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PCグラフィック、写真合成、小説の下書き。

小説・サブリミナル第一章(美しい子悪魔)NO-(4)&CG

2008-06-01 03:43:57 | 小説・サブリミナル・美しい子悪魔
小説・サブリミナル第一章(美しい子悪魔)NO-(4)&CG

「ここで刺されたのね。無意識で刺してしまうほど前夫は嫌われていたのね。仕方ないか、十年も困らせていたんだから・・・呟く様に部屋を出る。
その足で所轄に向かい、着替えを届けた。その後、春日駅、駅前商店街へ向かう。

春日町商店街、南薬局。
「おじさん、この間はどうも。巨人今日はどうかしら」。早乙女はドリンクディス ペンサーから栄養ドリンクを取り出す。
店主は薬剤調合室から顔を出す。
「やあ、いつ見ても南ちゃんは綺麗だね。今日だって勝つさ。六日は楽しかったね、また誘うから、またお母さんとおいで」。               
早乙女はドリンクを置く、バックから藤井綾子の写真を徐に出し。そして店主に向 ける。店主は何かと写真を手に見詰めていた。
早乙女は緩やかに念じる。
「おじさん、この女性のこと覚えている?・・」顔を覗き込む早乙女。
「覚えているも何も無いよ、藤井さんだよ。たまに店にも来てくれるお客さんだよ。六日の巨人阪神戦、南ちゃん来ないからさ。お母さんが焼きそばを買いに行って、立ち観していたから連れて来てね、隣に座って貰ったんだ。子供の頃から巨人ファンだって、それで意気投合してね。今度はちゃんとおいでよ」
「うん、あの日はどうしても手が離せなくて。また誘ってね、じゃあこれ」。
とドリンク代を渡した。
「南ちゃんなら毎日でも誘うよ。いつもありがとう」。
店を出ると空車のタクシーが止っていた。「おじさん、いいですか?・・・」。
スッとドアが開き、「どうぞ、どちらまでお送りしましょう」。
「近くて悪いけど本郷まで」。
自宅では母が昼食の後片付けをしていた。娘の突然の帰宅に驚いていた。

「南ッ!・・・帰るならお昼用意しておいたのに。食べたの?・・・」
「ううんまだ、それよりさ、此の写真見てよ」。南は悪いと思いながら写真を母に 差し出す。母はエプロンで手を拭い、写真を手にする。
ごめんなさいお母さん・・・記憶の中へ入り込む。何気なく訊く。
「どう、覚えている?・・・」。
「覚えているも何もないわよ。六日のナイター、貴方が来ないから空いた席が勿体  ないでしょう。立ち観していたからお誘いしたの。
そしたら、南薬局さんのお客なんですって。確か藤井さんって言ったかしら」   完璧、南は口元を引き締めた。

翌六月九日、藤井親子が越す新居。
そこは、前のアパートから徒歩で十五分程度の所に位置する五階建ての公団住宅。
3階の302号室。チャイムを押す。「はい、どちら様でしょうか」。
か細い声で返って来る。娘の敦子である。
「早乙女と言います、お母さんの弁護士です」。
ドアロックが外され、ドアが開く。驚いた様に、クリッとした瞳が愛らしい。深々 と頭を下げる「どうぞ」と部屋へ導きいれる。
部屋は殆ど片付いてなく、段ボール箱が山と積まれていた。
「先生、母は本当にあの人を殺したんでしょうか」。目には涙が滲んでいる。
早乙女は手にしたシステム手帳の間から母親の写真を出す。テーブルに置く。
敦子は写真に手を延ばす。見詰める。
早乙女は、涙に訴える敦子の記憶の中へ入り込む。何気なく訊く。
「敦子さん、あの日の夕方、六時ころお母さんは?・・・」。
「はい、あの日は五時半頃まで母と片付けをしていました。それで、私はここへ帰って来ました。母は六時から東京ドームへ野球を観に行きました。
だから、刑事さんが言う六時半から七時にあの人を殺せる筈がないんです。
でも、母が殺してなくても私が殺していたかも知れません」。
「そんな事言うもんじゃないわよ。その事、刑事さんには話したの?・・」
「いいえ、叔母さんが来て警察の人にはは叔母さんが。だから会っていませんから。先生、母を助けて下さい。
母も私もあの男には散々泣かされて来たんです。父親だなんて一度だって思った事なんかありません。殺されても当然です」。
敦子は憎しみに満ちた怒りをぶつけ、険しい表情を伺わせる。
そして、十年前の事を話し始めた。それは、父親が落魄れていく有様を子供ながらに見て来た事を泣きながら語り、母の苦しみを訴えるのだった。
NO-4

小説・サブリミナル第一章(美しい子悪魔)NO-(3)&CG

2008-06-01 03:41:21 | 小説・サブリミナル・美しい子悪魔
小説・サブリミナル第一章(美しい子悪魔)NO-(3)&CG


私は無意識のまま避けていました。気が付くと、荷造りに使う紐を切る裁縫用のラシャ鋏で木村の胸を刺して居ました」。
「それからどうしたの?・・・」。
「気が付くと木村は倒れていました。急に怖くなって、そしたら娘の顔が頭に浮か んだんです。それからどうしたのか、自分でも良く分かりません。
気が付いたら、白山にあるお店の前にいました。時計を見ると九時三十分でした」。そう話すと綾子は、事の重大さに只々泣くばかりだった。       
早乙女はそんな綾子を見つめ、心ならずも苦笑いを浮かべていた。
犯行が行われたその時間、偶然にも私は母と東京ドームで巨人阪神戦の野球観戦をしていた。5対2で巨人が勝利した。                   
早乙女は、ゲーム開始時間から終了した九時までの事を思い返している。
ドームから春日町の駅まで歩き、九時半には自宅に戻った。
そこを、春日町駅から白山駅に向かったと訂正し、九時半には綾子の勤め先である、スナック桃子に着いた。早乙女は綾子の目をじいっと見つめた。
綾子は止めど無く流れる涙を拭い、キョトンと見つめたままだった。 
「藤井さん、もう一度訊くわよ。六日の午後六時から何をしていたの」。
「エッ・・今も話した様に午後六時から東京ドームで巨人阪神戦を観ていました。木村が殺されたのは午後六時半から七時だって言うじゃないですか。なのにどう して私が木村を殺せるんです。
でも、もし木村が来て口論になったら、私が殺していたかも知れません」。

完璧、これで良し。早乙女はにんまり頷く。
「藤井さん、今まで黙っていたのは何故なの?・・・」。
「あの佐藤とか言う刑事が、最初から私が木村を殺したんだろって言うから。野球を観ていたって言っても、どうせ信じてくれないと思って」。
「私は信じるわよ。いい事、いま私に話した事は私が良いと言うまで誰にも話しては駄目よ。話したら貴方を救えないかもしれないから」。
「・・・はい、分かりました」。小首を左に倒して不満げに頷く藤井だった。
「それから藤井さんの写真が欲しんですけど。それと着替えを持って来て上げます。 住所を教えて」。早乙女は手帳とペンを差し出した。
綾子は不思議そうにペンを取り、書出した。
「私の家からそう遠くないわね、後で着替えを届けますから。藤井さん、くどい様 だけど喋っては駄目よ。一日か一日半で出してあげますからね」。
早乙女は藤井綾子の手を握り、頷くと取り調べ室を出た。廊下の長椅子に若い刑事が座っていた。早乙女が出ると同時に腰を上げる。
「終わりましたか・・・それで、犯行を自供しまたか」村井刑事は自身ありげに含み笑いを浮かべていた。
「刑事さん、私は藤井さんの弁護士ですよ。依頼人に不利益になる様な事は話せま せん。守秘義務がありますからね。では失礼します」。
村井は悔しそうに見つめるが。早乙女は軽く頭を下げて見送った。
南は警察を後にした。

春日町、藤井綾子のアパート。
あう阿古から聞いたアパートは昔ながらの木造の二階屋のアパート。それが三棟並んだ真ん中の二階の角部屋である。
アパートの前には警察車両が一台、早乙女が近付くとドアが開き、若い巡査が降りて来た。二階へ上がる階段には黄色いテープが張られている。
「失礼ですがアパートは立ち入り禁止です」。
「分かっています、私は藤井綾子さんの弁護士の早乙女といいます。刑事課長の許可は貰って来ています」。早乙女は身分証を提示した。
巡査は驚いた様に敬礼し、無線を持つと確認の連絡を取った。
「失礼しました、どうぞ。ただ血だらけですから気を着けてどうぞ」。巡査は張ってあるテープを上に上げた。
「どうも」と礼をいいながらくぐる。
確かに巡査のいう通り、階段の下には夥しい血痕がドス黒く異臭を放っていた。
被害者、木村宏は室内で殺害された訳では無く、刺された後、意識が戻り、部屋から這って階段を降り、階下で息絶えたのである。
NO-3
藤井綾子の部屋。201号室。
室内には数々の段ボール箱が置かれていた。衣類と掛かれた箱を見つけ、荷を解いた。
下着の上下を二対、ブラウスとスカート、目に着いたトレーナーを袋に入れ、隣の部屋を覗いた。人型にロープが形作られていた。

NO-3