「損」を恐れすぎると、結果「損」をする!?
01月09日 13:20
プレジデントオンライン
「損」を恐れすぎると、結果「損」をする!?
getty images=写真
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2015年3月30日号 掲載
損をしたくないと思うあまり、
知らぬ間に損をしていることがある。
どうしたらその損を減らせるのか。
行動経済学に沿って自分の数字力をチェック。
Q. 次の3つの新聞購読プランの中で選ぶとしたらどのタイプ?
[1]ネット版のみ 2000円
[2]印刷版のみ 5000円
[3]ネット版+印刷版 5000円
A. 「おとり効果」の罠にはまっています
選択肢の[3]はネット版と
印刷版の2つ合わせて通常なら7,000円のところ、
2,000円引きの5,000円という価格設定です。
実際にこの質問をあるグループに対して行ったところ、
[1]は16%、[2]は0%、[3]は]
84%という結果になりました。
[3]を得だと感じる人が多く、
[2]を選んだ人はいませんでした。
ところが別のグループで[1]と[3]の2つの選択肢だけで質問を行うと、
[1]は68%、[3]は32%と大きく異なる結果が出ました。
最初のグループへの質問で[2]を選んだ人は
0人でしたから、普通に考えると[2]という選択肢を設けなくても
結果は変わらないはずです。
結果に違いが出たのは「おとり効果」が理由です。
[1]と[3]だけの比較では
どちらが優れているかわかりにくい。
そこに[2]という、[3]との比較が容易で、
明らかに劣った選択肢を示すことで、
[3]が圧倒的に選ばれたわけです。
この場合の[2]はおとりなのです。
以上、行動経済学から人間が
非合理的な判断をしやすい場面とその理由を紹介しました。
非合理な判断による損を回避するには、
必要以上に損を恐れないこと、
前述したように市場価格を調べること、
そして買い物にルールを設ける「ルール化」が有効です。
たとえば買いたいものがあってもすぐ買わず、
1週間後に判断する。それで
最高の選択ができるどうかかはわかりません。
お得な商品を逃してしまう結果になるかもしれませんが、
少なくとも損が拡大することはなくなります。
▼もう1問応用問題にTRY!
Q. 旅行代理店で同じ値段のプラン「パリ7日間」と
「ローマ7日間」で迷っていたら店員が
「実はローマのプラン、今週から
お値段据え置きで朝食が付くようになりました」
と教えてくれたのでローマに決めた。
この判断は合理的か。
A. 合理的でない。
どちらの都市が旅行してより楽しめるかで判断すべき。
----------
大江英樹(おおえ・ひでき)
1952年、大阪府生まれ。
野村証券で個人資産運用業務、
企業年金制度のコンサルティングなどに従事後、
2012年オフィス・リベルタス設立。
日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。
日本経済新聞電子版で「投資賢者の心理学」連載、
その他『定年楽園』『その損の9割は避けられる』など著書多数。
近著に『老後貧乏は避けられる』。
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(大江英樹=監修 宮内 健=構成 getty images=写真)
01月09日 13:20
プレジデントオンライン
「損」を恐れすぎると、結果「損」をする!?
getty images=写真
(プレジデントオンライン)
PRESIDENT 2015年3月30日号 掲載
損をしたくないと思うあまり、
知らぬ間に損をしていることがある。
どうしたらその損を減らせるのか。
行動経済学に沿って自分の数字力をチェック。
Q. 次の3つの新聞購読プランの中で選ぶとしたらどのタイプ?
[1]ネット版のみ 2000円
[2]印刷版のみ 5000円
[3]ネット版+印刷版 5000円
A. 「おとり効果」の罠にはまっています
選択肢の[3]はネット版と
印刷版の2つ合わせて通常なら7,000円のところ、
2,000円引きの5,000円という価格設定です。
実際にこの質問をあるグループに対して行ったところ、
[1]は16%、[2]は0%、[3]は]
84%という結果になりました。
[3]を得だと感じる人が多く、
[2]を選んだ人はいませんでした。
ところが別のグループで[1]と[3]の2つの選択肢だけで質問を行うと、
[1]は68%、[3]は32%と大きく異なる結果が出ました。
最初のグループへの質問で[2]を選んだ人は
0人でしたから、普通に考えると[2]という選択肢を設けなくても
結果は変わらないはずです。
結果に違いが出たのは「おとり効果」が理由です。
[1]と[3]だけの比較では
どちらが優れているかわかりにくい。
そこに[2]という、[3]との比較が容易で、
明らかに劣った選択肢を示すことで、
[3]が圧倒的に選ばれたわけです。
この場合の[2]はおとりなのです。
以上、行動経済学から人間が
非合理的な判断をしやすい場面とその理由を紹介しました。
非合理な判断による損を回避するには、
必要以上に損を恐れないこと、
前述したように市場価格を調べること、
そして買い物にルールを設ける「ルール化」が有効です。
たとえば買いたいものがあってもすぐ買わず、
1週間後に判断する。それで
最高の選択ができるどうかかはわかりません。
お得な商品を逃してしまう結果になるかもしれませんが、
少なくとも損が拡大することはなくなります。
▼もう1問応用問題にTRY!
Q. 旅行代理店で同じ値段のプラン「パリ7日間」と
「ローマ7日間」で迷っていたら店員が
「実はローマのプラン、今週から
お値段据え置きで朝食が付くようになりました」
と教えてくれたのでローマに決めた。
この判断は合理的か。
A. 合理的でない。
どちらの都市が旅行してより楽しめるかで判断すべき。
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大江英樹(おおえ・ひでき)
1952年、大阪府生まれ。
野村証券で個人資産運用業務、
企業年金制度のコンサルティングなどに従事後、
2012年オフィス・リベルタス設立。
日本証券アナリスト協会検定会員、行動経済学会会員。
日本経済新聞電子版で「投資賢者の心理学」連載、
その他『定年楽園』『その損の9割は避けられる』など著書多数。
近著に『老後貧乏は避けられる』。
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(大江英樹=監修 宮内 健=構成 getty images=写真)