キ上の空論

小説もどきや日常などの雑文・覚え書きです。

今更気がついた

2006年11月30日 | みるいら
 なんでわかるの?
 ぼくは<アカネちゃん>がどうして疑問に思わないかが疑問だった。
 アカネちゃんが兄さんと顔を合わせたことがあるのは、彼女が幼児だった頃のはずだ。面影はあるにしても、一目でわかるのはおかしくないかな。
「久しぶりって、何年ぶりなの?」
 怖々聞くと、二人は顔を見合わせる。
「八年くらいかな」
「うん、そのくらい」
 だから、それはおかしいんじゃないかな。
「何でわかるの?」
 思い切った。やっぱり、聞いてみないと解決しないだろう。
 二人はもう一度顔を見合わせた。
「どうみてもアカネちゃんの顔なんだけど」
 兄さんは怪訝そうな顔をするぼくの方を不思議がる。
「八年前と、だいぶ顔が違わない?」
 もう一歩、踏み込んでみる。
 兄さんはあっさり頷く。
「それはそうだよ。同じ顔をしてたら、それはそれで面白いけど」
「面白くないよ」
 アカネちゃんが兄さんを肘で軽く突いた。
 そう? と機嫌良さそうに、アカネちゃんの方に少し向き直ったあと、
「実鳥だって、十年以上もあいてただろう」
 あ。
「結構、わかるもんだよ」
 ……いや、そんなことはない。
 どう考えてもそれは特殊能力だ。

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