻へと続きます
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