新宿シネマカリテに席予約。クレジット決済にしたので気が変わらないうちに出かけた。
映画は殆ど一人で観る。隣に人がいると煩わしいので劇場では端の席を選ぶ。
河合優実さんは「サマーフィルムにのって」「由宇子の天秤」「プラン75」「あんのこと」等、結構映画で活躍している。
近頃はTV出演も多いしCMでも見かける。
若いのになかなか存在感があり賢い役者だなと思っている。
「あんのこと」は立派な演技だった。
気がつくとすっかり推しになっていた。
「ナミビアの砂漠」は、当世の若い人の意識を表現してるというが、私は世代を超え普遍的かと思っている。
美容脱毛サロンに勤めている21歳のカナ(河合優実)は恋人ホンダ(寬一郎)と暮らしているが、優しいホンダには既に退屈している。
ホンダと別れ、刺激を求め浮気相手だった映像クリエイターのハヤシ(金子大地)と暮らし始める。それでも心穏やかになるわけではない。カナはハヤシにも次第に苛立ちを募らせ暴力的にもなる。
行き場のない感情を抱え、カナは自分の居場所を求めてもがき続ける。
嘘つきで狡くて調子良くて、我儘なカナ。
21歳だからではない。そうなるのは要は満たされていないから。
こういうタイプの人間は年齢と関係がない。生涯変わらない、そう思う。
直面する様々な壁やストレスに折り合いをつけるのが大人というのかもしれないが、カナは折り合いなぞつけられない。
それでもカナはオンラインで精神科を受診するから、決して壊れている訳ではない。むしろ自分に嘘をつかず、正直に生きようとしているのだ。
人間の自己矛盾というか、ないものねだり、我儘を素直に表現したのだと思うのだ。
安住する世界なんてどこにもないのである。飢餓感はおそらく生涯消えない。
台詞、演出、構成はグッド。
教訓を語らないからいい。
隣室の住民として、唐田えりかが出ている。唯ほっとする役かもしれない。
唐田えりかは「極悪女王」で長与千種役を熱演。最近観たばかりだ。
第77回カンヌでの監督国際映画批評家連盟賞の受賞が話題になっている。動員数アップに繋がればいいが。
しかし好きな作品ではない。
男が愚か者のままで、女は庇護され立場という図式を感じるからなのかな。