新潮文庫
2018年12月発行
424頁
大学卒業後、10年以上働いた職場を燃え尽き症候群のような状態になって辞め、心身を休めるため実家に帰っていた「私」
失業保険が切れたので、働きたいのか働きたくないのかわからない状態の中でとりあえず職探しを始めます
相談員の正門さんの紹介でパートとして働き始めたのは
「みはりのしごと」
「バスのアナウンスのしごと」
「おかきの袋のしごと」
「路地を訪ねるしごと」
「大きな森の小屋での簡単なしごと」
主人公は、そこそこ優秀で勤務先から契約延長を求められるのですが、まだ元職場で受けた傷は癒えていないようで次々断ってしまいます
日々のお仕事にささやかなミステリーも加わって読者を楽しませる要素がふんだんに盛り込まれています
第四話の「路地」
タイトルだけで吉田篤弘さん風を思い描きましたが、似た雰囲気はあってもやなり津村さんの世界でした
人から浴びせられる意図せぬ悪意について悶々と考える主人公の心境は「あるある~」でした
退職後の一年間に職を転々とした主人公は再び元の仕事に戻ろうと考えます
またそれを受け入れる日が来たのだろう
どんな穴が待ちかまえているかはあずかり知れないけれども、だいたい何をしていたって、何が起こるかなんてわからないってことについては、短い期間に五つも仕事を転々としてよくわかった
ただ祈り、全力を尽くすだけだ
どうかうまくいきますように
職探し中だったり、職場での諸々に悩んでいる方々は、最後の「どうかうまくいきますように」に共感できるのではないかと思います
主人公の母親
チラッと登場するだけですが割とおおらかな人みたいで好ましかったです
お仕事云々のハウツー本を読むより津村さんを読んだほうが、働くということ、職場の人間関係などについて理解できると思うのですが…
ま、人それぞれなので(#^^#)
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