角川文庫
2011年12月 初版発行
2020年11月 再版発行
解説・縄田一男
上巻 364頁
下巻 365頁
天保6年(1835年)
76年に一度現れるほうき星が辰巳の空に輝く夜
江戸・深川に暮らす気鋭の絵師・黄泉と日本橋鰹節問屋の娘・さくら夫婦の間に生まれたさち
深川に隠居所を構えた祖母・こよりも加わり、家族の愛情をいっぱいに受け、下町の人情に包まれてのびのびと育つさちを両親の突然の死、そして両親亡き後慈しんでくれた祖母の死が襲います
母の実家である鰹節問屋に引き取られた後、黄泉の絵の師匠・岡崎俊城に弟子入りし、父譲りの絵師としての天分を発揮していくのですが…
こよりから託された珊瑚商いへの思い、鮮魚店の長男で幼馴染の幹太郎への思い、自らの進むべき道に迷ったさちが最後に選んだのは?
さちが出会う人々が、さちの人となりを認めてくれる善人ばかりというのに物足りなさを感じました
でも、心持ちの温かくなる終り方に良しとしましょうかネ
山本一力さん、読ませる作家さんなのは分かるのですが、う~んとなるところもあって…
本作では、深川の町の描写、祖母の生まれ育った土佐の鯨漁師たちの諸々が、諄いし長いところに飽きがきました
“ここは外せない”部分なのでしょうけどもっと簡潔にお願いしたいなぁ、なんて思いながら読みました
新聞連載小説だったので同じような説明が繰り返されるのは仕方が無いのでしょうか
宮部みゆきさんの何だったかでも思いましたが刊行、文庫化にあたって加筆修正を願うのは我儘なのかしらん
次回ほうき星=ハレー彗星が地球に最接近するのは2061年7月28日だそうです
今から40年後では、残念ながら拝めそうもありません
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