2012年 日本
昨年急逝された森田芳光監督の遺作です
主人公は鉄道が大好きな二人の若者
鉄道は好きだけれど、オタクとか熱中人とかまではいかない
そんな自分にも十分楽しめる映画でした
大手不動産会社、のぞみ地所東京本社勤務の小町(松山ケンイチ)は好きな音楽を聴きながら車窓からの眺めを楽しむ鉄道ファン
かたや、東京・蒲田にあるコダマ鉄工所の二代目小玉(瑛太)は電車に使われている「鉄」をこよなく愛している
わたらせ渓谷鐵道の車内で知り合った二人
同じ「鉄道」という趣味を持つ二人は、一流企業の社員と鉄工所の工員という生活環境の違いなど関係なく意気投合します
でも、鉄道ならお任せの二人も、こと女性に関してはからきし駄目
小町は、わたらせ渓谷鐵道で一緒だった女性に「鉄道を私とどっちが大事なの!」とふられたばかり
でも、社長秘書の日向みどり(村川絵梨)には毎朝声をかけられるし、積極的で結婚願望の強い眼鏡店勤務の相馬あずさ(貫地谷しほり)に言寄られたり、結構モテるんですね
ところが、女子でない自分に女子の気持ちがわかるはずもない、と簡単に言ってのけてマイペースを崩しません
福岡転勤の辞令が下りれば、彼女たちに会えなくなることより、新幹線に長い時間乗れることが嬉しくてたまらない様子
小玉は小玉で、気に入っていたお見合い相手・大空あやめ(松平千里)に交際を断られ、しょんぼり
青春18切符を使って、福岡の小町のところに心の傷を癒しに行きます
東京での序盤は登場人物紹介のような雰囲気で話が進みますが舞台が九州に移ってからは俄然面白くなりました
二人が小旅行中出会った、HOゲージを集めるのが好きな筑後(ピエール瀧)
実は彼は、福岡の元気な会社「ソニックフーズ」社長で、この出会いこそが、のぞみ地所とコマダ鉄工所に大きな成功をもたらすことになるのです
小町はミステリー小説も好きらしく、小説中の探偵の台詞を諳んじたことが土地売買で揉めていた地主・早登野(伊武雅刀)の心を変えたりもします
趣味のある人と無い人と比べたら、ある人のほうが絶対人間の幅が広いと思います
共通の趣味があるということで、人間関係がどんどん広がり、それが幸運をもたらしてくれることもあるでしょう
ストーリーは上手くまとまりすぎといえばそうかもしれませんが
趣味+仕事もきちんとこなす真面目な二人
ボケとボケのコンビが織りなす穏やかで温かいハートウォーミングコメディ
たまには、こういう映画も良いのではないでしょうか
のんびり、まったり電車の旅の後のような気持ちの良い映画です
登場人物が特急の名前になっているところや書けばきりが無いくらいの細かい演出など森田監督のこだわりが憎いです
森田監督のご冥福をお祈りいたします
余分な話
小玉の父親役の笹野高史さん
CMでは木村拓哉さんのおじいちゃん役だったり
イイ男の父親や祖父の役が多いような気がします
どうしてかしら?
TB、ありがとうございましたm(__)m
なんかのほほんとして、心和む温かい映画でしたね
色んな旅の仕方もあると思いますが、
趣味と実益が伴えば、
こんな出会いの形もいいのかなぁ
松山ケンイチと瑛太のキャラクターの良さもあるんでしょうね~。
森田監督お見事でした、って感じ。
そういえば、伊東ゆかりさんのファッションや髪型は「小指の思い出」当時のイメージにしたんでしょうか? ちょっと古かったですよね。
小町と小玉は、趣味は趣味、実益は実益で上手くやっていくんでしょうね。羨ましいことです。
(^.^)
昔の、モーレツ社員的な凄さではなくて、もう少し肩の力を抜いた感じ。これからの日本はこんな感じになっていくのだろうなあ。その見本のようなこの二人。
いい感じでした。
貫地谷さん演じるような女子も。
今になって思い出すのですが、どの登場人物も仕事に対して真面目で真剣でしたね。ピエール瀧さんが瑛太さんに「バッヂ、つけていませんね」と言われて「仕事中だから」と答えたり。流石、先輩社会人。滅私奉公の時代は終ったけれど、それなり皆一生懸命ですよね。
うんうん、本当に良い映画を観ました。