新潮社
2022年9月 発行
2023年1月 3刷
314頁
戦国末期
秀吉の唐入りの徴用と凶作が重なり、貧しさに耐えかねた一家が村の隠し米を盗み夜逃げ
しかし、追っ手が迫り幼い少女ウメは両親とはぐれてしまいます
道に迷ったウメが入り込んだのは岩見国、仙ノ山と呼ばれる銀山の間歩(坑道)でした
そこで、天才山師・喜兵衛に拾われ、鉱山の知識と未知の鉱脈のありか、山で生きる知恵を授けられ、女ながら間歩で働き始めます
元々夜目が利くウメは暗い間歩の中で重宝されますが、本来銀堀は男の仕事
女性として成長していく中、ウメは女であるがゆえに制限されることの多さに悩むことになります
さらに、徳川の支配強化により生気を失った喜兵衛が山を去り独り残されてしまいます
能力があるのに、それを活かす道がない、好きなように生きていけると思っていたウメは現実を前に愕然とします
シルバーラッシュに沸く石見銀山で、幼い頃から仲間と思ってきた男と一緒になり、子を成し、それなり平穏に暮らすウメ
ですが、間歩で働くということは、鉱山病で早死にするということです
二番目の夫も、息子たちも同じ病で死に、娘たちばかりが生き延びます
老いたウメは喜兵衛と過ごした山小屋で暮らしながら、遠い過去を思うのでした
おおまかな粗筋だけだと、よくある物語です
序盤は、これで直木賞なのか、でした
しかし、ウメや喜兵衛をはじめとする登場人物たちが魅力的でぐいぐい惹き込まれ一気読み
今は、世界遺産としてその歴史を伝える石見銀山
一度は行ってみたいと思っています
でも、単に世界遺産を見るのではなく、ウメや喜兵衛、隼人たちのような、名もなき多くの男女がそこにいたことに思いを馳せたいと思いました
こにさん、読まれたのですね。(^^♪
もう1年前なのですが、またあの土や風の匂いが蘇ってきました。
https://blog.goo.ne.jp/sayusayu_008/e/8038b4eb8c16f45d73c177295811a100
また読みたい1冊です。
いや~、待ちましたよ、本当に。
りりんさんの記事を拝読すると本に色がついてウメたちがいる世界が目の前に広がるようです。
何度でも読みたい作品ですね。
似てそうだと思って千早さんのは読んでいませんが、
似ていて非なるものでしょうね。
私が読んだのがちょうど1年前。その時「カートに入れてある」と書いておられましたよね。
私の感想は「面白いのだけれど一気読みできない」でしたからちょっと違うけど、良い本でしたよね。
http://blog.livedoor.jp/todo_23-br/archives/30991828.html
澤田瞳子さんの著書は知りませんでした。
興味津々。
早速、図書館に予約を入れました。
教えて頂きありがとうございました。
次に予約の方が…となると焦りますねぇ。
でも千早さんは読みやすいので助かりました。
面白かったですし、千早茜という作家さんの持つ別の引き出しを知ることができて良かったです。
先ほど、名古屋市図書館のHPを調べたら予約33人、在庫ゼロでした。ピークほどではありませんがまだまだ人気ですね!