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深緑野分「戦場のコックたち」

2020年06月27日 | は行の作家


創元推理文庫
2019年 8月 初版
2019年10月 5版
解説・杉江松恋
528頁


1944年6月、ノルマンディ降下作戦で初陣を迎えた合衆国陸軍特技兵(コック)のティム、19歳
冷静沈着なリーダーのエドら同年代の兵士たちとともに過酷なヨーロッパ戦線を戦い抜く中、たびたび戦場や基地で奇妙な事件に遭遇します
常に死と隣り合わせの状況で若き兵士たちは気晴らしのため謎解きに興じますが…

プロローグ、第一章~五章、エピローグ
第二章までは戦場といってもやや緩い感じ
事件もさほど面白みがなく、こんな感じで進むのかと思ったら豈図らんや
第三章以降は緊張が漲る展開に一気読みでした
新兵として戦場に降り立ったティムたちはやがて古参兵と呼ばれるほどに経験を積んでいきます
それは見たくないものを散々見せられてきたわけで、死が日常である場にいることで心が麻痺していき憎悪が心を乗っ取っていくのです
しかし、そんな中でも同じ中隊に属するコック仲間や衛生兵、機関銃兵、通信兵らとの信頼関係がティムの心の支えになるのです
憎悪と信頼、相反する二つの感情はどのような決着を見るのでしょう

つい戦敗国にばかり目が向きがちですが戦勝国アメリカにも多くの犠牲者が出たことを忘れてはいけませんね

読み応えのある1冊でした



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2 コメント

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todo23さん (こに)
2020-06-28 10:04:19
「ベルリン~」が直木賞にノミネートされたり本屋大賞3位だったりで知った作家さんで、迷った末こちらをまず読んでみました。
日本人女性作家、ヨーロッパ、戦争、で皆川博子さんのイメージでしたが、やはりお若い。でも深緑さんは深緑さんの良さがあると思いました。ベルリンも読む予定でいます。でも、おそらくtodo23さんの本書感想記事より後になるかな。
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この本は (todo23)
2020-06-27 15:22:28
この本は未読ですが、深緑さんは『ベルリンは晴れているか』を読みました。
感想は「力作ですね、読み応えがありました。」と言うことで、何だか似てますね。そういうタイプの作家さんの様ですね。
今度読んでみよっと。

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