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サブリミナル・(美しい子悪魔)・第二章・NO-(23)&CG

2008-06-29 18:16:51 | 小説・サブリミナル-二章-
サブリミナル・(美しい子悪魔)・第二章・NO-(23)&CG

「済まない望月、近藤は空き巣紛いな事をしていたらしい。近藤の車のトランクからは影山綾乃のイニシャルが入った下着なんかも数点も出ている。しかしだ、私は凶器の指紋で行けると思ったんだ」。
「津浪君、私だけでなく君も処分されるよ。もう裁判は維持できん。完璧に我々の負けだ。いや、負けとかと言うより誤認逮捕で公判を開いてしまったんだからな、初動捜査のミスと証拠物件の隠蔽、話にならないな。
あの高慢な早乙女弁護士の顔が目に浮かぶ。起訴を取り下げる。君達はスピード検挙を焦るあまり、凶器の指紋に肩より過ぎたようだね。
死角だよ。凶器の諮問に頼り過ぎた。その刑事がこんどは無実を実証したんだ。無理だ、この儘公判を維持するのは無理だ。我々の完敗だよ」。
その検事の一言に、望月刑事は憤慨した様に津浪警部を見据えた。
「では新犯人は誰なんですっ!・・・捜査は初めからやり直しですか」。
「当たり前だ、望月君。そうだ、近藤貴雄は自殺って線はないか?・・・
カーホテルには近藤一人で入った。その後、直ぐに女が入ったからホテル側は同伴だと思い込んでしまった。
しかし、後から入った女が部屋に入った時に近藤は既に死んでいた。それで女は慌てて逃げ出した。その後ろ姿を従業員は見た。
少し無理があるが、ともかく影山綾乃は釈放の手続きを取る。公判なんか待ってはいられないぞ、マスコミに突っ込まれる前に釈放させるんだ。とんだ茶番だった様だね、津浪君」。
こうして翌日、三月二十三日。緊急公判が開かれる事になった。
法廷は同じ東京地裁245法廷に同じ顔触れが揃った。綾乃は突然の公判に驚いていた。そして被告人席に立っていた。

裁判長は苦渋に満ちた顔をして見詰め、口を開いた。
殺人の容疑者とされた影山綾乃さんには大変な思いと心労をさせてしまいました。
この裁判は警察の無秩序な取り調べと証拠隠蔽に因り無効とする。
本件、近藤貴雄に対する殺人事件に関する、影山綾乃被告の容疑は検察官から起訴の撤回がありました。因って影山綾乃被告人は無罪。本法廷は此れにて閉廷。

すると、傍聴席からは大きなどよめきが起こった。綾乃の目からドッと涙が溢れた。そして裁判長に深々と頭を下げた。そして早乙女弁護士に駆け寄った。
「先生、有り難うございました。お陰様で無罪になりました」。
「うん、おめでとう綾乃さん。良かったわね、会社へ復帰できるわよ。さあ、皆表で待っているからいきましょう」。
そして法廷を出た綾乃と弁護士の早乙女を待っていたのは綾乃の会社の同僚だけではなかった。真っ先に声を掛けて来たのは津浪警部だった。
「早乙女さん、正にやられたって感じですね」。
「良く言うわよ、貴方が証拠品を隠蔽せずにちゃんと出していれば良かったのよ綾乃さんが容疑者として拘留される事も送検される事も。まさか警部さんが自らルールを破っていたなんて・・・とても残念です」。
津浪は返す言葉もなく、肩を落として帰って行った。
まるで嘘の様な結末だった。そして、その日の午後、津浪警部は辞職した。
そして一週間後の三月三十日、検事の後藤は富山の地方都市に飛ばされた。
そして更に一週間、四月に入って影山綾乃は元の会社、JPインシュアランスに復職し、同僚から励まされながら机に向かっていた。
しかし、早乙女南弁護士のした事は、弁護士としても人間としても決して喜ばしい事ではない。してはいけない行為なのだ。
だだ、殺された近藤貴雄のした行為があまりにも人間性に欠けた事であり、早乙女は綾乃を殺人犯にしてしまう事を見捨てておけなかった。
そして、津浪警部の証拠物件の隠蔽までは見抜けなかった。一人の警部の職を退かせ、有能な検事を地方に葬ってしまった。その事に対しては反省していた。
しかし、そう導いたのは己の職務の怠慢からだと自分自身に言い聞かせている早乙女南だった。
そして綾乃は警察から返された証拠品の中からグリーン系のパンツスーツを手に、サイズは同じ、私の?・・・と、首を傾げているのだった。

・・・完

有難う御座いました。

サブリミナル・(美しい子悪魔)・第二章・NO-(22)&CG

2008-06-29 18:04:47 | 小説・サブリミナル-二章-
サブリミナル・(美しい子悪魔)・第二章・NO-(22)&CG

後藤検事は誤認逮捕、黒星なのか、共犯者がいたのか、凶器の指紋はどう理解したら良いのか。と困惑しているのだった。
「よし、影山綾乃を呼んで下さい。垂れ幕の落下と十二時過ぎの喧嘩の事を知っているか確かめよう。西新宿の派出所に問い合わせたところ、喧嘩はあったそうです。映画館の従業員の言う様に、十二時二十分に出動しています。
ちょっとした小競り合いで新聞には載ってない、現場で見ていなければ知る筈はないですからね」。
「検事、それとポリグラフを受けさせてみましょう。影山綾乃が事実を言っているのであれば拒否する事はないと思いますが」。
津浪はギラギラさせた目を眉を細めて検事を睨むように見据えた。
後藤検事は椅子にドッカリ背中を預けると軽く頷いた。
そして三十分後、影山綾乃は検事のオフィースへ連れて来られた。
そして、綾乃は津浪と望月両刑事の顔を見ると深々と頭を下げた。そして、検事の指し示す正面の椅子にそっと腰を降ろした。
「影山さん、貴方は二月二十日の午後八時過ぎ。正確には午後九時前、新宿オリオンへ映画を観に行かれたと言いましたが。当日、何か変わった事はありませんでしたか。子供さんは確かシンちゃんとか言いましたね。その事以外にです」
「検事さん、シンちゃんと言う男の子は見付かったんですか」?
綾乃は祈る様な気持ちで身を乗り出した。
「いえ、現在捜索中です。それより他に何か変わった事は?・・・」。
綾乃は俯いて思い出していた。「変わった事?・・・変わった事?・・・」。
そして静寂な時が五分ほど流れた。刑事はニンマリ笑いかけたとき。
「そう言えば、開演するちょっと前にステージの上の細長い垂れ幕が落ちて来たんです。もう館内は大笑いでした。中には怖がっていた人もいましたけど。
嘘だと思ったら映画館の人に聞いて下さい。
女性の従業員の人が慌てて落ちて来た垂れ幕を拾いに来ましたから・・・そうだ、拾いに来たのは売店にいた女の子です。その女性に聞いて下さい」。
まさかっ!と言う様に津浪と望月刑事は目を見開き、驚いた表情を見せた。
検事はその表情に、正しい事を証言している事は一目瞭然だった。後藤検事は津浪警部を見ていた。津浪は二度三度と頷いた。

「あっ!・・・そう言えば、映画が終わって外へ出た時に。茶髪の女の子達が喧嘩していました。調度そこへお巡りさんが来て喧嘩を止めていました。
ねえ検事さん、その事を確かめて下さい。私は映画を観に行っていたんです。
人殺しなんかしていません、本当です。調べて下さい、お願いします」。
その綾乃の言葉に、後藤検事や事務官、そして津浪と望月の両刑事もただ驚くばかりだった。そして四人は四人とも溜め息を漏らした。
すると、ノックする音がした。事務官が出ると板橋署の別の刑事が段ボール箱を抱えて入って来た。そして津浪警部に何やら話していた。
「済みません検事」と、津浪は呼んだ。
「ちょっと失礼しますよ」と、検事は新しい証拠でも出たのかと机を離れた。そして別室へ入った。
「検事、私達の黒星です。申し訳ありません、影山綾乃の洋タンスからこのグリーンのパンツスーツがありまして、ポケットから切符の半券が出ました。
現在指紋の検出と照合をしています。
それで、このスーツを映画館の従業員や売店の女性に見てもらったんです。
覚えていましてね、新聞に載っていた板橋の殺人事件で捕まった女性が着ていた服に間違いないと言うんです。
それで、何故そんなに鮮明に覚えているのか聞いたんです。そしたら、その女性もこのスーツと同じのを持っていると言うんです。
新聞を見た時は似ていると思ったけど、このスーツを見て思い出したと言っていました。それから、昨日、早乙女弁護士も同じ事を聞きに来たと言っていました。
それからもう一つ、あの日は寒くて、影山綾乃は手袋をしていたそうです。
その手袋も上着のポケットに入っていました。此れです」。
刑事はビニール袋に入れられた女性物の牛革の手袋を差し出した。
「完璧だ、その女性従業員は写真で間違い無く影山綾乃を確認したんですね」。後藤検事は方を落として確認した。
「はい、一人だけじゃありません。このスーツを見た切符売り場の従業員も改札の男性もハッキリ覚えていました。
あんな奇麗な女性は忘れませんよ。こうです。確かに新聞や報道に使われる顔写真は写りは良くないですからね。
ある男子社員はこうです、警察は犯人の写真はわざわざブスに撮るんだろって」。「そうですか。津浪君、カーホテルの従業員は犯人の顔は目撃してない。後ろ姿だけです。凶器の指紋は近藤貴雄が彼女の部屋から持ち出したと考えるべきだろう。君はもう一つ私に言わなかった事がありますね、それは、近藤貴雄の車から彼女のアパートの鍵が出た事です」。
その一言で津浪警部はガックリ肩を落とした。そして望月刑事はただ驚くばかりだった。「それは本当ですかっ!・・警部っ、本当なんですかっ!」
NO-22