大学の授業にかかわる話題

授業日誌・キャリア・学びのスキルについて

ゆとり世代はダメじゃない

2013年04月06日 16時56分53秒 | キャリア支援
若手部下がダメなのは、あなたがダメだから
ゆとり世代はダメじゃない?

張 子渓 :週刊東洋経済編集部
2013年03月28日

「イマドキの20代が何を考えているのかわからない」。
ため息混じりでつぶやく先輩方をどの職場でもよく見かける。
世代間ギャップの議論は今に始まったことではないが、
「ゆとり世代」と言われる若手社員が特にわからない、
と悩む人は多いようだ。
2012年のHR総合調査研究所の調査によれば、
企業の人事担当者が持つゆとり世代への印象は、
6割が「受け身」、
4割が「精神的に弱い」と答えている。
積極的に動かず、傷つきやすいと思っている先輩社員が多いということだ。
当然、やる気に満ちあふれたスバラシイ20代の若手社員も多いに違いないが、
20代の生態はますますナゾに包まれていると言っていいだろう。
そこでこの連載では、東洋経済の次世代を担う20代記者が集結し、
イマドキの20代に関係するトピックを、
いろいろな角度から取り上げてみようと思う。
先輩方が20代を知るキッカケと、
20代の気持ちを代弁していきたい。
先輩、20代のこと、どう思いますか?

記念すべき連載第1回目は、
大手コンサルティング会社のアクセンチュアで、
昨年、初開催された就活生向けの若手グローバルリーダー育成塾で、
企画・運営の立役者となった
同社のマネジメント・ディレクターである西村雅史氏へのインタビューだ。

アクセンチュアは長年の経験を生かし、
「和魂偉才塾」と名付けた講座を開設した。
「戦略コンサル」
「グローバル」
「ビジネス・インテグレーション」
「テクノロジー」という4つの授業を約2カ月間、
全16回で開催した。
果たして、ゆとり世代の20代から次世代グローバルリーダーは生まれそうか……。
話を聞いてみた。

学生の教育は社会に出ても役に立たない

――ゆとり世代は、
「リーダー」になることとは正反対の教育を受けてきました。
これまでの教育から、
ゆとり世代が次世代エリートになるには、
あまりにもハードルが高い気がしますが。


学生時代の教育が
そのまま会社に入ってからも役に立つことはほとんどない。
社会に出て初めて、
「本当に必要な物事はごく限られている」ということに気づくだろう。
だから、学生時代にリーダー教育を受けていなくても、
きちんと社会人になってから教育すれば、
若い人は吸収力もあるので、あっという間に成長できる。

今回の塾では、2カ月かけてレクチャーをしてきた。
まずその中で感じたのは、
学生たちの表情が最初と最後では、
雲泥の差があった、ということだ。
最初は、仕事の意味も分かっていないし、
こちらが言う言葉の意味も理解しきれていない。
それでも、プログラムに沿って鍛えていくと、
8週間程度で思考のプロセスが形成されてきた。
答えが正しいかどうかということや、
こちらが期待した答えを生み出すことが大事なのではなく、
自分で導き出した答えが、
きちんと相手に伝わっているかが大事だ。
業種に関係なく、
これが社会人になってから、重要となるスキルだろう。

多くの学生は、最初はおとなしくてぼそぼそしゃべっていて、
リーダー像からはほど遠かった。
正直、大丈夫だろうかと不安に思った。
だが、短期間の訓練で、皆、
はっきりと自分の意見を言えるようになっていたし、
いい観点の質問が挙がってきた。
キッカケがあれば、若い人は柔軟な分、
すぐに変わることができる。

若手社員がダメなのは上司の責任

――若い人ほどすぐ変われるのであれば、
職場での世代間コミュニケーションが難しいのはナゼでしょうか。


確かに世間でも、ゆとり世代は欲しいものがないだとか、
欲求が乏しくてダメだとか言われているが、
私はまったくそうは思っていない。

むしろ、私が働き始めた22年前より、
今はもっと環境も仕事も難しくなっていて、とても厳しい。
若者の能力が落ちると言うが、
ゆとり教育だから若者の能力が落ちるというわけではない。
なぜなら、今は知識が多ければいいという時代ではない。
われわれは、大学までに身に付けた知識で仕事をしているのではない。
大学までにどう学んだから、
会社に入ってからどうなるとかは関係ない。
むしろ、会社が入ってきた若者を鍛えられるかどうかが重要なのだ。

もし、学生時代の教育プログラムを持ち出して
「やっぱりゆとり世代だなぁ、使えないなぁ」と、
先輩が感じたなら、それは若手社員本人たちの問題ではなく、
マネジメント層の責任問題だ。
上司や先輩がきちんと新人を鍛えているのかどうか、だ。
また、成長できていない若手社員がいたならば、
ちゃんと上司は彼らをモチべートできているのか。
仮に、若手社員が、
「仕事ができない」のであれば、
それもまた若手社員の責任ではなく100%上司の能力不足だ。

冷静に考えれば、20年経ってこれだけ世の中が発展しているのに、
人間の能力だけが劣化しているとは到底思えない。
逆に、上の世代は、リーダーとして
下の世代にビジョンを語れていますか、と聞きたい。
やるべきことを伝えきれていないなど、
上司の能力が低いのかもしれない。

では20代は何をすればいいのか

――部下を否定する前に、上司が自分を棚に上げているということですね。
では、20代側がやるべきことは何でしょうか。


私から伝えることがあるとしたら、
大学時代にやりたいことを見つけて、
これならいくらでも熱意が湧くという経験を積んでおくことだろう。
研究職なら大学からキャリアにつながる勉強が必要かもしれないが、
実際は大学とまったく関係ないことをやる人が大多数だろう。

知識やノウハウは社会に出てからいくらでも教えられるが、
好き嫌いのような思いや熱意は、簡単に教えられない。
本当に自分がしたいことは何か、
何で人生のキャリアを積むのかを真剣に考えてほしい。

――なるほど。
それでも、学生時代にいくら頑張って企業研究をしても、
その世界は限られていると思うんです。
私も記者になってから知った世界がたくさんあります。

実は、企業でのキャリアより君たち若者の人生の方が長い。
企業のキャリアは今平均して30年と言われている。
もっと短いところもたくさんある。
君たちの人生のほうが長いのだから、
熱意とか、そういう観点でないと仕事を選べない。

これからの時代のキャリアの積み方は?

――企業のキャリアは平均30年!こんな短いんですね。
でも、今の若者はひとつの会社で長く勤めたいという安定志向が強いようです。
皮肉ですね。


そう。
実際、20代社員の多くはこのギャップに気づいていない。
企業のキャリアのほうが長いと思っている。
当然、100年企業はあるが、
皆が知っているような有名企業でも寿命が短いところはたくさんある。

私が約20年前に就職活動したときは、
都市銀行が人気企業で、13社ほどあったが、
今は3社ほどしかない。
当時は、金融機関は潰れるワケないと皆が思っていたが、
その後、大きく統廃合が進んだ。
今後、ほかの業界でも規制緩和が行われれば、
どんどん統廃合が進むだろう。
そんな時代の中で、やりたいことを明確にしておかないと、
キャリアを積むのはさらに難しくなるだろう。

学生時代に知れる世界は限られていても、
それは当然だし、それでいい。
知れる範囲内で夢中になれるものを探していけば、
社会人になってからいくらでも、
特に若い内はいろいろと視野を広げてチャレンジできる。

たとえば、私がコンサルティングという仕事を22年間やってきたのは、
優秀だからではない。
ただ、この仕事が好き。
楽しさがあったから、辞めずにやってこれた。
長くやるには好きという熱意がないと、
とてもつまらないだろう。
目先のやりたいことを素直にやる。
新たな発見を繰り返して、
また新たに選択をしていけばいい。


西村 雅史 (にしむら・まさし)
1991年、千葉大学を卒業後、アクセンチュアに入社。
主に金融業界を対象にした全社業務改革/システム刷新プロジェクト、
金融機関統合案件を中心に戦略・企画~システム開発・導入まで幅広いプロジェクトを担当。
近年ではグローバルに関わる複数の大規模業務&システム刷新プロジェクトにおいて実績を重ねている。
2005年、マネジング・ディレクターに就任。
(撮影:今井 康一)

http://toyokeizai.net/articles/-/13451より

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピンチをチャンスにするビジネス思考

2013年04月06日 12時49分55秒 | 学習支援・研究
「ボーイング787」欠陥問題を
ビジネスチャンスに変えよ

PRESIDENT 2013年3月4日号
著者:甲南大学特別客員教授 加護野忠男=文

製品における2種類の不良とは(下の図参照)

ボーイング787の欠陥問題が深刻になりつつある。
蓄電池の発火問題が特に深刻な問題として認識されているようだ。
日米の当局は航空会社に787の運航停止を求めた。
原因の究明に時間がかかりそうで、
787を多数導入した航空会社は
長期にわたる運航計画の修正を迫られるかもしれない。
乗客の不安を取り除くために、
早く真因を見つけて適切な対策を取ってほしいものだ。

今回は、システム化された機器の不良には
2種類のものがあるということについて考えることにしよう。
1つは「積極的不良」、
もう1つは「消極的不良」である。
「積極的不良」とは、
システム化された製品に新しい技術や
コンポーネントを取り入れようとしたために起こる不良である。
「消極的不良」とは
設計のミスや製造工程で必要な作業が行われていなかったために起こる
コンポーネント・レベルでの不良である。
多数のコンポーネントから成り立つシステム機器の場合、
個々のコンポーネントに問題がなくても、
システムとして組み上げた場合に発生する不良がある。
このようなシステム・レベルでの不良をなくすために、
事前に稼働テストが繰り返されるのだが、
使用条件によっては、
予想外、想定外の欠陥が出てくることがある。
事前に検出することの難しい不良である。
使っているうちにわかってくるという種類の不良である。
このような製品の品質管理は、
工場の中だけでは完結しない。
顧客との協働をもとにした品質管理が不可欠である。

不良についてのこの区別を私が考えるようになったのは、
1980年代にある工作機械メーカーの社内パーティーで、
その会社の生産技術担当常務が行ったスピーチがきっかけである。
この常務は、スピーチの冒頭で
「わが社の最大の問題は『お釈迦』が出なくなってしまったことだ」と発言された。
冒頭の発言だっただけに、私にとっては大変な驚きだった。
生産技術担当の役員の仕事は「お釈迦」、
つまり不良を出さないことだと思っていたからである。
こう思っていたのは、私だけではなかった。
その場にいた多くの人が意外な発言に驚かされていた。
しかし、この後の常務の説明を聞くと、
発言の意味が納得できた。
常務の説明はこうだった。
不良品が出るというのは、
誰かが新しいことに挑戦しているためでもある。
わが社も、品質管理が行き届いてきて、
不良品の数がずいぶん減ってきた。
それはそれで喜んでいいのだが、
不良品が減っているというのは、
誰も新しいことに挑戦していないという証拠でもある。
そうなってしまっているのであれば問題は深刻だ。
不良品を恐れずに新しい技術に挑戦してほしい、と。

ベンチャー振興への最大の障害物とは

日本企業の製品は品質が高いといわれる。
それは、消極的不良をなくす現場での品質管理の成果であるが、
見方を変えれば、
新しい技術の導入に保守的であるために
積極的不良が起きないことの結果でもある。
これは、日本の生産財ベンチャー企業における悩みの共通の源泉でもある。
日本のベンチャー企業の新製品を最初に採用してくれたのは
アメリカの企業だったという例が少なくない。
アメリカでベンチャーが活発なのは、
ベンチャーキャピタルがしっかりしているせいだけではない。
新しいものを積極的に受け入れてくれるユーザーが身近にいるからである。
残念ながら、日本のユーザーは
他社への納入実績がないと使ってくれないことが多いという。
この保守性こそ、日本のベンチャー振興における
最大の障害物ではないかと私は考えている。
安定した高品質を求めることの意図せざる副作用である。

日本の企業がベンチャー企業からの調達に関して
保守的になるもう1つの理由は、
協力してくれたサプライヤーへの報い方にある。
高い値段を支払うということではなく、
長く買うということで協力に報いようとすることが多い。
そのため、新しいサプライヤーに切り替えるのが難しいのである。

喜ばしいことに、最近は、
日本でも新しい技術を積極的に取り入れようとする企業が増えている。
既存の技術を用いたイノベーションが収穫逓減を起こし始めたからであろう。
しかし、新しい技術への挑戦に伴って
厄介な積極的不良の問題が起こっている。
しばらく前にアメリカで問題になったトヨタ自動車の不良品問題が
その例ではないかと私は思っている。
トヨタは自動車の電子制御化の先端を走っていた。
それが積極的不良をもたらしたのだろう。
今回の787の不良問題も、
同じように蓄電システムの電子制御化がもたらした積極的不良である

問題解決のための不良の原因探求に関しては、
積極的不良のほうが厄介である。
コンポーネントに分解して不良の原因を分析的に探求できる消極的不良と違って、
積極的不良は分解が難しいからである。

今回の787の欠陥問題は、
新しい蓄電システムがもたらした積極的不良である可能性が高い。
だから解決に時間がかかりそうだとみられているのだろう。
あるコンポーネントだけを取り上げて
消極的不良がないということがわかっても、
それが不良と無関係だとは言い切れないのである。
システムとしての作動の解析が必要である。
システム化された製品の場合には、
新技術の導入に伴って積極的不良が起こる可能性は否定できない。
その原因追求は厄介であることが多い。
原因分析のためには、どのような条件の下で
どのような使われ方をしたときに問題が発生するのかを
調べていかなければならないからである。
そのためには最終顧客の協力が不可欠である。
顧客の了解を得て、使用状況を継続的にモニターし、
データを集める必要がある。
実際にジェットエンジンでは、
そのシステムがつくられており、
それがジェットエンジンメーカーの収益源になっている。
積極的不良の原因追求は工場の中だけでは完結しない。
これは、工場の中で完結することの多い消極的不良との大きな違いである。

ユーザーの使用現場と直結した品質管理のシステムを構築できれば、
積極的不良の原因追求はより容易になるだろう。
日本の建設機械メーカーは、
このようなモニタリング・システムをつくり出している。
現在の段階では、モニタリング・システムは、
顧客の数が限られている産業材が中心だが、
いずれ消費者をも巻き込んだモニタリング・システムがつくられるかもしれない。
そうなって積極的不良の原因追求が行いやすくなると、
新しい技術の取り込みもよりやりやすくなるはずである。
日本の企業がこのレベルにまで進化することを祈っている。

http://news.goo.ne.jp/topstories/bizskills/802/71ce3f076ae65e5513bb8bd211f295d9.htmlより

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする