キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

再生機もないのにCDを買った。

2016年01月05日 | 日常
 テープにダビングしてもらったのを、伸びるくらい聴いた。どんな歌を歌う人かも知らなかったのに、何度も聞いていると聞いていないときでも頭の中で曲が流れるようになった。他の曲も聴きたくなって、今度はちゃんとカセットテープを買った。
 当時は文を書くにも絵を描くにも音楽をかけていた。今はキーを打つ音が友だ。つい聞き入ってしまうからではない、作業中の音楽は雑音に近い物になってしまった。集中していれば何にしろ気になるものではない。問題は作業への熱意の方というわけだ。それでも、ふとしたタイミングで頭の中に時々曲が流れる。どこで聴いたかも知れないフレーズの時もあれば、クラシックの時もある。もちろん、件のアルバム収録曲の時も。
 運命はあまり信じていない。占いは当たる物もあるかなと思う。名前を雑誌で見かけただけの、その人のアルバムを買ってみようと思ったのは、多分気まぐれだ。年齢と、ちょっと面倒くさい校則と不文律と、そういった物への抵抗感のなさから、町中へ出かけるときは、母が一緒だった。今はもうないレコード店で、何か好きなのあるかと聞かれて聞いたことのない曲しか収録されていないCDを手に取った。

 松岡英明「以心伝心」

 付随する思い出は良い物ばかりではないけれど、あのときの選択は、私にしてはなかなか良かったと今でも思っている。

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