映画など街など

きままに映画や趣味を

クーリンチェ少年殺人事件

2017-03-31 23:58:14 | 映画
芸術作品を観るとき作品の背景の政治文化、歴史とかの知識はどの位映画感に影響を与えるのだろうか?
感性だけで観るのとどう異なるのだろうか?時々思うことがある。
作品によるのだろうが。前情報なしで観た方がいいような気がする。特に映画評論家の記事などは観てから目を通した方がいいと思う…。


クーリンチェは無知、無教養人(そんな人はいないと思うが)でも感涙すると思う。


4時間近い作品だが何としてでも観なきゃいけない、と焦っていたが今日叶った。
新宿武蔵野館、席は一番前しか空いてなかった。満席となった。


ラストシーンから涙目になり、暫く涙目のまま帰路についた。何年かぶりに圧倒された。台湾映画で言えば「悲情城市」以来。
何故、公開された1992年に観てなかったのか?

ああ言葉を失うほどに素晴らしい作品だ。
何も語れない。

武蔵野館ありがとう。
エドワード・ヤン監督ありがとう。貴方は永遠に忘れられることはない。






ロクヨン 後半

2017-03-31 10:30:14 | 映画
今更ながらだが。

ロクヨン後半は公開後すぐに観た。
助演男優賞は永瀬正敏に決まりだな。
凄いいい演技をした、身体づくりまでやった。老人のような肉体に仕立てた。

緒方直人もいい。熱演だった。
二人とも
日本アカデミー賞から外れた。

佐藤浩市は主演男優賞は決定だ
と思っていたので、納得だが。

シン ゴジラに殆どとられてしまった。
ゴジラも良かったが。


①助演男優賞に誰もノミネートされなかったこと
②佐藤の賞が、64前編 となっていること


納得いかないな。






オーバー・フェンス

2017-03-30 18:30:12 | 映画
佐藤泰志氏作品の映画「海炭市叙景」「そこのみにて輝く」に続く三部作か。

観たのは昨年になるがいつもテアトル新宿。ここはいい映画をやる。近くにピカデリーがあるが客層は明らかに違う。
文芸とか小説好きな人が観る映画だ。
メジャーな文芸モノ映画ならそこそこ売れるが、本作品はどうだろうか?

近頃本も売れないらしい。「スマホで映してるのがいるんだよ!」本屋のオヤジが嘆いていた。かく言う小生とて近頃、Amazon fireなるタブレットで映画を観ているどころか、Kindleで文藝春秋まで電子化してしまった裏切男だ。

主人公白岩(オダギリ ジョー)は故郷函館で職業訓練校の建築科で学んでいる。喫煙室の何気ない会話から映画は始まる。よくあるコミュ二ケーション風景だ。訓練校の生徒の動機や事情はそれぞれ。前歴もバラバラ。互いに詮索しないのが大人の付き合い。
あたりさわりない会話で距離感を保つ白岩。妻に見限られ故郷函館で訓練校とアパートの往復、寛ぎは帰宅後のカンビール位か。

ある日訓練校仲間の代島(松田翔太)に誘われキャバクラに行く。そこでホステスの聡(蒼井優)に遭遇する。聡の鳥を真似たエキセントリック踊りに客の好奇や馬鹿にした眼差しが注がれる。
彼女は自身の素直な感性のまま生きている。それゆえ周りと摩擦を生じさせ傷を負っている。孤独な女なのだ。

白岩は当初どうでも良かった聡の存在が、次第に心のなかで大きくなっていく。共感する何かがあるのだ。
互いに惹かれていく。

訓練校の実態について知識がないが、学校のように担任教官がいる、生徒が一応まとまるとするとソフトボールかなんだろうか?

科対抗のソフトボールの試合に白岩は聡を誘う。

唐突だが何故だろうか?女たちがとても逞しくみえてくる。蒼井優と優香のせいか?
依然男社会だとか言われるとしても、現代は男は子孫を残す為だけの存在のような気がしてくる。求められのは生殖機能だけで、役割を果たしたらもはや邪魔な存在で、女性だけの世界で充分な世の中になってきているような気がしてきた。

観てから半年以上が経つが、結構いいよこの映画。久々にパンフ買った位だから。監督が「苦役列車」の山下氏。成る程だ。

白岩の元妻役で優香が出てくるが、パンフに書いてあったよう、奥行きを与えている。
やはりそれなりの美人でなければならないし、妙な癖のある女では白けてくるからだろうか。

オーバー フェンスとは、自らつくってしまった囲い、フェンスを自ら超えて行くことなんだろうな、と素直に解釈した。
ラストシーンが原作佐藤泰志の映画にしては珍しく明るい。


サバイバルファミリー

2017-03-29 09:00:45 | 映画
先月新宿で映画をと思いながらも、時間的ロスのないのがこれだった。入館前にあいも変わらず桂花ラーメンで太肉麺。

食べてて良かった。映画同様空腹では小生も野豚を追っ掛ける、野草を食する羽目に陥ったかも。

これ他人事ではないんだよね。電気がなくなったら都市機能は麻痺。映画は都市のみならず全国的に停電、全ての電化製品はアウト。危機管理を超えている。

そうなるとどうやって生き延びるかだ。実家の鹿児島を目指すが羽田も麻痺。自転車で東名高速で。大阪は大丈夫という流言蜚語にのせられが…。
余り語らない方がいいだろう。


笑えないコメディだ。
小日向、深津、子ども役ほか、役者はそれぞれ熱演している。

サバイバルのために江戸時代位の知恵を少しイマの暮らしに少しとりいれた方が良い。それと野外生活の工夫も。と思うのだが。
スッカリ怠惰な都市生活者になっている自身はもはや生き延びることは不可能な気がする。





たかが世界の終わり

2017-03-24 22:50:12 | 映画
タイトルからして意味深?
結構心理的にハラハラしたまま終始してしまう家族劇。
自分の死が近いことを伝える為に里帰りする34歳のルイ。ルイは劇作家として成功している。
12年ぶりに迎える母ナタリーは料理作りに精を出す。兄アントワーヌ、妹シュザンヌそして兄嫁カトリーヌは、ルイへの思いはそれぞれだ。
ルイの帰郷に歓迎的なのは女たち。兄はルイに嫉妬してるのか露骨に迷惑がっている。妻のカトリーヌへの対応も同じだから、そういう人物として描いたのだろうか?でもそれが彼ら家族の日常なことがわかる。

冷酷で刺々しい言葉をルイに投げかける。僕らさえ嫌悪感を覚える。もっと言えば最後までストレスを与えてくれる映画だ。

会話にならない家族団欒でアントワーヌの態度にシュザンヌもたまらず爆発する。これも日常なのだろうか?
ルイは追いやられるように、その夜帰ることになる。自分の里帰りの目的など論外だ。
舞台劇での激しい台詞が続く作品は初めてのような気がする。不条理劇でもない。論評のしようがない、詰まらないか面白いかがポイントだろうが決して楽しくなる映画ではない。

ルイに対する母のナタリーの眼差しには救われたような気もした。

互いに理解し愛し合うことの困難さを、表現したのか?僕には分からない。

69回カンヌ映画祭のグランプリ作品である。