家の洗面所(せんめんじょ)、学校(がっこう)や会社(かいしゃ)のトイレの中。鏡(かがみ)の前に立って、手や顔を洗(あら)っていると、ふっと誰(だれ)かに見られているような。そんな感じになったことはないですか?
周(まわ)りを見回しても誰もいない。鏡の中にだって、自分一人が映(うつ)っているだけ。間違(まちが)いなく誰もいないはずなのに、誰かの気配(けはい)を感じてしまう。そんな時は、きっと鏡子(きょうこ)さんが覗(のぞ)いていたのかもしれません。
鏡子さんは鏡の中に住んでいて、鏡のあるとこならどこにでもいるのです。鏡子さんは、脅(おど)かしたり、悪戯(いたずら)したり、そんな悪(わる)さはしません。ただ、あなたのことを見ているだけ。ちゃんときれいに洗えているか。髪(かみ)は乱(みだ)れていないか。顔色(かおいろ)や肌艶(はだつや)は大丈夫(だいじょうぶ)か…。そんなことが、鏡子さんは気になってしまうのです。だから、あなたが見ていないすきに、ふっと姿(すがた)を見せてしまうのかもしれません。
もし、鏡子さんの姿を見てしまったら、気をつけて下さい。あなたの身に、良くないことが起(お)こる前触(まえぶ)れかもしれません。一度目を閉(と)じて、心を落ち着かせてから目を開けて下さい。そして、鏡の中の自分の姿をよく見るのです。身だしなみは大丈夫ですか? 顔色は悪くありませんか? 大切(たいせつ)な人に会う時は、特(とく)に気をつけないといけません。
鏡子さんは、いつもあなたのことを気にかけているのです。
<つぶやき>怖(こわ)がらないで下さいね。あなたを見守ることが、彼女のお仕事(しごと)なのですから。
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