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マック、事業構造の抜本的な改革が求められるが

2015年02月16日 10時47分30秒 | 学習支援・研究
マック、世界中で客離れ…
創業以来のビジネスモデルに限界「変化に対応できず」

SankeiBiz 2月6日(金)7時12分配信


(写真:フジサンケイビジネスアイ)
 
通期の連結営業損益が41年ぶりの赤字に沈んだ
日本マクドナルドホールディングス(HD)。
傷口を広げたのは中国産の期限切れ鶏肉問題だが、
客離れは世界中のマックで進む。
全世界に同一商品を投入する創業以来のビジネスモデルでは
柔軟性に欠け、各国で着々と築かれる「マック包囲網」に、
スピーディーに対抗できなくなっているからだ。
苦境を脱するには、事業構造の抜本的な改革が求められるが、
ハードルは高い。

「信頼回復を進めると同時に、創業の原点に戻って、
客とつながる『モダンバーガーレストラン』を目指す。
メニュー、価格、店舗体験の3つを重視していきたい」。
2月5日の決算会見で、サラ・カサノバ社長はこう述べ、
国内の挽回に向けた決意を述べた。

ただ、業績悪化は日本だけでない。
米マクドナルドによると、
2014年の「世界の既存店売上高」は前年比1.0%減と、
02年以来、12年ぶりのマイナス。
地域別の14年10~12月期の営業利益は、
アジア太平洋(中東・アフリカ含む)が44%減、
米国が15%減、欧州が14%減だった。

この背景について、日本経済大経営学部の西村尚純教授は
「コストを抑えるため世界で大量に食材を仕入れ、
同じメニューを安く投入するモデルでは、競合が次々と打ち出す戦略や、
消費傾向の変化に対応できなくなっている」と指摘する。

米国では、新興の高級バーガーチェーンがトランス脂肪酸を使わないフライドポテトなどで
「健康志向」を効果的にアピール
し、若い客を奪う。
既存のバーガーチェーンや、スーパーなどの他業態も、食品メニューを強化している。

日本でも、バーガーチェーンや牛丼店など、
強力な外食は多種多様。
他業態のコンビニエンスストアがコーヒーや軽食に注力し、
全国に5万店という巨大な店舗網で脅威
となっている。

こうした状況を打開するには
「各地域の市場環境や消費の志向に応じた商品開発を強化する必要がある」
(法政大大学院の小川孔輔教授)との声が上がる。

すでに米マックは、来店客が好きな具材を選べるオーダーメードのハンバーガーを、
15年末までに全米2,000店で提供する方針を表明。

日本もカサノバ社長が同日の会見で、
「客が食材の組み合わせを楽しめる新メニュー」
「日本独自の季節感や地域性などをいかした、
日本人の嗜好(しこう)に合う新メニュー」などの開発を打ち出した。

ただ、日本経済大の西村氏は
「小手先の改革に終われば何も変わらず、
マックは危機的な状況に立たされる」と警告する。
とくに日本の場合、1月の既存店売上高が4割減まで落ち込み、
消費者からはっきりノーを突きつけられている」(西村氏)。

より機動的に地域ごとの商品力を強化するには、
「組織体制を大きく変え、
国ごとの権限を強化するなどの『解体的出直し』が必要」(同)。
だが、今の体制では、改革も世界規模で意思統一しながら取り組む必要があり、
時間がかかる。市場環境の変化についていきながら
再生の道を確実に歩めるのか、課題は大きい。
(山口暢彦)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150206-00000500-fsi-bus_allより

本-なぜインフレよりもデフレがいいのか

2015年02月16日 10時39分45秒 | 学習支援・研究
なぜインフレよりもデフレがいいのか
東洋経済オンライン
2015/2/16 06:00
三井 智映子

画像[拡大]なぜインフレよりもデフレがいいのか

「もっとも予測が当たるエコノミスト」と言われ、
2014年の景気失速と消費増税の断念、
シェール革命による原油価格下落などを的確に予見していた中原圭介氏。
今回、新刊『これから日本で起こること』
(雇用、賃金、消費はどうなるのか、東洋経済新報社)の刊行に際して、
経済を予測するポイントや今後の国内外の経済動向、
アベノミクスの成否、さらにはマーケットの見通しなどについて、
「美人すぎる金融アナリスト」として人気急上昇中の三井智映子氏が
3回にわたりインタビュー。最終回は、
安倍政権の経済政策はなぜ最悪なのかを筆者が丁寧に解説する。
第1回「これから日本で起こること」とは何か? 
第2回「なぜ21世紀型インフレは人を不幸にするのか」

ピケティの理論が、日本では当てはまらない理由
三井:中原さんは「過去の著書の主張がピケティに似ていると言われたことがある」
とおっしゃっていましたが、それについてお話をうかがえないでしょうか。

中原:私の本を担当してくれた編集者から、
そのようなことを昨年の夏頃に言われました。
「アメリカでピケティの英訳本が売れているのですが、
僕が担当した中原さんの著書と似ている点がとても多かったんですよ」と、
少し興奮気味でしたね。

その時はどこが似ているのかを聞かなかったのですが、
日本で最近出版された本のサマリー(要約)を見た限りでは、
株主資本主義では格差が拡大し続けること、
経済学で使われている数学には惑わされないようにすること、
著書に哲学的な思想や歴史的な考察が
入っていることなどが似ているくらいではないでしょうか。
全体としては、私とピケティの著書が似ているとは思っていません。

そもそも、米欧の世界では通用するピケティの理論は、
日本ではまったく当てはまりません。
それは第2回目の「なぜ21世紀型インフレは人を不幸にするのか」でも
お話したように、日本の企業は株価が下がろうとも、
収益率が下がろうとも、アメリカ企業のように
大量解雇や大幅賃下げを行わずに、
社員全員で賃金を少しだけ下げて
痛みを分かち合うことで対応してきたからです。
これが「デフレの本当の正体」であり、米欧に比べて
日本で格差が拡大しない原因でもあったわけです。 
ところが、その日本の長所を捨てさせようとしているのが、
政府が成長戦略で示した「企業におけるROE重視の戦略」です。
この成長戦略をやりすぎてしまうと、
日本の企業はアメリカ企業のように株主にしか迎合しない存在、
すなわち労働者にとっては血も涙もない存在になりかねないのです。

三井:新刊『これから日本で起こること』では、
地方経済が苦しんでいる現状について多くのページを割かれていらっしゃいますが、
中原さんは地方経済の実態を、
どのようにご覧になりますか。

アメリカの後追いで、日本は本当に格差社会に
中原:私は仕事で地方に足を運ぶ機会も多く、
地方に行くたびにその地域の景況感をいろいろな立場の方々にお伺いしているのですが、
すでに2013年後半には、大企業に勤める人々は
「景気は少しずつ良くなっている」と
喜んでいるのに対して、
その他の多くの人々は「ぜんぜん景気は良くなっていない」と
あきらめてしまっていました。

とりわけ、地方では弱い立場にある中小企業や零細企業の経営は、
いっこうに良くなる兆しが見えず、
円安による原材料費の高騰や電気料金の値上げなど、
むしろ物価高からのコスト増によって苦しくなるばかりです。

大半の中小企業の声は、「コストダウン要請が厳しい」「先行きが見えない」など、
いまだに悲観的な意見が多く聞かれている始末です。
このような意見は、地方に行けば行くほど、
多く聞こえて来るようになっています。

厚生労働省の毎月勤労統計によると、
日本全国の実質賃金は2014年
(1月~11月)の平均で2.7%減となっていますが、
都道府県別の毎月勤労統計によると、
大都市圏と地方の労働者の間では
実質賃金に大きな開きが生じてきています。

地方のなかでは県単位で見ると、
実質賃金が4%あるいは5%下がっている自治体が、
少なからずあるのです。

その一方で、富裕層と呼ばれる人々は
「もっとアベノミクスを続けてくれ」と言っています。
東京都心の赤坂や六本木界隈で聞いてもみなさん「景気はいい」と言っていますし、
ある大企業の役員会でお話した時は、
みなさん「僕のまわりはみんな景気がいい」
と言っていました。

最近の日本の状況を見ていて思うのは、
日本が2000年代前半のアメリカに似通った状況になってきていると感じられることです。
このままでは日本が本格的な格差社会になり、
アメリカのように治安が悪く、
国民同士が信じ合えない、
ギスギスした社会になってしまわないかと、
大いに懸念しているところです。

私は常々、政治家ほど庶民の暮らし向きに敏感であってほしいと願っているのですが、
仮にも一国の首相が自分の周囲のお金持ちだけを見て
「景気が回復している」と考えているようでは、
日本の未来は少なくとも
あと数年は暗いものになるだろうと考えざるを得ません。

三井:今回は久しぶりにマーケットの見通しについても
触れられているそうですね。
中原さんが外国人投資家の動向について
書かれているので、なんか懐かしい感じがいたしました。

次のマーケットの転換は、2015年から2016年前半か
中原:大きな流れがわかっている経済の予想とは異なり、
マーケットの予想は殊のほか難しいので、
拙書ではできる限り相場の予想を述べないことにしています。

ですから近年の私は、『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』
(フォレスト出版・2012年3月刊)を最後に、
拙書の内容にはできるだけマーケットの予想を入れないことにしてきました。
2013年~2014年の拙書を振り返ってみても、
マーケットに関しては「エネルギー価格は下がる」
「ドル高になる」くらいしか述べていないと思います。 
ところが、今回の新刊『これから日本で起こること』を書くに当たり、
出版社サイドから『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』での
円相場・株価・金相場の予想が非常に良かったので、
「何としても本書にも入れてほしい」という強い要望がありました。

そこで本書にかぎって「円安はどこまで進むのか?」と
「外国人はいつ日本株を売ってくるのか?」
の2本立ての予想を最後に持ってくることにしたわけです。
おそらく、このような試みは、
拙書にとって最後のものとなるでしょう。

やはり、マーケットの予想は不確定な要素が多すぎるので、
新しい情報が入ってくるたびに適宜修正を加えていく必要があります。
そういう意味では、書籍はマーケットの予想には適していないと考えています。

しかし、それでも私がマーケットの予想を新刊で書いたのは、
『2015年までは通貨と株で資産を守れ!』を書いた時のように、
私自身がマーケットの転換点が2015年~2016年前半に
やってくると感じているからなのかもしれません。

三井:最後の質問となりますが、
日本経済が回復するためには、
中原さん自身はどのような経済政策を行えばよいとお考えでしょうか? 

中原:私がこれまで日本が取るべき経済政策として主張してきたのは、
けっして過剰な金融緩和に頼ることなく、
地道に時間をかけて成長産業の育成に力を注いでいくということです。
いくつもの成長産業を育成していけば、
そのうちに外部環境が自然と日本に有利なように変わってきて、
日本経済は良くなっていくだろうと考えていたからです。

詳しくは過去の著書でも触れていることですが、
アメリカ経済が想定通りドル高を伴って
2014年~2015年に本格的な復活をすれば、
日本経済も2015年以降にその恩恵を受けることができるようになると、
私は考えていました。というのも、
従来の貿易統計ではなく、
付加価値で計算し直した貿易統計を見ると、
日本が大幅な黒字を保っているのはアメリカに対してだけであるからです。

アベノミクスで、本格的な景気回復は3年遅れに
さらには、早ければ2016年にも
原油価格が50ドル割れまで下落し、
家計の消費余力が拡大すると見込んでいたので、
成長戦略が実を結ぶ前であっても、
日本経済は明るさを取り戻すだろうと考えていたわけです。

ところが、原油価格が想定以上に早く半値以下になることによって、
世界的にガソリン価格が大きく下がっているにもかかわらず、
日本ではその効果の大半が円安によって相殺されてしまっているので、
他の国々に比べればガソリン価格が
安倍政権発足時とそれほど変わってはいないのです。

結局のところ、安倍政権は成長戦略だけに専念して、
アメリカの景気回復と原油価格の下落に伴うデフレを待っていれば、
それだけで日本の景気にはだいぶ明るい兆しが見えてきていたはずなのです。
国民の実質賃金はそれだけで上がっていくわけですから。

今となっては、なぜアベノミクスのような筋の悪い政策を実行してしまったのか、
残念に思えてなりません。現状を冷静に見てみると、
日本の本格的な景気回復は、あと3年は遅れてしまうだろうと見ています。

http://newsbiz.yahoo.co.jp/detail?a=20150216-00060752-toyo-nb&ref=rankより