新潮文庫
2010年8月 発行
解説・瀧井朝世
291頁
あさのさん初読です
山を舞台にした4編の恐怖譚
主人公はいずれも子供時代を山奥の村で過ごし、大人になった今は都会で暮らしている男女
職場の不祥事の責任を負わされて自分には何の落ち度も無いのに辞職させられ妻とは離婚
幼い頃の数年間暮らした祖母の家近くの山へ向かった中年男性が経験した不思議な出来事
夫と小学生の娘と平凡に暮らしている主婦
ある日かかってきた一本の電話を機に、小学校を卒業した日に行方不明になった初恋の男の子との約束を果たすため故郷に向かう
山から男の子を取り戻そうとする主婦の一途な思いに、少しだけゾっとしました
4編の中ではこれが一番
夏休みの最初の日
行方知れずになった村人を捜しにいこうと山に入った3人の小学生
彼らが見たのは黄色い蝶に覆われた首吊り死体だった
大人になり都会で働く男の元に友人の一人が自殺したという連絡が入る
友人は度々「黄色い蝶が見える」と漏らしていたらしいのだ
子供の頃は「スタンド・バイ・ミー」
大人になってからの話は詰の甘いミステリー
成仏していない死者が見えるという若い女性
死者に「山へ還りなさい」と告げ、成仏させることを使命と考えているのだが
実は自分自身も…
よくあるストーリー展開にガッカリ
4編の内容が少しだけリンクしています
また最後の最後に、実は!の工夫もあり、それなりには楽しめる作品でした
あさのさん
随分と山に対する思い入れが強いのだな、と思いましたら、岡山・美作の山村のご出身なのだそうです
恐怖譚なら同じ岡山出身の岩井志麻子さんと比較してしまいます
ふむ、負けてる…
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