光文社文庫
1999年6月 初版1刷発行
2009年10月 55刷発行
解説・日下三蔵
390頁
ある殺人事件に関係する人たち、刑事、探偵、被害者、犯人などの財布が自分の主人の物語を語る、という趣向
発端は自動車事故にみせかけた保険金殺人
容疑者として連日マスコミに追いかけられる被害者の妻、その愛人
時間を置かず愛人の妻も殺される
こういった事件は度々ワイドショーを賑わせますね
もうウンザリするくらい
犯人は彼らだ!
誰がみても明らかなのだけれど、そう簡単には終わらない
財布という自力では動けないし話も出来ない無機物の眼と耳を通してだけ語られているのに、そういった制約を全く感じさせない
改めて言うことでもありませんが、宮部さんのストーリー運びはさすがです
事件とは直接関係が無いちょっと息抜きのような
犯人の旧友の話と、刑事の部下の話も、犯人の人間像を浮かび上がらせるのに重要な役割を担っています
こんなところも読者を厭きさせない、上手いところですね
つい自分の財布をしみじみを眺めてしまいました
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