山根(やまね)は大学(だいがく)の研究室(けんきゅうしつ)へ飛び込んで来て叫(さけ)んだ。「教授(きょうじゅ)、大発見です!」
ちょうどコーヒーを飲もうとしていた神崎(かんざき)教授は、危(あや)うくこぼしそうになった。山根は教授に飛びかからんばかりに接近(せっきん)してわめいた。
「すごいの、見つけちゃいました!」
教授は驚(おどろ)いた様子(ようす)もなく言った。「ツチノコが見つかったのかい?」
「そんなんじゃありませんよ。もっと、もっと、すごいものです!」
「でも、君。ツチノコを捜(さが)しに行ってたんだろ?」
「これを見てください」山根は古い写真(しゃしん)を教授に見せて、「これ、どう思いますか?」
その写真は田舎(いなか)で撮(と)られた集合(しゅうごう)写真で、数人の村人(むらびと)が写(うつ)されていた。
「どうって」教授は写真を見て、「そうだなぁ。昭和初期(しょうわしょき)ぐらいに撮られた…」
「そうじゃなくて」山根はじれったそうに、「みんなが持ってるやつです。これ、何かに似(に)てませんか? よく見てください!」
教授はじっくりと写真を見る。「これは、ヘビの抜(ぬ)けがらか…。それにしては、大きいな」
山根は写真の上下を逆(ぎゃく)にして、「こうするとヘビじゃなくて人間の形に見えませんか?」
「確(たし)かに…。これが腕(うで)と足で、これか頭か。しかし君、人間は脱皮(だっぴ)はしないぞ」
「だから、大発見なんです! きっと、これは宇宙人(うちゅうじん)の抜けがらなんですよ」
<つぶやき>写真だけでは確(たし)かなことは分かりません。山根の調査(ちょうさ)はまだまだ続くのか。
Copyright(C)2008- YumenoyaAll Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。