去年の年末、誰もいない道の駅に、たった一人で前泊までして登った仰烏帽子山。
目的は、魔訶不思議な自然現象、シモバシラソウが織りなす氷結を見たかったに他ならない。
結局、影も形も見る事が出来ず、暖冬を呪う結果となった。
このままでは、諦めきれぬ。
幸い五木地方は、夜半から零下になる予報だ。
このチャンスを逃してなるものか。
昨日の木曜日、未明から車をすっ飛ばし、仰烏帽子山を目指す。
空が白み始めた頃、五木村に到着。
林道を登って行くと、時折、薄っすらと雪が積もる道路状況となってきた。
よしきた!
赤口号よ。
お前が我が家にやって来たのは、正にこの時の為だ。
へーーんしーーん!!
トゥ
赤口号のトランスファーを、この日始めて4WDにシフトする。
目出度くもこの日が、赤口号の初4駆走行記念日となった。
余談はこれくらいにして、
AM7時半、誰もいない第2登山口到着である。
では、登ろうか。
シモバシラソウの氷結現象は、夜半に十分気温が下がる事は勿論だが、積雪が深くてもいけない。
この日、地面の凍り方は上々だし、積雪も薄っすら程度である。
これは期待できそうだ。
登り始めてすぐに、
やった!
シモバシラがそこかしこに。
以下、日本大百科全書からの引用。
シモバシラなどシソ科の植物では、初冬の冷え込みの厳しい朝などに、茎の道管を通じて土中の水分が輸送され、表皮を押し広げるようにして外側へ向かって霜柱状の氷結がみられる。
その氷結の形から霜柱草の呼び名がある。
氷結は株元から茎に沿って地上60センチメートルに及ぶこともあり、みごとに発達した霜柱は横に10センチメートルほどにも伸びる。
前回見られなかった分、しつこいくらいに画像を掲載しておきたい。
どうしてこういう形が出来るのか。
神の仕業としか言いようは無い。
もうたくさんだ。ゲップが出そうだって?
失礼。
この辺にしておく。
仰烏帽子山は、福寿草の群生地がある事でも有名だ。
情報によると、僅かだがもう咲いているとの事。
原生林の森を進むと、
程なく福寿草の群生地を示す看板が見えてくる。
近年福寿草が激減している由。
ロープか張り巡らされ、保護区域内への立ち入りが、厳重に禁止されている。
ロープ越しに、目を皿のようにして探すものの、福寿草は見当たらない。
あの鮮やかな黄色だ。
咲いていれば目に留まる筈だが・・・
兎にも角にも、保護区域南側斜面を登りながら、福寿草を探していると、
5~6頭の鹿の集団が、ロープなどお構いなしに、保護区域内に堂々と侵入していくのを発見。
「オイ、そこ入っちゃダメって書いてあるだろ。怒られるぞ。」
と注意するも、鹿は何のことやら分らぬらしい。
そもそも鹿は、看板の字を読めないしね。
福寿草は毒草らしいので食害はないだろうが、鹿による踏み荒らしなどはあるかもしれぬ。
鹿への対策は必要ないのだろうか。
保護区域が尽きようとしている場所まできた。
残念。見つからんかったか。
見過ごししたのかな?
と、あきらめかけた時・・・・
ワオ!!
やっと見つけたぜ。
結局この広大な区域で、見つかったのはこの一輪だけである。
直ぐそばには蕾も。
晴れた日なら、咲いててくれたかもね。
ぐるっと回って、保護区域の北斜面へ。
こちらにも別グループと思われる鹿が。
見っけ。
岩の隙間から、可愛い蕾を覗かせる福寿草。
遂に、年末からの懸案であるシモバシラの氷結を見る事が出来た。
今シーズンの目標のうちの一つが達成である。
ついでに福寿草のおまけまで。
朝5時から、眠い目を擦って出てきた甲斐があったと言うものだ。