みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

0250「お別れします」

2018-07-05 18:44:43 | ブログ短編

「あなたとは、お別れします」百合恵(ゆりえ)は真面目(まじめ)な顔で言った。
 突然(とつぜん)、そんなことを切り出されて、驚(おどろ)かない男はいない。貴志(たかし)は唖然(あぜん)とするばかり。
 彼はやっとの思いで、言葉を絞(しぼ)り出した。「何で?」
「だって、あなたとお付き合いする理由(りゆう)がないことに気がついたんです」
「えっ? それって、どういうことかな…。僕(ぼく)のこと、好(す)きだったんじゃ」
「よく分かんないです。あたし、お付き合いとか、初めてで…」
「でも、僕が告白(こくはく)したとき、ハイって答えてくれたよね」
「あの時は、断(ことわ)ったらいけないものだと思ってました。そうじゃないんですか?」
「いや、それは…。でも、別れなくてもいいんじゃないかな。ほら、こういうのって、付き合いながら、少しずつ好きになっていけばいいんだし」
「でも、あなたのこと好きになれるかどうか…」
「大丈夫(だいじょうぶ)だよ。今まで、二人でいて、楽しかったじゃない。いろんなとこ遊(あそ)びに行って」
「そうですね。でも、それは、あなたとじゃなくても、楽しかったと思います」
「ああ…、そう。分かった。他(ほか)に、好きな人ができたってことかな?」
「いいえ、そんな人いません。あたし、愛人(あいじん)になるつもりありませんから」
<つぶやき>彼女の全てを受け入れて、愛を叫(さけ)びましょう。そうすれば、彼女もきっと…。
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